震度6強だったので相馬へ行きました 8日目

撮影・文/鎌田浩宮

2022年3月27日(日)

5時過ぎ起床。
まだ誰もいない茶の間でコーシーを飲み、福島民友を読む。
一昨日から始まったプロ野球の試合結果を読むのだ。

7時少し前。
お父さんから言われていた、障子の紙の貼り換えを始める。
地震で破れた訳ではないと思うが、お年寄りが1人でやるには手間がかかるだろう。やりますよ~!
この8日間の中で、最も楽な仕事だ。
杉ちゃんも起きてきて、一緒にやる。はかどる。でもって、楽しい。
1人での作業は、やや孤独だったなあ。

11時頃。
まだまだ貼り換えたかったが、障子紙がなくなったので終了。
昨晩3人で呑んでいる時話題に出た、ラーメン屋へ行く事に。
なんと、お父さんが若い時…60数年前だと思うが、その頃アルバイトで通った店が残っている、そこが旨いというのだ。


そんなに古い店、残っているのか。
末廣食堂。
相馬駅から、割と近い。
後で見たら、食べログにも載っていた。


お父さんお勧めのラーメンは、400円。
当時は、開店間もない午前中のスープが、出汁が濃くって旨かったんだって。


どれもこれも食べてみたいが、ここはお父さんお勧めのラーメンにしよう。毎日働いているので、腹が減っている。カレーライスも頼んだ。隣の客が頼んだチキンライスも旨そうだった。参った。毎日食べたいぞ。

カレーは普通だったけど、ラーメン、本当に旨かった。絶対、また来たい。
お父さん、最後にご主人とお喋り。お父さんが80歳なんだから、ご主人は何歳なんだろう?


帰り道。
地震で崩落した、歩道橋の階段。
ちなみにその後、2022年4月16日のNHKニュース「震度6強から1か月 復旧作業 思うように進まず コロナ影響 福島」ですぞ。

松川浦にあるカネヨ水産へ。
ホッキ貝やカレイ、ドンコ等々、買う。
「お前が料理するんだぞ」
と、お父さん。

田んぼ。東日本大震災の直後はこのような風景が続いた。津波による塩害だ。放射能による風評被害もあった。今ではこの多くに苗が植えられ、一面が緑になる。

この時期なので、稲ではない。麦かな?焼酎・夢そうまにも使われている品種「春雷」かな?

明日仕事の杉ちゃんは、浪江に帰った。
午後はオフにしてもらい、8日目にして初めて散歩をする。
いつもなら、相馬へ訪れると、いくらでも歩いて散歩を満喫しているのだ。

杉ちゃん家のそばを流れる梅川を下ると、30分で海に出る。そこに、碑がある。

海苔。貝。魚。ここに放射能汚染水を流す計画なのだ。そんなに水が安全ならば、東電、自民公明政府、彼らの家の風呂水や便所の水や食器を洗う水に使えばよい。彼らがやるのなら、僕も倣って自宅で利用します。

無闇に歩いて、撮る写真が楽しい。

こういうのも、楽しいでしょ。一軒家に併設、白戸さんの美容室。

昔、お墓だったのかな。

ほこらは多い。脇っちょにビニールハウスの骨組み。

杉ちゃんもお父さんも全く自慢めいたことを言わないんだけど、お父さんのいとこは相馬民謡の大家・杉本栄一さん。そのまたお父さん、杉本栄夫さんを讃えた碑。杉ちゃん家のそば。

お父さんのいとこ、栄一さん。「コロナもありライヴは行っていないものの、師匠として弟子への指導を続けている」と、杉ちゃん家を訪ねた栄一さんの息子さんが教えてくれた。相馬民謡好きとしては、息子さんに会えて感激。


こっちも凄いぞ。
栄一さんのお父さん、栄夫さん。
たまらない。
たまんねえや。


杉ちゃん家そばのバス停。
いいでしょ、休憩所。
でも、中が暗いので、誰も使わないかも。

明日、東京へ帰ることにした。
今朝、お父さんに伝えた。
洋子さんにも、伝わった。

その夜は、ほとんどお父さんがばんめしを作ってくれた。
カレイとドンコの煮つけは、絶品だった。
ホッキ貝はしゃぶしゃぶにした。ひっくり返るほど旨い。洋子さんが大根をすって、つけ汁に混ぜてくれた。
お父さんは、珍しくサラダも作った。
洋子さん・お父さんと3人で、最後の宴。

 

2022.04.22