夏は、この曲であろう。22日目

構成/写真/一部映像・鎌田浩宮

エプスタインズ。
2021年7月21日で、創刊11周年。
それを記念し、連載企画を開始です。

運動会やってるテレビを消せば、鳥の声が聴こえる。
セミたちが、歌声を自慢している。
夜中でも、カエルくんたちは田んぼで合唱だ。

夏だ。
ああ、たまんない。
夏だ。
間違いなく、夏だ。

夏と言えば、あの曲。
夏に欠かせない、あの曲。

市井の人から
著名人から
北の人から
南の人から
海外の人から
「夏は、この曲であろう。」
という曲を伝えてもらう、

チョー大型連載企画ですよ。

本当の夏を、すごそう。
本当に、夏をすごそう。

22日目
The Rolling Stones
ザ・ローリング・ストーンズ
Where The Boys Go
ボーイズ・ゴー

文・ 小原浩靖

夏におすすめ音楽というお題をいただいたのですが、そういえば僕は季節を意識して音楽を聴くということがないことに気づきました。そう言ってしまうと申し訳ないので昨夏めちゃめちゃ聴いていた曲をご紹介します。 ザ・ローリングストーンズの「Where The Boys Go」です。

これは1980年のアルバム、エモーショナルレスキューのB面1曲目にブチかまされる強烈パンチで僕にとっては曲というより薬に近い存在です。ストーンズの中では珍しくオールドスクール丸出しで突き抜けたロックンロールで土曜の夜に男の子が女の子をなんとかどうにかしたいという内容です。

同じアルバムに「Summer Romance」というこれまた丸出しロックンロールがあるのですが、僕は断然「Where The Boys Go」の方が夏っぽいと思ってます。

昨夏は、僕の監督作品『日本人の忘れもの フィリピンと中国の残留邦人』 が公開されたのですが、およそ1ヶ月間、毎日のように上映館であるポレポレ東中野に通い、舞台挨拶でお客様と触れ合いました。酷暑の中、家から東中野まではいつも「Where The Boys Go」を聴いて、まるでナンパに行くように気分を盛り上げていたのです。

2020年7月25日 封切初日 ポレポレ東中野

初日・舞台挨拶 ポレポレ東中野

2020年9月4日 千秋楽・舞台挨拶 ポレポレ東中野

舞台挨拶の後 即席サイン会

連日舞台挨拶が行われ、その後は必ずサイン会となった

今年の8月24日。夏の終わりとともにストーンズのドラマー、チャーリー・ワッツが80歳でこの世を去ってしまいました。チャーリーが丸出しロックンロール「Where The Boys Go」を叩いたのは37歳頃ということになります。

尊敬する大人の丸出しは本当にかっこいいです。チャーリーのドラムは実に変わっていてノリます。僕は、これまでずっとチャーリーに踊らされてきました。でも、もうチャーリーが叩く新しい踊りはナシになってしまいました。

昨夏、これまでにないほど「Where The Boys Go」を聴きまくり、今年は追悼としてこの曲を聴いています。これからは夏の曲として聴き続けることになると思います。 また会いましょうチャーリー。細く柔らかな手で握手してもらえたことを忘れません。

いやいや、9月ですよ。
三軒茶屋の気温、23℃ですよ。
秋ですもの。
だのに、嗚呼、まだ続くんです。
こんなに好評な企画、あるでしょうか。

こんばんは。
もう、秋ですね。
貴女の、鎌田浩宮です。
貴女の好きな、夏の曲を教えてくれませんか。

2020年6月6日に封切予定だった「日本人の忘れもの フィリピンと中国の残留邦人」はコロナの影響で、同年7月25日に延期したんです。

さあ、いよいよ上映だ!となったその直前に「7月24日からの3連休は外出しないように」と小池都知事からアナウンスがありまして。それまで予約で埋まっていた席が、1回につき数十人単位でキャンセルが相次ぎまして。空席が目立つ状態のまま、千秋楽を迎えました。

もちろん、同じような目に遭った映画は沢山ありましたよね。お客さんが入らなければ、製作費を回収できず大赤字となります。

それは分かっておるんです。ただし!このドキュメンタリー映画の場合、公開日が遅れ、観客が減っていく間に、フィリピンで無国籍のまま放置されている高齢の方々が、どんどんお亡くなりになっちゃうんです。実際、何名もの方が旅立たれました。

…この辺りのことをつらつら書いて、愚痴大会になると思ったでしょ!

2020年に小原監督と出会って感じたのは、ロックを聴いて離さない人というのは、世捨て人でも厭世者でもなく、批評家でも評論家でもなく、中指立ててるだけでなく、誰よりも深く人に頭を下げ、現状でできることを目一杯やり尽くす人なのでした。

気温は連日37℃辺り。自分を焚きつけて、なるべく毎日コヤに駆けつけ、舞台挨拶をして、観客の感想を聞き、なるたけ丁寧な字でサインを書き、独りで帰る。

最後に、監督が映画の宣伝を兼ねてラジオにゲスト出演した際の、選曲候補一覧です。流石。素晴らしいです。

甲田益也子「Hard Times Come Again No More」主題歌(決定)
ザ・ローリングストーンズ「100 Years Ago」
藤沼伸一&忌野清志郎「ジライヤ」
ゆらゆら帝国「待ち人」
ザ・ポーグス「Dark Streets Of London」
シオン「通報されるくらいに」
ザ・ローリングストーンズ「Highwire」
ゆらゆら帝国「ゆらゆら帝国で考え中」
下田逸郎「泣くかもしれない」
有山じゅんじ「ぐるぐるぐる」

あなたの「夏は、この曲であろう。」を募集します。こちらから送信して下さい。本名の掲載はちょっと…であれば、ペンネームでもOKですぞ。

夏は、この曲であろう。


開会宣言 名無シー
1日目 Hot Fan in the Summertime 鎌田浩宮
2日目 Hello,my friend 重藤優子
3日目 白いカイト 野嶋俊男
4日目 虹 セイシロウ
5日目 Late for the Sky 長山和夫
6日目 夏が来た! 柄澤國博
7日目 いつか風になる日 大嶋悟
8日目 コズミック・サーフィン Mr.サマータイム てっちゃん
9日目 BIG UP 喜楽屋笑太
10日目 California Girls hoitoo
11日目 サマージャム’95 波よせて 梨乃
12日目 トランジスタ・ラジオ 青と夏 表参道が好き
13日目  Saudade Louca 名無シー
14日目 熱帯夜 りえだたき
15日目 NA Do Do 洪愛舜
16日目 Summer Goddess ひのみか
17日目 夏をあきらめて つつしみ深美
18日目 Mambo Sinuendo 出口信一
19日目 相馬盆唄 杉本紀男
20日目  Moe ‘Uhane (Dream Slack Key)  松麿健夫
21日目 ひき潮 柄澤國博
22日目 Where The Boys Go 小原浩靖
23日目 Till I Die 鎌田浩宮
24日目 君は天然色  エム
25日目 海 柄澤國博
26日目  Sugar Baby Love アガタシネマ

2021.09.03