震度6強だったので相馬へ行きました 最終日

撮影・文/鎌田浩宮

2022年3月28日(月)

6時前起床。
自分の分は東京へ持って帰るのだが、お父さんの衣服を洗濯。
お父さんと洋子さんのひるめしを作っておく。たらこの焼うどん。見た目は明太子パスタ。

一昨日だったか、洋子さんから沢山レコードをもらった。
ビートルズやラテン系のイージーリスニングなど多々あれど、目玉は民謡のアルバム。無論、CD化されていない。もう、たまらない。宝の山だ。東京に帰ったら、どこかを借りて爆音試聴会をやりたい。Yeah!


こちら、裏ジャケを撮ってしまったが、タイトルは「決定盤 東北民謡 相馬・いわき編」だ!
地元の人には知られている歌い手なのかも知れないのだが、僕の知っている相馬の歌い手は数名しかいないので、頭がくらくらしてくる。

おそらく旧姓は斎藤千恵子さん「相馬壁塗り甚句」

そこで調べてみると、このLPレコードで「相馬節(壁ぬり甚句)」「相馬盆唄」を歌っている斎藤千恵子さんは、おそらく改姓し、佐伯千恵子さんとしてご活躍なのでは…。


こちらは斎藤千恵子さんのEP。ドーナツ盤だ。なんと、洋子さんとは学校で同級生だったそうだ。すげーっ!

坂脇尚基「いわき馬方節」

先のLPレコードにて「常磐炭坑節」「いわきめでた」「いわき盆唄」を唄っている坂脇尚基さん、こちらでも聴けるぞ。

「相馬盆唄」を唄う黒脛(はばき)妙子さんは、結婚後いわきに引っ越し、門馬妙子に改姓。福島県民謡連盟副会長だとか。

「相馬流れ山」を唄う佐藤文子さんは、津軽民謡の師範。

「相馬土つき唄」を唄う片寄久子さんは、こんなご活躍も。

これもたまんねーっ!桃井可生さん。相馬の民謡だけ15曲入り。

桃井可生さんの唄声だ。かっちょいい! 改姓していないこともあり、すぐに探せたぞ。

これは、中のブックレットがすんごく充実。カラー写真入り20ページ強。秋田の民謡が10曲入り。

マジか…ジャケだけで、レコードが入ってなかった…でもいいわ。ジャケだけで味わう。この「会津磐梯山 全国民放選定 ふるさとの民謡シリーズ 福島編」は杉ちゃんのおじさん・杉本栄一さんが5曲、その父・杉本栄夫さんが9曲。相馬の民謡も沢山収録。

お座敷小唄には、あまり興味がない。相馬の民謡は、田畑や山林で仕事をしながら唄う仕事唄が多い。きつい野良仕事をてきぱきやる。疲れを紛らわす。率先して気分を朗らかにさせる。そのために、皆で唄を唄う。工夫して練り出したメロディーじゃなくって、自然に口から出たメロディー。だから、好きだ。

9日前に相馬を訪れた際は、常磐線(スーパーひたちも)も東北新幹線も不通だった。しかし、数日前に常磐線が全線復旧。こちらを使って東京へ帰った。

以前は、スーパーひたちで相馬に通った。しかし、原発事故で双葉駅などの区間が通行できなくなった。なので、以降は東北新幹線で福島駅まで行き、そこから高速バスで相馬を訪れていた。最後に相馬を訪れたのは、コロナ前の2019年だった。

しかし2020年、東京五輪に合わせ双葉駅が再開。遂に常磐線が全線開通となった。そこで、記憶にないほど久しぶりに、常磐線を使って帰京した。地震の影響で、臨時ダイヤ。10時半、相馬発。

数十枚のレコードと、車内で食べるようにと洋子さんがくれたお菓子とリポビタンD2本、お父さんが昨晩料理したどんこの煮付けなど沢山の海産物、原田さんからもらったいぶりがっこ、道の駅なみえで買った沢山の土産。とんでもない量の荷物を抱え、帰った。

地震の影響で、原ノ町駅までは徐行運転。そこから先は、通常の速度に。特急料金も発生。水戸駅からはサラリーマンも乗り込み、満席に近くなる。桜が満開じゃねえか。相馬は梅さえ五分咲きだったのさ。

品川駅で、山手線に乗り換える。相馬では問題なく持てた大荷物が、重くて持てない。相馬では、気が張ってたんだなあ。

相馬の気温に合わせて厚着をしているので、暖かいを通り越して、暑い。 でも、それも荷物になってしまうので、脱ぐことはできないの。

山手線内では、短パンにTシャツでサングラスの男を見かける。3月だぜ。アメリカの星条旗を模したデザインが、ダサくて見ていられない。あんなの、相馬で履いてる人いない。相馬の人は、清楚で品のいい服を着ているのさ。

夕方。
三軒茶屋に帰宅して、予想以上に疲れが噴き出て、ひるめしも食ってなかったが、すぐに寝た。9日間、起きてから寝るまで頑張ったもんな。

救急車のサイレン音。酔客の騒ぎ声。あれほど嫌だった三軒茶屋の喧騒が、気にならなくなっていた。相馬で自然に触れ、旨いものを食い、皆と呑み、人のために動いたことで、リフレッシュできたのだ。強い充実感に包まれた。

僕が今回学んだことは、4つ。

・大工道具を持って行くと役立つ!
・入れ歯のない高齢者のための料理・レシピを会得しておく!

・Wi-Fiルーターを持って行くと役立つかも!
・現地には自動車で行かなくってもいい(必要があれば、地元の人にその人の車で運転してもらえばいい。地元の人の方が道にも詳しいし)

相馬を襲った地震は、この2022年だけではない。

2021年2月13日の福島県沖地震では、震度6強。
2019年の台風19号では相馬市内各地で冠水。濁流は道路を破壊し、ダムからの水道管が破裂。飲用水としては、最長で10日間断水した。

2011年の東日本大震災以降、特にここ数年は多くの災害に苦しんでいる。震度4以下の地震も多発している。その度に、福島第一原子力発電所から放射能漏れが発生していないか、気が気でなくなる。

こっちも読んでみてちょ。

震度6強の地震から1か月 被災者用住宅の確保課題 福島
(NHKニュースより)

この手記を書いている2022年4月25日…相馬を訪れた約1カ月後、杉ちゃんが野菜を送ってくれた。

杉ちゃんが作った無農薬栽培のニラ。生命力があり、数年前に植えたものが今でも芽吹くそうだ。

近所の農家で採れたほうれん草。茎がものすごく太くって、でもって旨い。

根元が紫色のって、初めて見たので新鮮。長ネギ。

新鮮。みずみずしくって、したたるよう。味が濃い。どれも、もんのすんごく旨い。皆も食べなよ。当たり前だが、放射能ゼロだぜ。

2022.04.26