2012年7月20日(金)も、首相官邸前、行ってきたど!

取材/撮影/文・鎌田浩宮


も、
来た。
猛者が
集まり
雨も、
やむ
ほど
に。

 

今日の東京は、雨、時々土砂降り、といった感じで、
「あー、遠足だったら絶対に中止なのになあ。今日、デモ、やるんかなあ?やるんだろうなあ」
なわけでした。
先日の「さようなら原発10万人集会」もあって皆疲れている上にこの天候じゃ、人、少ないんだろうなあ、
でも頑張るさと家を出たんです。

電車、いつも1つ手前の赤坂駅で、どっと乗ってくるんだよなあ。

ここまでは、いつもと変わらない。

午後6時開始の、数分前。
ここから階段、エスカレーターを上がり改札へ行く。
いつもより人は少ないし、何よりも子連れの人を見かけない。
先週はへ上がるにしたがって喧騒が聞こえてきたんだが、今日は聞こえてこない。

改札を出る。
トイレに寄ると、そこにも警察がいて笑った。
その手のテロ行動をとる者は、絶対にいないさあ。

相変わらず出口規制をしているんだけど、毎週看板が違うのが面白い。

ものものしく見えるかも知れないけれど、もう、慣れちゃった。
のどかにさえ、見える。

どの駅の電車に乗るか、そんな自由さえ奪おうとしてます。

地上に出ました。
警察と主催者(誘導と書いた黄色い旗を持っている)が、ナカヨク列の最後尾へ誘導します。
いや、僕は最前列へ行って、官邸を眺めながらシャウトしたいんだが。

最後尾へ進む。
この赤いコーンを繋いでいる黒・黄色の棒を、この後2時間、隙あらば外して放り投げ、コーンも投げ飛ばす僕。

最後尾に着く。
信号が青になり歩行者が通るたびに車道を封鎖する。
横断歩道が赤になると封鎖を解き、車を通す。

車道に我々が飛び出し、以前のように官邸前の車道を占拠し人波で一杯にし、60年安保以来の迫力ある写真を空から撮られるのが、政府はこんなにも怖いのだ。

警察は首相官邸方面へ向かうのを止め、霞ヶ関方面の道路へ並ぶよう促すが、僕は、もちろん、無視。

ところどころに、こげな車も。
しかし同時刻、午後6時、最前列では鳩山元首相がデモに参加し、「再稼働反対」と演説し、そのまま首相官邸に入り、その旨を伝えに行ったのだ。

その頃僕の横を、姜尚中さんが通る。
先週は坂本龍一さんが来てたし。
著名人、皆、デモに来ているぞ。

この映像のように、今週も歩道と車道の間を警察車両が塞いでいるが、さらにコーンと棒で二重に柵を作っているのは笑っちゃう。

今日は、いつもより特にテレビカメラとリポーターを見かけた。
いい傾向です。
ちゃんと報道しなさいね。

この区切った部分も歩かせろと、お年寄りの方と警察が言い合いになる場面も。
お年寄りの方は、強い。
逮捕されようが構わねえ、って感じなのだ。

今日も、年配の参加者が目立った。
若者!学生!どうした。

 

今日、
猛者、
多いんです。
そんな
人たち
と、
ずっと
お喋りする、
僕。

主催者じゃ、ありません。
自分で拡声器を買って、持って来た年配の方。
1780円だそうだ。
行動力、あるなあ。

この方、君が代の替え歌を歌って再稼働反対を叫んでいる。
君が代といい、替え歌といい、キヨシローみたいでいいなあ。

こんなプラカード、持ちながら。
「脱原発に右も左も関係ないでしょ!」
その通りですよねえ。
「君が代って皆知ってるでしょ。だから替え歌にいいと思ったのよ」
なるほどお。
しばし、お喋りする。

この方に、周りの人は引いてしまっているわけではなく、にこやかに見ている。

 

いい

出してる
おまわりさん、
みっけ。

 

他にも、20代の若いおまわりさんに気軽に話しかける60代のおばさん2人、発見。
「あなたも本当は原発嫌でしょ?!」
「はい。仕事だからこうしてるだけで、私も皆さんの気持ちはとてもよく分かります」
「じゃああなたも『再稼働反対』って叫んじゃいなさいよ!」

もー、おまわりさん、ス・ナ・オ!
いい味出してる。
好きだぜ、そーゆーの。

僕も会話に交じり、おまわりさんだって福島の人とかいますよね?と訊く。
するとおまわりさん、
「あ、私は千葉の安孫子です!」
「あら、じゃあ大変じゃないの千葉だって」
そうですよね、農作物とか危険ですよね。
「そうよ!おまわりさん、あなたもこっち来ちゃいなさい!」

このおばさん、さっきのおじいさんから、1780円の拡声器を貸してもらって、シャウトしだす。

こんな感じで、先週より人はちびっとだけ少ないかもしれないけれど、こんな感じの、「猛者」、多いのよ、今日。
他にも、友達と談笑しながら、自分のペースで歩く人もいれば、
「皆おとなしすぎんのよ!」
と言いながら、おまわりさんの顔面数㎝のところで空のペットボトルを叩き鳴らすおばさん、
もー、猛者だらけ。
いろんな人とお喋り。
楽しい。

こんな天気の中を駆けつけて来るんだから、猛者の割合が増すのは、当然。
でも彼ら、政党色も組織色も、ない。
フツーの市民です。

善きことをする人の頭上に、雨は降らない。
とっくに雨、やんでました。

 

 

先週
より、
警備、
ゆるい。
やった!

 

日没後が、勝負なのよ。
そして僕らは、あのおかしな二重の柵をほぼ倒してしまった。
そしてじりじりと前へ進んでいく。
すると驚いちゃった。
歩道を区切り塞ぎ、それ以上前へ行けないようにしていた鉄柵を、警官が撤去したのよ。
時間にして午後7時20分過ぎ。
先週の警備の厳しさが、嘘のよう。
歓喜の声を上げながら官邸前を目指して歩きだす僕ら。
これで、ぎゅうぎゅう詰めから解放され、気分が悪くなり退出する人もなくなるだろう。

けが人病人を出すのは、警察、政府にとってもヤバいことなんだなあ。

午後6時に通った国会議事堂前駅4番出口の所まで、遂に戻ることができた。
最前列の首相官邸前は、もうすぐですぞ。

自由に歩かせろ。
自由にものを言わせろ。
ここは僕らの国だ。
ごく一部の支配者のものではない。

閉会間近、午後8時2分前。
先週は全く見る事の出来なかった、最前列に着いた。

今日も警察によって、様々なエリアに分散され、1か所に集まることを制限された僕ら。
その9割以上が、この光景を見られずに帰っていく。

しかし、それは分散でも分断でもない。
僕らは、拡散しているのだ。
それこそ、この街中に、日本中に。

官邸へと繋ぐ横断歩道は、このように通行を妨げられている。
通りの向こうへ渡って帰りたい人は、遠回りを強いられる。

キヨシローのプラカードをさげた外国の人とお喋り。
「日本のデモは自由がない。こんなのデモじゃないよ。本当のデモは、車道に皆が飛び出して占拠した、あの時だけだよ」
僕もそう思うよ。

そう、この道だよね。
車道に飛び出ることを目の敵にされた僕らの代わりに、ひっきりなしに再稼働反対の看板やポスターを掲げた車や自転車が通り、その度に僕らは気勢をあげる。
これが、アラブの春のようで心地いいのよ。

報道陣の中に、NHKの脚立をみっけ。
ちゃんと報道しろよな。
マジで受信料、返してもらうぞ。

いつの日か、この道をまた、奪回しようよ。
土砂降りの中あちこちから集まった、陽気で楽しい猛者たちとお喋りしながら、この道を闊歩しようよ。

猛者たちとたくさん出会ったおかげで、今週は先週よりも、楽しくさえありました。
敵よりも多く笑う事。
それが、勝つという事です。


2012.07.20