対談・豪雨の前夜に酒盛りはアリ?

文/ナナシー・鎌田浩宮
編集/鎌田浩宮

 

2018年3月11日には、
誓っていた。

 

「東日本大震災七周年追悼式」における内閣総理大臣式辞-2018年3月11日

この映像の2分48秒から見ると、安倍は
「震災による大きな犠牲の下に得られた貴重な教訓を胸に刻みながら、英知を結集して防災対策を不断に見直して参ります。政府一丸となって災害に強い強靭な国作りを進めていくことを、ここに固くお誓いいたします」
と発している。

それから約4カ月後の7月6日(金)、西日本を中心に豪雨が起こった。
そして、災害に対して誓った安倍は、その前夜に酒盛りをしていたことが分かる。

僕には、東日本大震災の犠牲者を踏みにじった行為に見え、はらわたが煮えくり返り仕方なかった。
しかし、インターネット上では相当の話題となっているにもかかわらず、新聞・テレビによる報道は当初なかった。

さらに怒りが増した僕は、度々エプスタインズに登場してもらっているナナシーさんと、数日間に渡って話をした。
以下は、その記録です。

 

7月8日(日)


おはようございます。 恐ろしい豪雨でした。ご親戚やお友達の被害は大丈夫ですか?

https://twitter.com/katayama_s/status/1014871245836431360

片山さつきが自身のツイッターで、豪雨の前日に酒盛りをしていた。安倍もいた。… この件に関し、はらわたが煮えくり返っています。


正に!


マスコミが一切取り上げないこと、不愉快です。

 

7月9日(月)


チョムスキーがミニコミ以外信じられないと言っていましたが、今の日本の状況はそう言うものでしょうね。


東京・毎日・日刊スポーツ・デイリースポーツ・産経が大きく扱いだしました。やっとか…。産経は、馬鹿野郎なベクトルでの記事ですが。

 

悪事を
上乗せすることにより、
怒りを
封じ込める。

7月11日(水)


ここ数年、沖縄で米軍関連の事件・事故が連続した際、米軍は謝罪するも矢継ぎ早にまた事件・事故を繰り返し、翌日には対象機の飛行を再開しました。悪事が断続的に続けば市民が疲弊し、次第に声を挙げなくなることを知っているからでしょう。

安倍政権も、この酒盛りを謝罪するのではなく、カジノ法案や参院6議席法案の強行採決、悪事を断続的におこなうことで乗り切ろうとする…。


ごちゃごちゃしたものを積み重ねて、ニュースの時間をそっちに持ってゆこうとしているんですかね。だからミニコミが重要なんでしょうね。インディペンデントで、フットワークが軽く、何者にも縛られない。目取真さんのブログとかはそんな感じじゃないでしょうか。エプスタもそう言うところがある。


目取真さん、僕も毎日目を通しています。彼の文でぐさりと来るのは、ネット上で偉そうなことを言っていないで、辺野古に来て闘えよというくだりです。


確かに、自分のフットワークの重さは反省しなければならいです。 労働力の規制緩和、郵政(保険)民営化、そして、次は水道と、アメリカに売り渡すのをいつも止められない。その前に沖縄と福島が売り渡されていた。

 

民主主義の崩壊した今、
何もできない市民。

7月12日(木)


エプスタでは、震災直後から毎週金曜の首相官邸前デモをレポートしていました。アクセスもそれなりにありました。しかし、今では市民運動の厳しさを実感し、ネット文化の限界も感じています。

今でも毎週金曜夜は、反原発だけではなく、安倍政権に対するデモが行われています。取材も兼ねて行かなくちゃと思うのですが、腰が引けている自分もいます。行っても成果が得られない。すなわち、政府に何の影響もなし得ない。


ネトウヨが複アカで輿論水増しみたいなことをやると言いますが、民主的な人々も、たとえ目に見えて世の中がらりと変えられないとしても、明確な意見のフットプリントをネットや街頭に現すのは大事だと思いますね。見えることが存在する事だという現実はあると思います。


街頭!三宅洋平君がハチ公前で演説をぶった時、人で溢れ返りました。あれは効果がありましたよね。顕在化という意味で。


顕在化大事ですね。 そして、それを実にしなければ……。

 

7月13日(金)


そのように考えると、僕は何を顕在化できるのか、悩んでいます。


確かに、日々の事として意見を吐き出すだけに止まらないもの、何が出来るかなあ。

 

 

内閣は、
24時間機能していなければ
ならない。

7月17日(火)


おはようございます。友人に「赤坂自民亭」の話をしたら、あれに不満はないとのこと。行政は365日気を張ってするものではない。気象庁や自治体が動いているのであれば、それに任せていればいい。その間は休んでいいということです。彼が職場でさまざまな省庁と接してそう思ったのだそうです。


内閣には内閣でないと決められない事があり、他の組織とは異なります。 しかも、72時間の重要性は内閣府も明確に一般向けの啓発文書を公開している。そして近年は水害がほぼ毎年起きていて、それがあっての気象庁の予測もあった。

仮に5日に酒を飲んでいても、7日増水が始まった時点で、民間人も交通関係も報道関係も強い雨を注視する状況になっていた。安倍が居ようが居まいが、内閣と内閣府が気象庁と緊密に連携して動き始めていなければならないでしょう。津波からも、近年の水害からも、何も教訓を得ていなかった事が明らかになったわけです。

内閣は、気象庁のや警察、消防、自衛隊のように24時間機能していなければならない部類の組織なんです。人が死んでいる中で、カジノ法案を通すくらいのフットワークで人を救う為のアクションを早期に取る必要があるわけです。


なるほど。では、逆に言えば赤坂自民亭は許容範囲だという意見もありなのかな…。僕自身は、いくら非番の時間とは言え、翌日の豪雨に備えとっとと寝るくらいの、「小学生でさえ遠足の前日は早く寝る」ような、馬鹿でもおこなう程度のことをしていない、明日何が起こるのかを把握していない連中に政府を運営する資格はないと思うんです。

 

想定外ではなく、
想定する基準が
間違っている。


これは気象庁がまず、予報をどう考えていたかと言うことがあります。そして気象庁のリスク管理情報が内閣にどういう風に伝わるようになっていたかと言うこと、そして内閣がそれを受けて適切な処置をしたかどうか。今回実際200名以上の方々がお亡くなりになっている。

詰まり、今回の気象庁の予報から注意報、警報、避難指示、そして政府内閣の対応には問題があると言うことです。今回の対応では人命が200以上奪われると言うそう言う対応だったと言うことです。

想定外というのは言い訳であって、想定をする基準が誤っている事を正当化出来ません。ところが、どうでしょう、議論はそう言うところに至っているでしょうか。人間としてどうだという感情論では、腹の立つ連中への糾弾は腹の立つようなしれっとした態度でかわされて立て板に水なのです。

酒を飲んでいる場合ではないとなるように気象庁から内閣に情報伝達があったか、そのうえで飲んでいたのか、そうでなくて飲んでいたのか、その証拠を挙げられるかどうか、ジャーナリズムの存在意義が問われている所だと思います。

それをジャーナリズム頼みにせざるを得ないところに、この内閣の既に終わっている所も顕れていると言う感じもしますが、それ以前から終わっていてそれが続いているメカニズムも野党側も与党の反主流派(そんなものが残っているかどうか怪しいですが)もつかみ切れていない。だから続くんです。

 

リベラル派の中でも、
食い違う意見。


阪神淡路大震災や、東日本大震災も含め、ほぼすべての災害に対して、それが起きた数カ月後をめどに、そういった検証はされてきました。ナナシーさんのおっしゃるような検証が、しっかりと近い将来におこなわれると信じています。

赤坂自民亭の断罪については、庶民の中にも和夫ちゃんのような意見が少なからずあって、マスコミも立ち上がらないのか?いや、記事にはしたけれど、反応は薄い。であれば、近いうちにナナシーさんの書かれたような検証は必須ですね。


そうなんです。 まず、内閣が、肯定派の論調のような普通の会社や組織ではなく、消防や警察のような24時間体制のリスク管理の頂点にあると言う点、そして、内閣府自ら、72時間の壁について啓発をしている事実。そして、今回の対応で、215名の命を救えなかった点。

非常災害対策本部による「平成 30 年台風第 7 号及び前線等による被害状況等について」
http://www.bousai.go.jp/updates/h30typhoon7/pdf/300709_h30typhoon7_01.pdf

94ページに、情報連絡室設置とありますね。そのうえで飲んでいた。詳報の俟たれるところです。


膨大な資料に目を通していただき、ありがとうございます。

なぜ、僕らのようなコンセンサスが、リベラルと言われる層の間で共有できないのか?僕の友人以外、ほかの友人に聞いても、今回は政府を責めるのはお門違いだと指摘されました。オウム事件以降に見られる、重箱の隅をつつきまくり正義を振りかざす論調と同じだと…。同じリベラルと思われる中にも、多様な意見があるんです。

 

死刑前夜に宴会
想像力疑う


組織の人々は自分の置かれた状況と引き比べるのだと思います。精神が社畜化しているんです。でも、内閣は8時間営業の会社ではない。リスク管理に大きい権限のある特殊な組織です。皆の論調なら、北朝鮮に弾頭発射の兆候が見られても時間外なら酒を飲んでいて言い訳です。

https://twitter.com/sexybboy_re/status/1019102229821681664

さて、かまちゃんは四面楚歌と感じたかも知れないけれど、暴力温泉芸者さんが、どこかの新聞からこんなのをスクラップして掲げています。

多分、私の内閣の機能性の論調より、かまちゃんの素で感じた印象の論調の核心を掬っている感じがします。 人の生き死にについての感覚が麻痺してませんかという。

 

 


2018.07.18