受賞の声 第2回エプスタ随筆大賞

編集・鎌田浩宮

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
「第2回エプスタ随筆大賞」
スズキスキーが提案した
9つのテーマから選び
随筆を、書く。


プーチンのど阿呆が
開戦しやがったせいで
記事掲載が遅れちまったぜ。


それでは、大賞・個人賞
受賞者の声をお届けします。

大賞受賞者には
福島県相馬市の新米コシヒカリ25㎏と

新酒(夢そうま純米吟醸と麦焼酎)各1本
個人賞には

相馬の新米コシヒカリ5㎏を
お贈りしましたよ。


ご応募下さった皆様
誠にありがとうございました。

第2回エプスタ随筆大賞
大賞
師走の地下鉄で、
著者・表参道が、好き

テーマ・悲鳴学

個人賞 アガタシネマさんより
2時間35分
鎌田浩宮

テーマ・ 始めるのに遅すぎることなんかない・
遅すぎるのに始めることなんかない

個人賞 miyako/Tamasudareさんより
胡桃割られ人形
著者・名無シー
テーマ・ 胡桃割られ人形

審査員(五十音順)
アガタシネマ
miyako/Tamasudare

大賞
表参道が、好き

大賞と聞いた時も仕事で電車に乗っていて、びっくりして、小さな声が出てしまいました。
忙しい中審査して下さった審査員の方、読んで下さった方、投稿の機会を与えて下さった鎌田さん、ありがとうございます。

そして賞品もいただきました。とっても嬉しいです。ハイティーンが2人いる我が家にとってお米ほどありがたいものはないです。また焼酎とお酒は大切な人と一緒にいただき、話が弾みました。呑みやすいっ!

世界は悲しい戦争となかなか終わらないパンデミックの中にあります。どんな世の中でも、ひとりひとりの生活があり、だれかがだれかを思っています。大きな流れの中でも小さなひとつひとつに思いを馳せて、自分の生活も積み上げていくことで、軸をとりたいなと考えている近頃です。

随筆は生活の中にあったり、人生の中にあるのかなと感じています。太陽を見ては元気になって、旬の食材をみてはニコニコし、電車の中の人を見ては想像し、きっと私はこれからも、ちまちまちまちま暮らしていくんだろうなと思いながら東京マラソンをTVで見ています。楽しい毎日を! 今回はありがとうございました♫

アガタシネマからの個人賞
鎌田浩宮

第1回随筆大賞では、三軒茶屋のクラウドファンディングですったもんだで死ぬかと思ったという内容で、2作応募したんです。
それが舌の根も乾かぬうちに、第2回では三軒茶屋で豆腐や酒や野菜を買ったりするのに2時間35分かかるという随筆や、未婚独身の初老が結婚披露宴を妄想する随筆ですよ。死ぬかと思ったら、もう三茶の買い物に夢中。馬鹿ですね。このような人物を、決して信用してはいけません。この随筆大賞は、愚かな人物をマークする機能を有しております。

あと、これは裏テーマというほどのもんじゃないんだけど、コロナがひと段落して数年後、ここに集まった随筆を読み返すと、いいんじゃないかなあ。当時の庶民は、市井の人々は、何を感じながら生活していたか…それらが作為なく、意図せず刻まれているんだもの。

相馬の米と酒と麦焼酎、放射線量はもちろんゼロです。風評なんぞに惑わされず、皆が快く受け取ってくれてよかったです。すんごく旨かったので、追加注文するつもりです。
あと、先日相馬の魚も購入、前日獲れたのをクール便で送ってもらって食べました。ジンセーの中で、最もぜいたくをした気分になれましたぞ。

miyako/Tamasudareからの個人賞
名無シー

正直驚きました。

今回投稿させて頂きました随筆もどきは、一般の読者諸氏のことは何も考えていなかったので、社会規範が 内部で 壊れたような人にしか伝わらないのではないか、とは言え壊れている人は別の琴線を堅持していることが多いので、誰もこれに呼応する人はなかろうと思っていたのです。

しかし玉簾さんは、ポイントを抑えて読んで下さった。
随筆もどきくんもこの世に産み落とされて良かったと涙を流していると思います。

これからも誰にも読まれないものを、人知れずヴィヴィアン・マイヤーの様に作り続けて、人知れず死んでゆきたいと思います。

そう決意する勇気を下さった玉簾さんに深く感謝申し上げます。

また、賞品の相馬産コシヒカリ5kgは、まさにその作品のフォーマットに適していると感じ始めております。

米一粒一粒に、私の命と同じくらい極細の面相筆で何十文字も文字をしたため、すべての米に作品を書き終えた暁には、それを、皆さん、食ってください。

読まなくてもいいので、食ってください。



募集・第2回エプスタ随筆大賞
審査員発表
応募作品#1 胡桃割られ人形 名無シー
応募作品#2 想像披露宴 鎌田浩宮
応募作品#3 犬にとってリードとは何なのか 名無シー
応募作品#4 2時間35分 鎌田浩宮
応募作品#5 「犬にとってリードとは何なのか」の変奏 名無シー
応募作品#6 師走の地下鉄で、 表参道が、好き
応募作品#7 連れ立って歩く もげお
応募作品#8 休業支援金、あるいは酸っぱい葡萄 加藤匡通
応募作品#9 現場に来てまで本なんか読んでる馬鹿がいるか! 加藤匡通
賞品発表
大賞決定
受賞の声

エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
第2回エプスタ随筆大賞
応募締切:締め切りましたよ~
ジャンル:随筆
形式:文字、点字
枚数:制限なし
賞品:福島県相馬市の新米及び新米酒と麦焼酎
審査員:アガタシネマ miyako/Tamasudare
発表:2022年2月24日
応募先:hironomiya.kamada☆gmail.com ☆を@に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

2022.03.07

大賞決定 第2回エプスタ随筆大賞

編集・鎌田浩宮

募集・第2回エプスタ随筆大賞
審査員発表
応募作品#1 胡桃割られ人形 名無シー
応募作品#2 想像披露宴 鎌田浩宮
応募作品#3 犬にとってリードとは何なのか 名無シー
応募作品#4 2時間35分 鎌田浩宮
応募作品#5 「犬にとってリードとは何なのか」の変奏 名無シー
応募作品#6 師走の地下鉄で、 表参道が、好き
応募作品#7 連れ立って歩く もげお
応募作品#8 休業支援金、あるいは酸っぱい葡萄 加藤匡通
応募作品#9 現場に来てまで本なんか読んでる馬鹿がいるか! 加藤匡通
賞品発表
大賞決定
受賞の声

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
「第2回エプスタ随筆大賞」
スズキスキーが提案した
9つのテーマから選び
随筆を、書く。


いやはや、

もんのすんごく時間がかかっちゃいましたが
大賞、決まりましたよ。
アガタシネマさんの住む山形では
連日大雪で
雪かきが本当に大変なんです。
シングルマザーにとっては
笑い話にならない大仕事。
こういうことって
なかなか報道されないんですけどね。

それでは、発表します。


大賞受賞者には
福島県相馬市の新米コシヒカリ25㎏と

新酒(夢そうま純米吟醸と麦焼酎)各1本
個人賞には

相馬の新米コシヒカリ5㎏を
お贈りします。


受賞者の皆様
おめでとうございます。
そしてご応募下さった皆様
誠にありがとうございました。

第2回エプスタ随筆大賞
大賞
師走の地下鉄で、
著者・表参道が、好き

テーマ・悲鳴学

個人賞 アガタシネマさんより
2時間35分
鎌田浩宮

テーマ・ 始めるのに遅すぎることなんかない・
遅すぎるのに始めることなんかない

個人賞 miyako/Tamasudareさんより
胡桃割られ人形
著者・名無シー
テーマ・ 胡桃割られ人形

審査員(五十音順)
アガタシネマ
miyako/Tamasudare

講評
アガタシネマ

独断と偏見で選ばせていただきました。
ワタシは読んでいて映像が浮かんでくる作品が好きなので、偏った選び方をしてしまっていると思いますが、どうぞご了承ください。

題・師走の地下鉄で、
著・表参道が、好き
テーマ・悲鳴学

師走の地下鉄内で起きた(気になった?)切り取ったワンシーンを描いた作品で、臨場感が好きです。読んでる時間=実際進行してるシーン、という現在進行形な文型が疾走感を出しているような気がします。なんでもないような事なのに、読んでいてスリルあり一番好きな作品なにで選ばせていただきました。

題・2時間35分
著・鎌田浩宮
テーマ・ 始めるのに遅すぎることなんかない・遅すぎるのに始めることなんかない

この作品は、実際に散歩している情景や匂いが感じられて好きです。とつとつと歩きながら、思いを巡らせ、とりとめもなく考えたり、文句を言ったり、思い出したり、懐かしんだり、何気ない一日の2時間35分を切り取ったような映像が、作者を通して伝わってきます。この作品の中の時間はゆっくりと流れているのでしょう。読後の余韻も合わせて、好きな作品なので選ばせていただきました。

講評
miyako/Tamasudare

みなさま初めまして。
miyako/Tamasudareというものです。
miyako は音楽作品発表時の名前で
Tamasudare は俳号で「玉簾」です。
審査されるのはずいぶん嫌いですので、
皆様に失礼のないよう充分鑑賞させていただきました。

ここ20年ほど

ルールがある俳句、連句
ルールほとんどなし、自由に絵・写真・音を繋げていく連画
という対極なセッションに参加しています。
今回選ばせていただいた二作品は、

連句のようにテーマに沿ってスムースに展開し結ばれてゆくもの
連画のようにルール、アイテムを問わず自由に展開してゆくもの

という結果になりました。
どちらも目が追いかけてしまう作品でした。

では二作品の講評でございます。


ーーーーーーーーーーー

題・師走の地下鉄で、
著・表参道が、好き
テーマ・悲鳴学

・映像的であり読んだ後も内容をすぐ思い出せる。
・短い文章で改行などを効果的に使っている。
・悲鳴をあげているのは男でありその周囲であるという視点。
・男の怒りの矛先。もしかして鉄道マニア? 
・駅、車内犯罪やアシッドアタックなど不安定な社会への連想。

箇条書きにすると、
「悲鳴学」に沿って綺麗にまとまっている作品だと思いました。

ーーーーーーーーーーーー


題・胡桃割られ人形
著・名無シー
テーマ・ 胡桃割られ人形

・冒頭から読者をググらせる仕掛け、スピード感あり。
・脳内の引き出しを次々公開サービス。
・転がる多面体、レイヤー多数、温度、湿度、音声ファイル含む。
・どこから読んでも読まなくても良い構造。
・ああ、これは展示室だ。

・見せ物小屋的入り口、バルセロナDALI美術館、
・あるいはフィゲラスのダリ劇場美術館のマイクロミニチュアみやげもの。
・触れると目の前に消えそうなホログラムが出る。ほんの少しだけ。

・文字がバラバラに浮かび捩れ踊り消える仕組み。

・または、起きてすぐ記述した長い夢re考察後、注釈加筆。

・ほとんどの対象が「他」である距離の遠さ。
・反して対象への視点、観察力の異常な細かさ。

・一番変なテーマに負けない変な文章。
・本人が面白がって書いたものは面白い。

ーーーーーーー

以下、好きな言葉の抜粋を少し、

題・想像披露宴
著・鎌田浩宮
テーマ・ハラカミが聴こえる夜
「退場時に、レイ・ハラカミのような音楽を、少し流す。
宴会場は、天との距離が近づいたかのような、穏やかな心持ちになる。」

題・犬にとってリードとは何なのか
著・名無シー
テーマ・犬にとってリードとは何なのか
「犬には行くべき方向が分かっている」

題・「犬にとってリードとは何なのか」の変奏
著・名無シー
テーマ・犬にとってリードとは何なのか
「鳥は普段はヒトの言葉が判らない振りをしている」

題・連れ立って歩く
著・もげお
テーマ・犬にとってリードとは何なのか
「すずの首輪にリードを付けて家を出るのは楽しい。」

題・ 現場に来てまで本なんか読んでる馬鹿がいるか!
著・ 加藤匡通
テーマ・ なし
「以前監督が職人にKY日誌をちゃんと書けと言ったら、「字を書いたりするのが嫌だから職人になったんだろうが。」」



それでは次回、受賞者の声をお届けします。
あと、
相馬の米と酒はおいしかったのか?
についても訊いてみましょうね。

エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
第2回エプスタ随筆大賞
応募締切:締め切りましたよ~
ジャンル:随筆
形式:文字、点字
枚数:制限なし
賞品:福島県相馬市の新米及び新米酒
審査員:アガタシネマ miyako/Tamasudare
発表:2022年2月22日
応募先:hironomiya.kamada☆gmail.com ☆を@に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

2022.02.24

賞品発表 第2回エプスタ随筆大賞

編集・鎌田浩宮

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
「第2回エプスタ随筆大賞」 スズキスキーが提案した
9つのテーマから選び
随筆を、書く。

賞品、決まりましたよ。
それでは、発表します。

大賞受賞者にお贈りする賞品は
・福島県相馬市の新米
・福島県相馬市の新酒

でぇございやす。


いずれも、なかなか手に入らないもの。というか、インターネットで流通していないもの。地元の人たちの中で回っているもの。そんなものをですね、エプスタインズが細々と築いてきた数少ない人脈を頼りまして、人づてに品物を探そうとなりました。

毎度おなじみの杉ちゃんのお父さん(相馬市在住・杉本紀男さん)に電話をしまして、相馬の米と酒を手に入れたいんですがと話しました。

するとお父さん、電話帳を引っ張り出してきまして、電話番号を教えてくれました。「俺の名前を出してくれればすぐに用意してくれるよ、俺からも電話してしとくよ」と流石の対応。

そうして選ばれたのが、こちらです。

田舎の個人店はどんどん潰れちゃって、イオンスーパーばっかしになっとりますが、一方でお父さんのようにいろんな人と付き合いを保ち、お百姓さんや魚河岸から直接買っちゃうという、昔ながらのネットワークがあるんです。


相馬市馬場野の農家・寺島秀雄さんが作ったコシヒカリ
福島県相馬市馬場野字岩崎18
電話 080-1813-7539


25kg…6,666円(税込)+送料1,210円
5kg…1,333円(税込)+送料750円
 kg量は応相談

相馬市馬場野

お米を作った方から、
直接送ってもらえることになりました。

馬場野。杉ちゃん親子の住む程田からすぐそばです。精米はした方がいいの?と訊かれたので、東京は精米できる所がないんですよ、精米もお願いしますと答えました。親切にも、佐川急便と郵便局とでどちらが安く届けられるか、調べて下さいました。ありがたいです。梅雨の時期になると湿気でおいしくなくなっちゃうので、その時期は冷蔵庫に入れておいてねと教えて下さいました。

米、30㎏送ると送料が高くなるから可哀想、25㎏にすれば郵送料安くなると教えて下さいましたよ。 お願いすれば、無料で精米して送ってくれます。

杉ちゃんのお父さん曰く 「相馬の米はまずいって言われてたから、福島中の米を会津大学に持っていって、名前言わないで食わせたら、相馬の米が1番になって表彰されて。相馬の米、今までたくさん食べたけど、今はここが1番旨い。 」とのこと。以前、僕も相馬で食べました。おいしかった!

そして今回。届いたコシヒカリ、早速炊いて食べました。旨い。安いし、旨い。もっと沢山炊けばよかった。1合のどんぶりめし、あっという間に食べてしまいました。

お米、かつては農協を通して販売しないと駄目だったんですが、今は個人が自由に販売してよくなったんです。宣伝していいと寺島さんからOKをいただいたので、寺島さんのご住所と電話番号を掲載しました。皆さん、ぜひお電話でお問合せ下さいね。おいしいですぞ!

相馬ブランド酒
夢そうま 純米吟醸 野馬追 1,472円(税込)
夢そうま 春雷 本格麦焼酎 1,417円(税込)

人気酒造株式会社

福島県二本松市山田470
電話 0243-23-2091
http://ninki.co.jp/

取り寄せ後、鎌田家にて撮影!どーん。

相馬市内でしか販売していない酒を、
送ってもらえることになりました。

相馬の酒米「夢の香」大麦「春雷」相馬の湧き水「天明水」を使い、福島県二本松市にある人気酒造が手作りで醸造。よだれが出るぞ。早速、人気酒造に電話しました。東京では、こちらを販売しているお店はないとのこと。

そこで、東京からでも購入できるよう教えていただきました。その後も電話は終わらず、相馬の一大イヴェント・相馬野馬追、二本松のお祭りの話など、世間話に話が咲いちゃいました。ついつい、長話。楽しい。

翌日の午前、受け取りました。夜、早速呑みました!
純米吟醸も旨いのですが、麦焼酎が旨い。僕は普段水かお湯か炭酸で割るんですが、ロックで呑んでもどえらく旨い。嬉しい驚き。吞みすぎて、二日酔いである。

この度、第2回エプスタ随筆大賞で大賞を受賞した〇〇さんに、早速お送りしました。「 焼酎、澄んだ味わいで、香りよくて、ロックでいきたくなるくらいおいしかったです 」とのこと!よかったです。

まずはぜひぜひ、人気酒造に電話してみて下さい。早ければ翌日、吞むことができますぞ。


さて、大賞は誰に決まったのか。
次回、発表します。


杉ちゃんのお父さんも、とっても喜んでくれています。
しょっちゅう電話をくれるようになり
「鎌田、3回目の接種終わったら相馬に遊びに来い」
と言ってくれます。

ぜひぜひ、です。
寺島さんや人気酒造の方とも、お会いしたいですしね。
(電話でも既に長話しておりますが!)



エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
第2回エプスタ随筆大賞
応募締切:締め切りましたよ~
ジャンル:随筆
形式:文字、点字
枚数:制限なし
賞品:福島県相馬市の新米及び新米酒
審査員:アガタシネマ miyako/Tamasudare
発表:2022年2月22日
応募先:hironomiya.kamada☆gmail.com ☆を@に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

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応募作品#4 2時間35分 鎌田浩宮
応募作品#5 「犬にとってリードとは何なのか」の変奏 名無シー
応募作品#6 師走の地下鉄で、 表参道が、好き
応募作品#7 連れ立って歩く もげお
応募作品#8 休業支援金、あるいは酸っぱい葡萄 加藤匡通
応募作品#9 現場に来てまで本なんか読んでる馬鹿がいるか! 加藤匡通
賞品発表
大賞決定
受賞の声

2022.02.20

応募作品#9 現場に来てまで本なんか読んでる馬鹿がいるか!

編集・鎌田浩宮

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
「第2回エプスタ随筆大賞」

スズキスキーが提案した
9つのテーマから選び
随筆を、書く。
大賞決定前に、応募作品を1作ずつ掲載していきます。


9作目も、
賃金奴隷な日々を
建築現場作業員日記として書き連ねる
加藤匡通さんによる随筆です。

彼は、どのような随筆を書いたのか。
さあ、読めばいいさ!

題・ 現場に来てまで本なんか読んでる馬鹿がいるか!
著・ 加藤匡通
テーマ・ なし

二〇二一年五月××日(火)「現場に来てまで本なんか読んでる馬鹿がいるか!」

 小ぶりなマンションの現場に入っている。まだ躯体が立ち上がっている真っ最中、最上階では鉄筋が組まれ、スリーブを入れたりしている。

僕はそういった雑作業の要員として戻された。設備の中心は配管で、次が器具取付だ。他は全部雑になる。自分では雑工のつもりなので、雑で呼び戻されたことに何の問題も感じはしない。自身を配管工と思っている職人が雑を命じられれば怒り出すだろう。

戻ったのは丸二ヶ月振りだ。この間、中国人研修生は毎日現場があった。そういう契約なのだから当然である。職長も当然あった。と言うか、なかったのはどうも僕だけだったらしい。交通費はかかる仕事は出来ないなのによく休む、そんな奴は干されて当然、と納得出来なくはないが、いい気持ちではない。

 本と眼鏡を忘れると一日どよーんとしている。なにせ一番本を読むのは現場にいる時だ。通勤電車の中では寝ている方が多いし、家に帰ってからは本を読む余裕がなくなる。休日は自宅のある茨城を車で動いているので、これまた本を読む余裕はない。なので現場の休み時間が一番本を読める時間となる。それなのに本と眼鏡を忘れると大打撃だ。

 最近だと土工の初日にこれをやった。その後の苦難を思わせる初日ではあったな。

 建築現場で本を読んでいると快く思われない。何を読んでいるかはあまり問題にされず、本を読んでいること自体に侮蔑的な視線を感じることも珍しくはない。小説どころか人文科学や社会科学の本を読んでいる僕などは訳のわからないものを読んでいるおかしな奴でしかなかろう。

 たまに絡まれたりもする。先日は重機のオペに、よりによって外山恒一の『政治活動入門』を読んでいるのを見つけられて、「選挙に出るんですか?」「自民党がどうなるか教えて下さいよ。」と絡まれた。外山恒一も読者ですらない人間からそんなこと言われたら憤慨するだろう。選挙なんか出るか!俺はアナーキストだ!と言う訳にもいかず、のらりくらりとやり過ごした。

 以前監督が職人にKY日誌をちゃんと書けと言ったら、「字を書いたりするのが嫌だから職人になったんだろうが。」と反論してるのを聞いたことがあるが、これは職人たちの心性を端的に表しているのだろう。字を読むこと自体が嫌いで図面の文字しか読まないと豪語していた職人もいたな。あ、KY日誌のKYは「危険予知」の略で「空気読めない」の略じゃないから。

 本ではなく図面を読め、と言われることもあるが、これは職人に対する指導ないし教育ではある。昔は現場でスポーツ新聞を読んでいても「図面見ろ。」と叩かれたと聞いている。叩けれないだけましになってはいるようだ。指導としては正しいような気はするが、休憩時間なのに?と当然思っている。基本的人権って知ってる?それにワタクシは職人ではありませんが?

 少なくとも法律では、そして裁判でも、休憩時間は仕事のことを考えなくていいことになっている。もちろんそんなものは建前であって、現実には工場の前でも現場の前でも学校の前でも家庭の前でも、そこら中で憲法は立ち止まっている。むしろ憲法が歩みを止めていないところが日本国内に本当にあるのか疑わしいくらいだ。現場で立ち止まっていれば「何突っ立ってんだ!」と怒鳴られるが、憲法は偉いから怒鳴られることはない。俺も憲法だったら怒鳴られずに済むんだがなあ、と思わなくはないが、いやいやアナーキストは「法に死を!」とか言っちゃうお馬鹿さんなので間違っても憲法になりたいとかは思わないんである。

 えーと、何の話だっけ?

 設備配管の仕事をしていると日当が上がっているので階級上昇して自分が労働者になったように思ってしまうが、この一年の新型感染症を巡る一連の経験はそれが勘違いだと教えている。仕事が切れれば自転車操業にすぐ戻り、公共料金すら滞る。元から専門職になることから可能な限り逃げ回っているが、僕は職人=労働者ではない。使い捨てのアンダークラス、図面なんか読まないよ。

 V社の社長は癇癪持ちで、些細なことで始終ところ構わず怒鳴り散らす。職人と電話していて興奮して大声を出すだけでは飽きたらずそこら辺にある物を蹴飛ばしまくるのはよくあることだ。ある朝、あまりのご機嫌麗しさに住宅地の中にある現場の前で車から道具を下ろしている僕たちに向かって「ぶち殺すぞ。」と喚いていらっしゃった、とかいった愉快な逸話には事欠かない。

今日も詰所で他の業者がいるのもお構い無しでわーわーと指導だか説教だかをなさっていらしたら、ガードマンから「お前がうるさいんだよ!」と怒鳴り付けられて静かになった。詰所の警備までしている立派なガードマンだと、その場にいた誰もが思っただろう。

 この社長も当然本を読むな図面を見ろと指導する人である。僕以外はみんなスマホを弄っているが、これも嫌いなので「そんなもん(スマホのことだ)弄ってないで図面見ろ!」と指導している。あんなに怒鳴っていてなんで血管が切れないのか不思議だ。ゴムで出来てんのかな?

 で、怒鳴り付けられて静かにしていた三時の休憩中のこと。社長がいる時は昼休みにしか本を読まないようにしていて、その時も本を読んではいなかった。もちろん社長が出ていって僕の基本的人権が回復され、本が問題なく読めるのを切に待っているのだ。しばらくは静かに話をしていたが、やがて声が大きくなってきた。どこかでスイッチが入ったらしい。ガードマンは席を外している。

と、突然矛先がこっちを向いた。「だいたい現場に来てまで本なんか読んでる馬鹿がいるか!本なんか家で読め!俺は本なんか嫌いなんだよ!」え、どこでそんな話になったよ?さっきまで違う話してたじゃん!それに今本読んでないのに!

 本を読むことが習慣になっている人は概ね、子どもの頃に本を読んでいて褒められた記憶があるだろうと思う。成長すると必ずしも褒められることばかりではなくなるが、読書を怒鳴りつけられる経験はほぼないだろう。少なくとも僕はない。こんな剥き出しで読書を嫌われたのは初めてだ。前世で焚書でもやってたのかなあ?あまりのことに笑った。戻ったばかりだけど、次を考えたほうがいいかもしれない。


エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
第2回エプスタ随筆大賞
応募締切:締め切りましたよ~
ジャンル:随筆
形式:文字、点字
枚数:制限なし
賞品:福島県相馬市の新米及び新米酒
審査員:アガタシネマ miyako/Tamasudare
発表:2022年2月22日
応募先:hironomiya.kamada☆gmail.com ☆を@に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

関連記事です。
募集・第2回エプスタ随筆大賞
審査員発表
応募作品#1 胡桃割られ人形 名無シー
応募作品#2 想像披露宴 鎌田浩宮
応募作品#3 犬にとってリードとは何なのか 名無シー
応募作品#4 2時間35分 鎌田浩宮
応募作品#5 「犬にとってリードとは何なのか」の変奏 名無シー
応募作品#6 師走の地下鉄で、 表参道が、好き
応募作品#7 連れ立って歩く もげお
応募作品#8 休業支援金、あるいは酸っぱい葡萄 加藤匡通
応募作品#9 現場に来てまで本なんか読んでる馬鹿がいるか! 加藤匡通
賞品発表
大賞決定
受賞の声

2022.01.25

応募作品#8 休業支援金、あるいは酸っぱい葡萄

編集・鎌田浩宮

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
「第2回エプスタ随筆大賞」

スズキスキーが提案した
9つのテーマから選び
随筆を、書く。
大賞決定前に、応募作品を1作ずつ掲載していきます。


8作目は、
一人親方として建築現場で働く
加藤匡通さんによる随筆です。

彼は、どのような随筆を書いたのか。
さあ、読めばいいのだが!

題・ 休業支援金、あるいは酸っぱい葡萄
著・ 加藤匡通
テーマ・ なし

二〇二一年五月××日(水)休業支援金、あるいは酸っぱい葡萄

 三月四月と仕事がなかったので土工をしてしのいだ。久し振りのスコップ作業はきつかった。体力落ちまくりだ。

  新型感染症の感染拡大に対して外出や休業の自粛が求められ、それを取り繕うための経済的支援策がいくつも行われたが、僕が使えるものはほぼなかった。建前としては誰にでも渡るはずの特別定額給付金と社会福祉協議会の緊急小口資金は使えたが、後者は無利子とはいえ貸付、つまり借金だ。だいたい金を貸すことが福祉なのかとは誰でも思うが、別に今回それを言いたい訳ではない。特別定額給付金にしたって野宿者を始めとして本人が受け取れない例はたくさんあるが、今回はそれも取り敢えず置いておく。

  一人親方だと自営業、フリーランス扱いなので持続化給付金が使える制度だったが市の商工会で僕には無理と確認した。こういう話をすると、「必要な人に渡らないのに、不正に受け取る人がいる。」と怒り出す人がいるが、出汁にされている本人は全くそんなことは考えていない。制度なんて上手く利用出来るのなら使えばいい。例え不正な利用者が多くても、必要な人にちゃんと渡るのならそれでいいじゃないか。元は税金だって?そんなこと言ったらあんな官僚もこんな政治家も、それどころか天皇すら税金で養ってるじゃないか。細かいことで目鯨立てんなよ。

 設備衛生のV社の仕事に戻った。茨城の自宅から事務所まで出て、それから車で現場、の生活から自宅から直接現場の生活に戻った訳だ。いや、電車で寝てられんのすっごいラク。

  最寄駅から現場に着くまでの短い距離に本屋の看板を見かけて昼に見に行ったら古本屋だった。おお、古本屋センサーいい感じじゃん?三度目の緊急事態宣言で休みに入ったが延長には付き合わず、今日から営業再開したらしい。喜んで棚を眺め、古代ギリシア関係の図録だのを二冊買った。事務所集合解散で寄り道をこの一ヶ月ほとんどしていなかったので、古本屋に入るのも久しぶりだ。やはりとても楽しい。

  だがそこまでだった。

  現在鉄筋が組まれ型枠が立ち始めている五階の、まさしく今立ち上がっている最中の壁にスリーブを入れる作業を三時前から始めた。スリーブとは電気の線だの各種配管を通すためにコンクリートの躯体に埋め込む管のことだ。塩ビだったり鉄管だったり厚手のボール紙だったりといろいろある。たいした数ではないが、今日中にやらないと明日には型枠が完全に立ち上がってしまう。それは不味い。スリーブは鉄筋の中に収まる物なので型枠が完全に立ち上がれば型枠二枚に挟まれた状態になり、新しく取り付けることはもちろん、位置を直したりも出来なくなるからだ。

  三時を過ぎてから詰所に下りて机に突っ伏した。眠い。と、携帯が鳴った。茨城の局番からだ。電話に出ると、茨城労働局とか言ってる。ん、組合に用か?「休業支援金の申請をした加藤匡通さんですか?少しお時間いいですか?」休業支援金も新型感染症関連の経済的支援策の一つだ。やっと通るのかよ、遅ぇーよ。社長が申請すれば金が降りると勧めるので申請した奴だ。「加藤さん事業者の欄に記入がありませんが事業者は?」「ああ、一人親方です。」と会話が始まり、「休業支援金は雇用されている方が対象なんですよ。」と話が終わった。

  思い出した!社長はV社に雇われている形にして書類を出せと言っていたのだ。最初は「こっちで書類用意するから。」だったのがいつの間にやら自分で用意することになって、送った書類が西暦表記だと返って来て元号に膝を屈し、結局駄目でしたと。もちろん事実を偽って申請しようとしたのだから、受け取っていれば僕は不正受給者だろう。そんな斉天大聖孫悟空、もとい清廉潔白な人士ではないのでそんなこと気にしてもいない訳だが、しかしこれは笑うしかない。すっかり忘れてたよ!やはり人を騙すような才覚はないんだなあ。これで溜まってる公共料金を一発で解消する魔法は使えなくなった。いや、そもそも魔法なんて少なくとも僕の前には存在した試しがないんだが。

  電話が切れるとすぐにスリーブ入れをしている相方が呼びに来た。休憩を十五分程度で切り上げ、六時まで延々スリーブ取り付けを続けた。もちろん終わったらV社の人間は誰もいなかったさ。

  いいことの後には悪いこと、久しぶりの古本屋がいいことだったのだ。きっと政府からまとまった金なんかもらった日にゃ現場で鉄骨に押し潰されたりするに違いない。狐は川に落とした葡萄を見て言ったのだ。あの葡萄は酸っぱいに違いない。僕もそう思うぞ、ギリシアのどこかにいた狐君!

六月×日(月)「お前、それはないだろう。」

 休業支援金は新型感染症の影響で会社から休業と言われた従業員を経済的に支援する制度である。だが、該当期間中に休んでいた理由が何なのか、あまり調べようがない。もちろんそれでいい。厳密な適用をしようとすればするほど使いづらく、肝心の者に届かなくなる。

 僕の場合、該当期間中に仕事がなかったのは新型感染症のせいなのか、それとも単に社長の手腕が駄目なのかは僕に判別のしようがないし、僕はどっちでもいい。

可哀そうだと思ったのかどうか、休業支援金の手続きはまだ続いていて、細かい問い合わせが何回かあった。が、今日正式に連絡があった。一人親方には適用されない、はそのままだが、おまけが付いていた。「感染を気にして本人から休むといった場合は適用されません。」「いや、社長に仕事がないから休みって言われたんですが。」「本人から申し出があったと社長さんから聞きましたけど。」!マジか。

手のひら返しとはこういうことを言う。やってはいけない振る舞いなので、みんなよく憶えておくように!


エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
第2回エプスタ随筆大賞
応募締切:締め切りましたよ~
ジャンル:随筆
形式:文字、点字
枚数:制限なし
賞品:福島県相馬市の新米及び新米酒
審査員:アガタシネマ miyako/Tamasudare
発表:2022年2月22日
応募先:hironomiya.kamada☆gmail.com ☆を@に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

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応募作品#3 犬にとってリードとは何なのか 名無シー
応募作品#4 2時間35分 鎌田浩宮
応募作品#5 「犬にとってリードとは何なのか」の変奏 名無シー
応募作品#6 師走の地下鉄で、 表参道が、好き
応募作品#7 連れ立って歩く もげお
応募作品#8 休業支援金、あるいは酸っぱい葡萄 加藤匡通
応募作品#9 現場に来てまで本なんか読んでる馬鹿がいるか! 加藤匡通
賞品発表
大賞決定
受賞の声


2022.01.23

審査員発表 第2回エプスタ随筆大賞

編集・鎌田浩宮

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
「第2回エプスタ随筆大賞」 スズキスキーが提案した
9つのテーマから選び
随筆を、書く。

審査員が、決まりましたよ。
それでは、発表します。

第2回エプスタ随筆大賞、
審査員はこのお2人になりましたよ。
パチパチパチ。


アガタシネマさん(第1回エプスタ日記大賞・大賞受賞者)

miyako/Tamasudareさん (沖縄・石垣島在住)

アガタシネマさんは、山形在住。子供と保護猫をこよなく愛する、絶賛更年期中のシングルマザー。日記大賞受賞後に、なんと失職。なかなか大変なことだと思っています。その後は断酒を再度決意し、アルコール外来に通院しています。努力家。偉いなあ。彼女の日記は、ここで読めますぞ。

miyako/Tamasudareさんは、石垣島と大阪を行ったり来たりしながら、仲間と音楽を作ったり、歌ったりしています。一時期は坂本龍一さんの「RADIO SAKAMOTO」のオーディションコーナーの常連でした(お、この回は、miyakoさんの他に僕も受賞しています) 。あと、俳句や連句を詠んだり、写真を撮ったり、Cambrian gameの連衆(メンバー)だったり、民宿をやったりしていますよ。

第1回もそうだったんですが、都市に住んでいない人、地方で根を下ろしている人に審査をお願いしました。

例えば僕は度々福島・相馬に行くんですが、最寄りの駅から徒歩1時間、車じゃないと居酒屋に行けない、なので基本的には外で酒を呑まないことが日常なので、コロナで外食できないとか、満員電車で3密とか、そういった感覚を外から眺めることができると思ったんですね。

逆に地方は、自然災害が多く、被害を受けやすい。先日2022年1月16日未明に起きた津波では、miyakoさんは民宿のお客さんを含め命を守らねばならない。だから日常においても自然の変化を読み取り、自然に適応しなくっちゃならない。なのに都市では、台風でも大雨でも会社に通勤する。そんな時に通勤するのって、日本人だけらしいですが。

そういったことを、枠の外から眺められる人に、審査をお願いしたかったんです。

まだ作品を募集しています。ふるってご応募下さいな。そして、お2人による審査を、お楽しみに!


エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
第2回エプスタ随筆大賞
応募締切:2021年11月23日(祝・火)のはずだったがまだ募集中
ジャンル:随筆
形式:文字、点字
枚数:制限なし
賞品:福島県相馬市の新米及び新米酒と海産物
選考委員:後日発表
発表:2022年2月吉日
応募先:hironomiya.kamada☆gmail.com ☆を@に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

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応募作品#5 「犬にとってリードとは何なのか」の変奏 名無シー
応募作品#6 師走の地下鉄で、 表参道が、好き
応募作品#7 連れ立って歩く もげお
応募作品#8 休業支援金、あるいは酸っぱい葡萄 加藤匡通
応募作品#9 現場に来てまで本なんか読んでる馬鹿がいるか! 加藤匡通
賞品発表
大賞決定

2022.01.19

応募作品#7 連れ立って歩く

編集・鎌田浩宮

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
「第2回エプスタ随筆大賞」 スズキスキーが提案した
9つのテーマから選び
随筆を、書く。
大賞決定前に、応募作品を1作ずつ掲載していきます。


7作目は、新たなる応募者が。
SNSを通して出会った、もげおさんによる随筆です。
さてさて、どのような随筆をお書きになる方なのか…?
お楽しみは、これからです。

題・連れ立って歩く
著・もげお
テーマ・犬にとってリードとは何なのか

「お散歩行こうか?」
愛犬のすずにそう声をかけると私をじっと見つめ、立ち上がるとストレッチをして散歩に行く準備を始める。

散歩コースはもっぱら裏にある土手。外に出て数十歩ほど歩くとある。
他のコースも行きたいが、走っている車が怖いすずが安心して歩けるのはそこしかないのだ。
東西にずっと続く土手。
西に向かって歩くと左側にはしばらく家が立ち並んでいるが、5分ほどすると土手を下りられる坂道が出て来る所を境に視界が広がる。
右側は河原に生い茂る藪と林と畑。左側は田んぼ。
だだっ広い空間に山に向かって横たわる一本の道。
ポツリポツリと健康のために毎日歩いている人達はいるが、一回の散歩で5人以上すれ違えば多いくらいだ。
気ままに匂いを嗅がせて、小走りになっり止まったり。

ごくごくたまにだが、タヌキやキツネ、イタチ、モグラ、ネズミなどと出くわす事がある。キジはしょっちゅう出会う。
そんな時はすずの本能が刺激されるのか、追いかけていってしまうので人間より気をつけないといけない。

とは言え、すずは臆病で慎重な性格なので滅多な事で何処かに行ったりする事はない。
朝、子供達を見送る時や、二軒隣のお爺さんが会いに来た時などはリードも付けずに外に出るが、何処にも行かず家の前までしか行かないのである。
お利口と言うより、どこまでも家族といないとダメなのである。

寒い日も暑い日も散歩は正直面倒くさいけど、この貴重な時間を噛み締めながらすずと何気ない道を歩く喜びを思うと、嬉しそうに玄関で待っているすずの首輪にリードを付けて家を出るのは楽しい。


エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
第2回エプスタ随筆大賞
応募締切:締め切りましたよ~
ジャンル:随筆
形式:文字、点字
枚数:制限なし
賞品:福島県相馬市の新米及び新米酒
審査員:アガタシネマ miyako/Tamasudare
発表:2022年2月22日
応募先:hironomiya.kamada☆gmail.com ☆を@に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

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審査員発表
応募作品#1 胡桃割られ人形 名無シー
応募作品#2 想像披露宴 鎌田浩宮
応募作品#3 犬にとってリードとは何なのか 名無シー
応募作品#4 2時間35分 鎌田浩宮
応募作品#5 「犬にとってリードとは何なのか」の変奏 名無シー
応募作品#6 師走の地下鉄で、 表参道が、好き
応募作品#7 連れ立って歩く もげお
応募作品#8 休業支援金、あるいは酸っぱい葡萄 加藤匡通
応募作品#9 現場に来てまで本なんか読んでる馬鹿がいるか! 加藤匡通
賞品発表
大賞決定
受賞の声

2021.12.22

応募作品#6 師走の地下鉄で、

編集・鎌田浩宮

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
「第2回エプスタ随筆大賞」

スズキスキーが提案した
9つのテーマから選び
随筆を、書く。
大賞決定前に、応募作品を1作ずつ掲載していきます。


6作目は、表参道が、好きによる随筆です。

彼女は、2020年に開催した
第1回エプスタ随筆大賞にて
作品「我が家の困った習慣変わるかなあ」で
開催者撰賞」を受賞しました。


それでは、お読み下さい!

題・師走の地下鉄で、
著・表参道が、好き
テーマ・悲鳴学

12月の都営三田線内、
スマホでこれを打っている。
片手には印刷所へ入れる原稿。
いつもIKEAのブルーシート素材のバックに、
大量の原稿を入れて持ち歩くのが私の仕事のひとつだ。

昼間の都営三田線は、
リュックサックを膝に乗せてシス単や期末考査の勉強をしている高校生、
マッシュルームカットにマスクのひょろひょろ男子大学生、
すっかり寝込んでいるおじさま会社員がいて、
私の隣は、PTA帰りの綺麗にしている奥様が盛大におしゃべりしている。
そして、
それなりに混んでいる。

急に車両の端から
大きな声が聞こえて、

一瞬顔をそちらへ向ける。

見ると、
何か男性が怒っている。

電車の空気が一気にかわり、
男性を見ないようにしながらも
皆が一斉に警戒に入ったのがわかる。

男性はなおも怒る

こんなことはなかった!
こんなことは今までになかった!
と。

ちょうど次が
印刷所のある駅なので、わたしは降りた。
降りる人の多い駅だったので、
降りた人は
少しホッとした雰囲気を出している。

すると、
だから、今までこんなことはなかった!

と、ホームから大きな声が聞こえてきた。

あの男性も電車を降りていたのだ。

怒りながらこちらの方向へ
歩いてくる。
声が近づいてくるのが早い。

出口の階段を目指しながら歩いている私達の
後方の人達がどんどん早足になり、
わたしの前を歩く人も早足になる。
目の前を歩いていた小柄の女性は声に追い立てられるかのように小走りで走り出した。

男性がグングン歩いてくるのが、
声の近さで分かる。

なんでだよ!こんな、こんな、!
と喚いている。

振り向いたらいけないと
皆思っているみたいで、誰も振り向かない。
男性が来る。皆早足。
男性も早足。

私は原稿が重たくて、あまり早く歩けずにいて、
男性に追いつかれるだろうから、
何かあったときの回避方法を考えていた。

今年は、電車での事件が多かったから、
ヤバイ人なら困るなとも思った。

実際、
早足で前を歩く人達の背中が緊張しているのが分かる。

ああ、もうっ!なんで、なんでなんだ!
と、興奮した男性が私の真後ろにきた。

真後ろ!え?真後ろにくる?
と、思いながら歩いていたら、

ザッと私をよけて、
だから、だから、ああ、
と言いながら、前のめりで歩いていく。

黒いジャンバーに、ブラックジーンズ、
パーマ黒髪の中肉中背な中年男性。

何事もなく
抜かれた私は、ほっとして
歩みをゆっくりにし、
男性の背中を眺める。

前のめりに丸まった背中。

男性の前には早足の人々。

階段の手前で
男性が、

ああ、なんでだよ、今までこんなことなかったじゃないか!と改めて怒り出し、
今まで下赤塚駅で停車位置間違えなんて
なかったじゃないか!
やり直しなんてなかったじゃないか!

と、長文で怒りだした。

その瞬間

早足で階段を登っていた人も男性の前で早足だった人も、歩く速さが元に戻り、

怒り叫びながら早足で歩く男性は
人々を颯爽と抜き去り
階段をあっという間に上りきった。

駅を歩く人の空気はゆったり流れ始め
わたしは男性のことを考えた。
きっと私だけではない。
早足で歩いていた人たちも考えていたことだろう。

え?それ?

と。

怒り男性は、大切な約束があるのかもしれない。その心の悲鳴が怒りとなって外に出てしまい、

それを聞いた私達は、
危ない人だと、心の中で、悲鳴をあげながら
早足で歩く。

出ちゃう悲鳴も出さない悲鳴も
場の空気を震わせる。

さあ、次は山手線で、五反田だ!


エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
第2回エプスタ随筆大賞
応募締切:締め切りましたよ~
ジャンル:随筆
形式:文字、点字
枚数:制限なし
賞品:福島県相馬市の新米及び新米酒
審査員:アガタシネマ miyako/Tamasudare
発表:2022年2月22日
応募先:hironomiya.kamada☆gmail.com ☆を@に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

関連記事です。
募集・第2回エプスタ随筆大賞
審査員発表
応募作品#1 胡桃割られ人形 名無シー
応募作品#2 想像披露宴 鎌田浩宮
応募作品#3 犬にとってリードとは何なのか 名無シー
応募作品#4 2時間35分 鎌田浩宮
応募作品#5 「犬にとってリードとは何なのか」の変奏 名無シー
応募作品#6 師走の地下鉄で、 表参道が、好き
応募作品#7 連れ立って歩く もげお
応募作品#8 休業支援金、あるいは酸っぱい葡萄 加藤匡通
応募作品#9 現場に来てまで本なんか読んでる馬鹿がいるか! 加藤匡通
賞品発表
大賞決定
受賞の声

2021.12.08

応募作品#5 「犬にとってリードとは何なのか」の変奏

編集:鎌田浩宮

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
「第2回エプスタ随筆大賞」

スズキスキーが提案した
9つのテーマから選び
随筆を、書く。
大賞決定前に、応募作品を1作ずつ掲載していきます。


5作目は、名無シーによる随筆の3本目です。

彼は、2020年に開催した
第1回エプスタ随筆大賞にて
作品「昭和四十五年九月十七日木曜日 火山、川、犬、人のことなど」で
Mr.Boo!ギャンブル大賞 」を受賞しました。


それでは、お読み下さい!

題・「犬にとってリードとは何なのか」の変奏
著・名無シー
テーマ・犬にとってリードとは何なのか

 もう何箇月も前のことだ。

 夏で、日差しも無いではなかったが、割と涼しい日で、自宅からバスで20分余りの辺鄙な場所にある郵便局に荷物を受け取りに行った時のことだ。

 私は荷物を受け取ると、さっき降りたバス停の向かいのバス停で次のバスの時間を確認した。

 あと25分。

 どうやら、局員がモタモタしている間に丁度バスが行ってしまった後だったらしい。

 いつもなら不毛に待ち続ける等と言うことが出来ない質の私は、先のバス停まで歩いて行こうということになるけれど、この時は、ここから次のバス停に向かう間に、次のバスに追い抜かれるぞ! と言う謎の声を聴いたような気がして、それは超常的な声のように不運不吉な事への誘いにも聞こえたが、普段映画館で二時間1800円払って不吉な話を楽しんでいるのと比べても、25分無料の不吉な出来事を体験するのはある種お得だと思えた。きっと結構ミステリアスで面白い出来事を見つけられるに違いない、このおれならば、という気分になり、そのままぼおっと、バス停の標識になったつもりでただ立って、何かの訪れを待った。

 ヘンリー・ジェイムズのように、待っていれば体験できるのだ。

 バス停の斜め向かいには警察署、反対側の斜め向かいには立体駐車場完備のスーパー。

 後を振り向くと郵便局建物の脇の植栽。植栽と言っても手入れをしている感じではなく、スギゴケやゼニゴケが生すぺったり固まった土質の土に、楓が一本。

 そのスギゴケ、ゼニゴケの薄い絨毯の上に、セキレイのような小鳥がいてこっちを見ていた。

 ヤクザなどではないが、柄の悪いおっさんが、自慢の手品か何かを見せてやろうと言う感じで、見てなよ、と言うニヤついた視線を送ってきていた。

 なんだい? と言う感じで、こっちも軽くバカにしたように眺めていると、セキレイはぴょんぴょん跳ねながら郵便局と隣の敷地の間のブロック塀に向かって助走をつけて進んで行き、ジャンプしてブロック塀に体当たりすると、ボールのようにぽよ~んとバウンドしてスギゴケの上に着地、急いで後に下がると、またブロック塀に向かって進んで行き、ぽよ~んとモッシュした。

 小鳥がそんな遊びをするとは知らなかった私は少し呆気に取られてセキレイを見ていたが、セキレイは、どうだ、見たか、と言う感じで自慢げに笑うと郵便局の裏庭との間に立ててある後ろ側のブロック塀の透かしブロックの穴にしゅっと消えてしまった。

 バスに追い抜かれるぞと、話しかけてきたのはあのセキレイだろう。

 鳥は普段はヒトの言葉が判らない振りをしていると、古典にも言われている(南華真経)。
 どうやらそれは本当らしい。

 なぜあのセキレイはそれを教えてくれたのか。

 少なくともセキレイは、ひたすら拾い食いばかりして動物らしく浅ましげだがかわいいスズメなどに比べると、もう少し人に近いマナーのある鳥で、その辺を歩いているだけでも歩き方にコミュニケイションがある。

 我々も、全盛期を終えて脇役のような動物に進化したとき、空を飛べるように進化したとき、セキレイのように何らかの気品を持って次世代の主人公達や、数多の動物達に接することが出来るだろうか。

 人間は今、次にどちらの方向に系統発生を辿るのか、静かに分岐点の前で迷っている。

 あなたとあの人達の生き方が違うのはその違う未来のためなのだ。

 世界中に古今東西を問わず将軍がいる。将軍達が。
 しかし、その中で綱吉だけが、何か大切なものに気付いたただひとりの将軍だったのだ。


エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
第2回エプスタ随筆大賞
応募締切:締め切りましたよ~
ジャンル:随筆
形式:文字、点字
枚数:制限なし
賞品:福島県相馬市の新米及び新米酒
審査員:アガタシネマ miyako/Tamasudare
発表:2022年2月22日
応募先:hironomiya.kamada☆gmail.com ☆を@に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

関連記事です。
募集・第2回エプスタ随筆大賞
審査員発表
応募作品#1 胡桃割られ人形 名無シー
応募作品#2 想像披露宴 鎌田浩宮
応募作品#3 犬にとってリードとは何なのか 名無シー
応募作品#4 2時間35分 鎌田浩宮
応募作品#5 「犬にとってリードとは何なのか」の変奏 名無シー
応募作品#6 師走の地下鉄で、 表参道が、好き
応募作品#7 連れ立って歩く もげお
応募作品#8 休業支援金、あるいは酸っぱい葡萄 加藤匡通
応募作品#9 現場に来てまで本なんか読んでる馬鹿がいるか! 加藤匡通
賞品発表
大賞決定
受賞の声

2021.12.06

応募作品#4 2時間35分

ブログのくせに長めの事業でこざかしい
エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
「第2回エプスタ随筆大賞」

スズキスキーが提案した
9つのテーマから選び
随筆を、書く。
大賞決定前に、応募作品を1作ずつ掲載していきます。


2作目は、鎌田浩宮による随筆の2本目だー。
読めばいいとも!

題・2時間35分
著・鎌田浩宮
テーマ・ 始めるのに遅すぎることなんかない・遅すぎるのに始めることなんかない


ほぼ全てを、西友で買い物しておりました。なぜにあんなに安いのか。いとこの広実くんも、西友じゃないと暮らせないと言っていた。引越して、西友から遠くなって困ると嘆いていた。

西友の4階で、たわしを探していた。店員さんに場所を訊くと、何に使うの?と聞かれる。若干タメ口だったかも知れない。風呂の浴槽掃除に使うと答えると、今どきたわしは使わないと返された。

親切なのか?

その日はムキになってたわしを買ってしまったが、後日スポンジを買い直した。

そのような日々を送り続け、西友とは切っても切れない間柄になっていたのだが、東京新聞を読んで、無農薬野菜に切り替えるべきだと感じた。

欧米では農薬に対する危機感が強まり、規制が強くなっている。が、日本では逆に緩和されており、欧米の10倍にもなる強い農薬を使える状態。しかも、欧米で使用禁止になった農薬を、現在日本が輸入している。

別に苦労して長生きをしようとは思わないが、害虫が死んじまうくらいに強い農薬なんだから、体には良くないだろう、敢えてそんなものを摂取する理由はないと思えたのだ。




三軒茶屋で、無農薬・有機栽培野菜に力を入れている八百屋さんを見つけた。佐藤青果。現在で3代目にもなる古いお店なのだが、ここ10年前後で無農薬・有機栽培ものの販売に切り替えたそうだ。

若い店長や女将さん、ご主人とのお喋りも、思いのほか楽しい。行きつけの店を尋ね合い、2回目のワクチン接種は怖いぞと脅し合い、撮影で来たじゅん散歩、高田純次の実態を聞く。30分話す。

アメリカのスーパーだと、客とレジ打ちの方との長話は珍しくないらしい。 だが、西友がいくら優れたスーパーマーケットではあれど、いくら何でもレジ打ちの方と長話するわけにはいかない。

最も愛すべき映画「幸福の黄色いハンカチ」を観直してほしい。凛々しい高倉健さんは、刑務所を出所後、スーパーで買い物をする。レジを打っているのは、倍賞千恵子さんだ。もう、恋しか生まれない。恋をしないわけがない。恋をしない者は愚かでしかない。

こんなに麗しい人が店内にいたら、30分話すだろ!

人類の歴史は長い。そのうち日本でも、長話できるレジ打ちのスーパーが大量に現れ、恋が生まれ結婚したりしなかったり、幸福のハンカチがバタバタしたりしなかったりは間違いないだろう。しかし、気の短い僕は待っていられない。

三軒茶屋で最も古いと思われる、下の谷商店街。古さゆえ、シャッター街になりつつある。その中にポツンと佇む一軒家、銭場(せんば)商店。僕より少し年上の男性が、独りでコーヒー豆を炒って売っている。

西友の豆に、飽きていた。中に入る。

銭場商店の斜向かいにある銭湯では、開店の1時間も前から爺が集まりお喋りを楽しんでる。家に閉じこもって1日中BSの2時間ドラマ観てるより、ずっといいだろう。そんなどうでもいい話で、あっという間に30分。キャマダ、お前銭湯前の爺と一緒だよ!

西友でたわしについて30分話せただろうか?いや、いくら懐の深い西友でも、それは難しい。それにしても三茶は銭湯が多い。どこも繁盛している。若い子も浸かりに来ている。なぜなのか?その疑問、後半で答えを発表しますぞ!


佐藤青果。銭場商店。これで1時間経過している。その他、図書カウンター三軒茶屋を訪れる。

世田谷区内にある図書館の蔵書・雑誌・CDなどを予約すると、取り寄せてくれる施設だ。区内の福祉作業所で作ったクッキーや石鹸も売っていて、借りる本が届いてなくとも、寄る。稀にせんべいも売っていて、これがとっても旨い。昼の3時にクッキーを頬張ると、空腹が収まる。夜まで仕事を頑張れる。長居はできないけれど、たまに職員さんとお喋り。5分。

クッキーは5枚前後で100円から200円する。銭場のコーヒー豆は、100gで800円~。佐藤青果であれば、レタスは300円くらいかな。

そのことを友達に話したら、高くてとても買えないと言う。そうかなあ?それにしては、財布の減りが早い訳でもないのだ。 念のため書くと、自営業なので少し良い月もあるけれど、おしなべて50代の平均月収よりすこぶる低い。

「レット・イット・ビー・スペシャル・エディション」「ラプソディーネイキッド・デラックスエディション」「 オールシングスマストパス50周年記念スーパー・デラックス・エディション」 など、全部買う。キヨシローの「KING Deluxe Edition」は通常版と限定版があり、全部買う。こうした出費の方が、遥かに鎌田経済を圧迫する。一方、コーヒー豆が数百円高くなったとしても、1ヵ月の鎌田収支はそれほど左右されない。

そもそも工場での大量生産、何十枚も入った旨いクッキーが1袋で100円だの200円だの。同じ味と品質を手作業で行えば、5枚で100円は妥当なんです。それ以上安く売ったら、赤字になります。工場の方がイレギュラー、特異な生産方法なのだ。

話が逸れている。今回は買い物に2時間35分かかる随筆でしょ!

イタリアだったか、スペインだったか、ポルトガルだったか。午前中買い物に出かけ、あっという間に半日経ってしまうという話を聞いた。のん気すぎる。呑気大将。そんな馬鹿なと思った。しかし今や、自分がそのようになっている。

酒も、西友で買うのを止めてみる。学生時代にアルバイトで働いていた、唐木屋。昭和元年創業。関東大震災の際は配給所だったという、三茶で最も古い店の1つだ。

僕が働いていた32年前は一般的な酒屋だったが、法律が改悪され、スーパーでも酒類販売できるようになると、至る酒屋が閉店に追い込まれた。唐木屋は全国の地酒と国内外クラフトビールに特化した酒屋へくら替えし、今も頑張っている。

唐木屋の思い出を書くと長文になるので(既になっとる)、つい先日のことだけ書きます。店内の有料試飲で、20種ほどもある生樽から選んでクラフト生ビールを吞んでいると、なぜ三茶には銭湯が多く残っているのか、 隣で呑んでいる女性が教えてくれたのだ。

目から鱗。45年も住んでいるのに、なぜ気づかなかったか。物凄い分析力を持つ女性と、1時間語り合う。さあ、なぜ三茶には銭湯が残っているのか?答えは後半で書きますぞ(まだ後半じゃないのか)!

先日の早朝、衆院選の選挙へ行った。投票所は、母校・三軒茶屋小学校だ。数十年ぶりに、通学路を歩いてみる。あの道もこの道も覚えていない。どんどん歩いていくと、豆腐屋を見つけた。 信濃屋(坂本商店)。45年も住んでいるのに、なぜ気づかなかったか。

10回ほどごめん下さいと言うと、ようやく女将が出てきた。綿豆腐・がんもどき・油揚げ・惣菜を2種類買う。がんもと厚揚げの煮たの・おからの炊いたの。

すみません。45年も住んでいるのに、ここにお豆腐屋さんがあったの、気づきませんでした。三茶小を卒業して、ずっとここに住んでいるんです。

あら、うちの倅も三茶小よ。あなた何年?

申(さる)です。1968年生まれです。ビートルズがホワイトアルバムを出した年です。(ビートルズの下りは心の中で話しただけ)

倅と近いわねえ。

そうですか!鎌田と言います。

あら、あの有名な 鎌田君?可愛かったわよねえ! 覚えてるわよ!

それ、うちの弟です。子役をやってました。

うちの次男が同じクラスよ!あらあ、懐かしいわねえ!今朝は嬉しいわあ。

20分話した。後日も買いに行った。休みでフラれる日も多い。ひじき。ぜんまい。こんにゃく。きんぴらごぼう。惣菜はどれも同じ味付け。砂糖とみりんと醤油。あまじょっぱい。昔の味。どうもこうも旨い。

あれ?待てよ。よくよく思い出してみると、あそこにも豆腐屋あったよなあ。あそこにもあったよなあ。銭湯は徒歩15分圏内で5軒もあるが、豆腐屋は信濃屋以外に3軒もある。僕は浮気することに決めた。

上馬2丁目の染谷商店。旨い。 30年前に開店と教えてくれ、よせばいいのに、僕の方が年上だと、余計な自慢で返してしまった。海より深く反省。

太子堂5丁目の伊勢屋。倅の代で4代目だそうだ。初めてなのに打ち解けてくれた女将さんと、長話。5分。倅が手伝っているせいか、どれもかなり旨い。

太子堂2丁目、西川屋。60年ほど前からやっている。豆腐ハンバーグなど若者向けも含め、惣菜も充実。人がちょっと並ぶ時も。70代か80代の女将さんと話す。

すぐそこに、長崎屋ってありましたよね。

あらあ、よく覚えてるわねえ!今はマンションよ。

僕の伯父が三茶でデザイナーをやってて、長崎屋の垂れ幕を書いてたんです。大売出しとか、年末大セールとか。

あらあ、そうなの?懐かしいわあ!

伯父はもう70代で、デザイナーは辞めちゃったんですけど。でも、垂れ幕を覚えてくれている人がいて、本当に嬉しいです。伯父はビートルズが大好きで、ホワイトアルバム(ビートルズの下りは心の中で)

5分。本当は、その続きを喋りたかった。伯父の修おじさんには、大変お世話になったこと。何十年も頑張っていたが、PCを導入したDTPの波はすごかった。還暦に近い伯父が、イチからPCを覚えるのは全く困難だったこと。写植オペレーターとして雇っていた僕の母に退職金を出し、店を畳んだこと。その後は警備員として働き、今はそれも辞め、家でのんびりしていること。長崎屋の垂れ幕の仕事は、当初デザインの仕事が全く軌道に乗らず、何とか見つけた最初の仕事であったこと。そこから軌道に乗ったこと。

女将さん、三茶ってどうしてこんなに銭湯が残っているか、ご存じですか?それはですねえ、ご説明差し上げますと…エッヘン!

始めるのに遅すぎることなんかない。遅すぎるのに始めることなんかない。話は尽きない。新記録が出た。素晴らしい夜さ。言葉を忘れそうだよ。

もう、何も始まらなくていい。ぐるぐると、買い物に2時間35分で、それでいい。


エプスタインズ創刊11周年記念特別事業
第2回エプスタ随筆大賞
応募締切:締め切りましたよ~
ジャンル:随筆
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賞品:福島県相馬市の新米及び新米酒
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発表:2022年2月22日
応募先:hironomiya.kamada☆gmail.com ☆を@に変換して送信して下さい
郵送は〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-20-13-410 鎌田浩宮まで

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2021.12.03