福島の農産物の事を訊く

構成/写真/文・鎌田浩宮

福島

もの
は、
食べてません
でした。

 

はい、正直に書きます。
八百屋さんで、福島の野菜、買ってなかったです。
茨城も、栃木も、群馬も、千葉さえ、買ってません。

でも、東京に住んでいると、
八百屋さんもスーパーも、
売っているのは上に挙げた地域の野菜ばかり。

ここ数カ月、キャベツ、買って食べてません。

さらには、去年は見かけなかった
福島産のキュウリやトマトなどが
スーパーの店頭にも並ぶようになりましたね。

割とお客さんも、躊躇なく買うから
置かれるようになったんだろうね。

だけれども。
僕が不勉強なだけかもしれないけど、
報道をいくら読んでも不安はなくならず。
だけれども。
福島の農家や酪農家の方が自殺された、
悲しすぎる事実も知っている。
なんとかしないと。

 

解らん
こと
は、
信頼
できる


訊く
のが
一番。

 

そこで、
311以降すぐに東北復興支援の仕事に従事し、
2012年4月に東京から仙台へ転勤した
ワオ君(仮名)に、色々訊いてみました。

彼は多い時には1日に3カ所以上の被災地を回り、
地元の人々と連携しながら活動をしています。
朝の早いうちから終電がなくなるまで、土日も働くこと、多々あり。
僕ら友人は、過労死だけはしないように心配しているんです。

 

ワオ君は、これまでも度々エプスタに登場してますね。

http://epstein-s.net/archives/7337
行く、東北へ。①~④仙台編

http://epstein-s.net/archives/9119
「夢をありがとう渥美清さん」十七回忌献花式へ行く

と、こんな感じです。
それでは、彼に訊いてみましょ。


(写真は2012年8月23日 福島県二本松市付近)

全数
検査。
検知
不可能。

 

;福島の農産物、いくら検査してるといっても、あれだけ膨大な量の生産物、全数検査なんてできっこないよね?

「福島県としては対応が遅くって、しびれを切らして、各市町村で、全数検査をやっているよ」

;抜き取り検査じゃなくて?考えられんような物量になるよね?

「血のにじむような努力をしているよ。自殺者が出ちゃったからね…、これ以上自殺者が出ないよう、それこそ過労死しそうなくらい頑張ってるよ」

;それでも、国の基準である100ベクレル以下というのはちょっとね…。正直に言うと、1ベクレルでも入っている物は、口にしたくないんだよね。

「福島の安全性を強く訴えたいから、ND(検知不可能)の物しか出荷していないよ」

;NDというと、確か10ベクレル以下だよね?

「その通り。機械が10ベクレル以下は読み取れないんだ。機械が読み取れないほど安全だということだね」

;10ベクレル以下を測れる機械は存在しない。

「ぶっちゃけた話、地下核実験を続け、しかも放射能検査をしていないどこぞの国からの輸入農産物より、よっぽど安全だね」

;「群馬や栃木、茨城などの状況は知ってる?」

「知らない県もあるけれど、栃木は不眠不休でやってるよ」

;最近、仕事の方はどんなことをしてるの?

「海外の小・中・高校生を東北へ招き、彼らに野菜を収穫してもらい、それを目の前で全数検査するんだ。ごまかしが一切できないね。これで東北に観光客が戻り、お金を落としてくれればいいんだけど…」

;何か困ったことはある?

「たまたま福島の内陸側に、海外から招いた学生を宿泊させたんだよ。そうしたら民主党の議員に『その地域は被害がなかった所だ。もっと被災地に宿泊させろ』って言われて。福島全土が風評被害で、どれだけ経済的に困窮しているか。被害がない訳ないじゃん。無知さに頭に来たよ」

 

バカ
みたい
かも
知れない
けれど、
親友
だから、
信じる。

 

ここからは
バカみたいな感情論になっちゃうんだけど、
ワオ君は、僕がつらくて打ちひしがれていた時に、
何度も僕を助けてくれた親友だ。

彼は実直すぎるくらい真面目で、
嘘をつく人じゃないのは、
彼の周囲の誰もが認めてる。

そんな彼が、
東北中を駆け回り、
様々な地元の人たちと仲良くなり情報を仕入れ、
その上で語っている。

そんな親友の言葉を信じないことは、
友情の裏切りになる。

僕は、福島の農産物を、食べることにしましたよ。

 

 

福島12年産米 早場米検出されず 放射性物質の全量検査
(河北新報 2012年8月26日)
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/08/20120826t61020.htm

福島県の2012年産米に放射性物質が含まれていないかどうかを調べる全量検査が25日、福島県二本松市で始まった。検査対象の早場米から国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超す放射性セシウムは検出されず、関係者は安堵(あんど)の表情を浮かべた。
 検査場の二本松市の倉庫では、みちのく安達農協(二本松市)の職員が早場米「五百川」14袋(1袋30キログラム)を1袋ずつベルトコンベヤー式検査器で測定。全て検出限界値の11ベクレル未満だった。28日にも市内の直売所で販売される。
 1袋ごとに個体識別のためのバーコードラベルを張り、基準値以下の場合はQRコードを記した検査済みラベルも張る。検査結果は1袋ごとにデータ化され、QRコードを読み取れば検出値や検査日が確認できる。
 生産者の安斎孝行さん(58)は「消費者の食べている姿が頭に浮かんだ。基準値未満でも急には安心感を持ってもらえないかもしれないが、科学的には安全であることをPRしたい」と話した。
 福島県産米は昨秋、県の安全宣言後に当時の国の暫定基準値を超える放射性セシウムが県内各地で検出され、風評被害を招いた。このため県は生産者の直接販売米や自家消費米を含めた全てのコメについて同様の全量検査を実施する。


2012.08.31