戦後70年目の慰霊の日

構成・鎌田浩宮

1945年6月23日。
日本国内で
唯一の地上戦
沖縄戦が
終結した
とされている日。

1961年に
当時の
琉球政府が
この日を
「慰霊の日」
と定め、
役所や
学校などは
休みとなる。

 

あなたのお仕事の取引先などが沖縄にある場合、6月23日に電話をする場合は、心の配慮が必要です。
県民が黙祷を捧げている時間かも知れないし、電話先のご先祖は、沖縄戦でお亡くなりになった方かも知れなません。

筑紫哲也さんが生きている頃は、よかった。
この日は何があっても沖縄へ行き、必ず「NEWS23」で生中継を行い、慰霊の日の様子を伝えた。
内地の人間は、この日が何の日かを知るきっかけになり、考えを深めることが出来た。
筑紫さんだったら、今頃戦争法案反対のデモに参加しているかも知れない。
辺野古基地移設反対デモなら、なおさらだ。

 

3カ月。
12万人。

 

感情的な記事にならないよう、データで突き詰めてみよう。
ベトナム戦争では、南北合わせて500万人のベトナム人の死者が出たとされている。
最近まで起きていたイラク戦争では、65万人以上のイラク人の死者が出たとされている。
2つとも、国という規模における、数年間に渡る戦争において、という意味合いだ。

一方沖縄戦は、1945年3月26日から6月23日のたった約3カ月で、両軍合わせ民間人含め20万人の死者が出たとされている。
そのうち日本側は18万8千人。
さらにそのうち沖縄県人が約12万人。
県民の、4人に1人が亡くなった。

この数字を見ただけでも、どれだけの地獄だったかが分かる。

 

こんな
追悼式は
初めて
では
ないか。

 

その事を踏まえて、今日。
下記の世論調査を見てもらうと、ようやく内地でも辺野古基地移設に反対が賛成を越えてきたことが分かる。
だが、内地ではまだまだ賛成が多いのも、確か。
これは、単なる無関心なのか?
無関心ゆえに基地問題に関する知識が足りないから、沖縄に基地が集中することに関心がないのか?
それとも、沖縄に対する差別なのか?
沖縄に基地が集中するのは仕方ない、その代わり経済振興で金を与えているではないか、という差別。

先程テレビ中継で、慰霊の日の戦没者追悼式を観た。
僕の観た中で、初めての光景だった。
沖縄県知事のスピーチに、歓声が上がる。
日本国首相のスピーチに、怒号が上がる。

これまでの歴史の中でも、沖縄と日本の間に亀裂が生じた事は何度もあった。
しかし追悼式で、歓声と怒号が飛んだことは、なかった。
SPや警備員も相当の数であろうし、そのような声を発する者はあらかじめ、参列を許されていないだろう。
にもかかわらず、2015年は、すごかった。
NHKのマイクが、しっかりとその声を拾っていた。
僕には翁長さんが、マーティン・ルーサー・キング牧師に見える。

翁長さんも安倍も、この歓声と怒号の大きさには、少なからず驚いたのではないか。

僕も、最後だけ、声を上げよう。
安倍よ、ケネディ駐日大使よ、よくもシャーシャーと沖縄に来たものだ。
僕らの怒りを、知るがいい。
あと、もう一言だけ。
今日だけは、辺野古の工事、休止しろよ。

県外も辺野古反対多数 全国紙世論調査 政府姿勢に批判広がる

米軍普天間飛行場移設問題に関する全国紙の4月の世論調査で、名護市辺野古への移設を進める政府の姿勢を「評価しない」とする声が多数を占める傾向が出ている。辺野古移設への反対が県内だけでなく、全国的にも広がっていることが鮮明になっている。
4月中旬に実施した朝日の調査では安倍政権の対応を「評価しない」が55%となり「評価する」の25%を大きく上回った。毎日の調査は政府の進め方への賛否を聞き、「反対」が53%で「賛成」は34%だった。
読売は翁長雄志知事と菅義偉官房長官の初会談が行われた5日までの3日間で実施し「評価しない」と「評価する」が41%と拮抗(きっこう)した。
翁長知事と安倍晋三首相が会談した17日からの3日間で行われた日経調査は、辺野古移設計画を「見直すべきだ」が47%で「計画通り移設すべきだ」は36%。4月下旬に実施された産経調査は辺野古移設に「反対」が44・7%で「賛成」の39・9%を上回った。
翁長知事が菅氏や首相との会談で、沖縄が辺野古移設に反対する理由などを直接説明したことなどが報道されたこともあり、政権の進め方に批判的な意見や辺野古移設そのものへの反対が広がり始めているとみられる。

琉球新報2015年5月4日より

 

 

 

沖縄戦「風化」68% タイムス・朝日新聞・QAB意識調査


沖縄タイムス社は13、14日の両日、朝日新聞社や琉球朝日放送(QAB)と共同で県内の有権者を対象に県民意識調査(電話)を実施した。6月23日の「慰霊の日」に関連した質問では、沖縄戦の記憶が「風化している」と答えた人が68%で「引き継がれている」と答えた人の20%を大きく上回った。沖縄戦の体験や知識を何らかの機会に次の世代へ引き継ぐ気持ちがある人は86%に達した。一方、翁長雄志知事が訪米し、普天間飛行場の辺野古移設反対を訴えたことは、73%が「評価する」と答えた。

沖縄戦の体験や、見たり聞いたり読んだりしたことを次の世代に語り継ぎたいかという質問に「すすんで話したい」と答えた人が46%、「たずねられたら話す」が40%となり、沖縄戦の継承に意欲を示す人が大半を占めた。

沖縄戦は「自ら体験がある」が9%にとどまり、戦後70年を経て戦争体験者が激減している現状が示された。「話を聞いたことがある」は75%、「どちらもない」は15%だった。

23日が慰霊の日と知っている人は98%に達し、知らない人は2%だった。

普天間飛行場の名護市辺野古移設は「反対」が66%で、「賛成」の18%を大きく上回った。

翁長知事を「支持する」と答えた人は64%で「支持しない」は18%。知事が辺野古の埋め立て承認を「取り消すべきだ」と答えた人は58%、「取り消すべきではない」は23%だった。

安倍晋三内閣を「支持する」と答えた人は22%、「支持しない」が53%だった。

■調査の方法 13、14の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、県内の有権者を対象に調査した。世帯用と判明した番号は1795件、有効回答は846人。回答率は47%。

沖縄タイムス2015年6月17日より

 

 

エプスタインズ慰霊の日特集、2014年の記事2013年の記事2012年の記事はこちらです。


2015.06.23