EPSTEIN TALKS ABOUT FUTENMA#44「内地から応援」

写真/構成・鎌田浩宮

今こそ
沖縄を
孤立
させない。

 

2015年3月23日、翁長沖縄県知事が、辺野古作業の停止を指示しました。
7日以内に国が停止しなければ、作業などの許可を取り消す見込みです。
やったね!
この連載では、ずっと沖縄の人々へ取材・インタビュー・寄稿をいただいていました。
しかし今は、内地の人間が、沖縄へエールを送るべき時です。
沖縄を、孤立させては、行けない。
肝(チム)は、ウチナー(沖縄)と、共にある。
そこで、内地から沖縄へのメッセージを募集したところ、多数集まりましたので、掲載しますね。
以下、お読み下さい。

のぶねえ さんより

沖縄通い10年です。
久高島とご縁があって ただ、沖縄が好きで通ってました。
オスプレイ阻止の県民大会に出ました。
こんなに反対してるんだからと安心したのもつかの間、アッサリ来ることになり驚きました。
普天間ゲートを封鎖する、あの場にも行きました。
非暴力で軽装で座り込む60代70代のおじさんおばさんを重装備の若い機動隊がごぼう抜きしてました。

友人が、生きてるうちに沖縄の戦後が見たいと言いました。
沖縄はまだ戦争の中に居て私の住む日本国の民主主義や平和憲法は見せかけだったのだと知りました。
この経験が澱のように私の心に沈んでいます。
もう沖縄から離れることが出来なくなりました。

翁長県知事の会見は言葉の歯切れが悪くハラハラしましたが、知事の腹は決まっている、という言葉に後で涙が出ました。
今年になって二度の沖縄行き、辺野古と高江に行くことが出来ました。
ゲート前で、浜のテント小屋で大浦湾で、高江のN4で。

人々は非暴力で連日闘ってます。
その中に私の友人も居ます。
みな手弁当で仕事の合間を惜しんでかけてつけています。
その熱を感じるだけで、私は沢山のエネルギーをもらいます。
民主主義の、最前線です沖縄。
なけなしの民主主義が滅ばないよう踏ん張っているのが辺野古キャンプシュワブゲート前です。
そしてその場所にはなんだか笑いも沢山あって実は楽しいのです(小声で

現政権が言葉たくみに国民の悪意を引き出し戦争への扉を押し開けようとしてます。
扉が開いてなだれ込むように犠牲になるのは、力のない一般市民である私たちなのに。
名古屋の街頭で辺野古や高江のためのチラシを配ってます。
それでも最近は受け取りが良いのは、さすがにきな臭いと感じる人が増えたのでしょうか。
それでも、やっぱり、ほとんどの日本人は他人事なんですよね。
それを知るとグッタリしてしまう。
ならば沖縄へ行って辺野古キャンプゲート前で座っていたい、そんな私です。

金洪仙さんより

海保の暴力確保についても、「人命救助」だと言い、「工事は仲井真知事時代に容認された事だからルールを守れ。危ないから、工事中の海に行くのは止めろ」という意見があります。
観たかどうかわからないのに、映画の話をするのはどうかと思いますが、高江のヘリパット(オスプレイ低空飛行)建設と普天間基地完全封鎖は『標的の村』、辺野古の新基地問題は『圧殺の海』等の渾身のドキュメンタリーがあります。
映画を観た後でも、ルールだとか、人命救助の確保だとか言えるでしょうか。
体が震えるほど、オソロシイ場面、現実があるのに、それを否定・批判されるのは、人の悲しみを思いやれない方だというしかありません。
感情的と捉えられても仕方がありませんが、沖縄の人たちの必死の抵抗を思う時、心がズタズタにされる悲しい気持ちでいっぱいです。

佐竹京子さんより

住民が嫌なものはイヤだとはっきり言い続けることが大切なんですよね。
国と沖縄県が対峙するとき、私たちは沖縄県の市民の意思に沿うべきであって、国のご機嫌とりをすべきではないと思ってます。
ましてや今回の翁長県知事は沖縄に基地を作らせないといって選んだ知事でしょう。
沖縄の事は沖縄だけの問題ではありません。
県外の人も自分のこととして関心を持ってほしいですね。

H.Kさんより

辺野古への移設か、今のまま普天間に固定するかの二者択一を迫るような今の状況はどうなのでしょうか?
民主党政権に裏切られ、辺野古に決まった、いや工事は中止だと、今に至るまで振り回され続け、本当に辛く傷ついているのは沖縄の方々だと思います。

正直なところ、私自身どこか人ごとだと思っていたことは否めません。
が、あらためて鎌田さんの問いかけを受け、今一度この米軍基地問題を考え直す機会を頂きました。
何が一番の良策なのか?
難しいです。本当に。
ただ、この状況の中での最善の自然保護策、そして沖縄の方々が安心して生きていくことのできる環境を、政府は一番に考えて欲しいです。
これは沖縄県だけの問題ではありません。
日本国の問題です。
沖縄の方々が一日も早く穏やかな日々を迎えられますよう、祈っています。

大友麻子さんより

翁長さん、頑張ってるね。
それに対する菅官房長官の「この期に及んで」連呼発言、
政府高官の「許可を取り消したら無効を求めて訴える。その間、工事は中止しない」発言。
何がどうあっても、沖縄県民が何を言っても、考える気なし。
日本政府って、米国の代理人なのか?日本国民の幸福追求のために動く組織じゃないのか?
とはいえ、私も「無関心に生きてしまう」人間の一人なので
すごく難しいです。

ただ一つ、名護市長選で辺野古にノーの民意を示し
総選挙のときも沖縄全ての選挙区で与党にノーを示し、
沖縄県知事選でもオール沖縄でノーの意志表示をしてもなお
止められない辺野古基地建設について、沖縄の人たちの怒りに賛同してます。

日本は米軍基地の縮小のためにどんな努力をしてる?
クリミアに鳩山さんが行っただけで、あの騒ぎよう。
外交ってのは、表と裏、いくつもの交渉のパイプ、二枚腰、三枚腰で
可能性を探って行くものなんじゃないの?
米国と歩調をあわせる、というバカの一つ覚え以外の努力をしないのが
ほんとに日本の「国益」にかなってると思ってるの?

永続敗戦論の白井聡さんが、「インポのマッチョ」って現政権を表現してたっていうけど、まあ、インポが問題ってことじゃないんだけども
要は、武器を持ってるのに行使できないというインポ状態が
政権のマッチョ気質に拍車をかけてるということらしくて、
なるほどなと思いました。

とはいえ、先日、いろいろ考えの異なる友人たちと
「圧殺の海」を観に行ったのですが、
あの現場の切り取り方は、申し訳ないが観客に心が何も伝わってこなかった・・・。
「圧殺の森」のようななにものかを期待して行った私には切なかった。
(編注:「圧殺の森」1967年 監督:小川紳介 群馬県にある高崎経済大学を舞台に繰り広げられる学生闘争を追った作品。学校側の裏口入学が問題となり、学生たちの闘争心に火をつけ、彼らは学内にある学生ホールを占拠し学校と対立した。当事者たちの中に入り込み、彼らと同じ視点から描く小川ドキュメンタリーを確立した記念碑的作品。DVD未発売)
その「物事」のリアリティを、どう自分とひきつけて考えるかって
あらゆる事に通じてると思います。
別に、クリミアがロシアに併合されようが、ウクライナの領土であろうが
私たちはそこにあまり思いを馳せなくても暮らして行けるし、
元従軍慰安婦の人たちと日本政府との闘いに関心持たなくても
自分の日常は保たれて行く(というか関心持たない方がおもてむき平穏に)。

そして、日本の基地と原発って、本当に同じ精神構造の中で保たれていて
地方は呪縛の中でそれを引き受け続けて、都市の人間たちは金で解決してるんだからと、自分を納得させようとしてきた。

だけれども、こと、自分たちの生活圏が放射能に汚染されてるんじゃないかとか、食品が汚染されてるんじゃないかと自分の肉体にダイレクトにつながってくると、一気に問題はリアリティをもって迫って来る。

さらにまとまりがなくなりました。
沖縄の怒りを前に、私は一緒に怒りの声をあげるよりも
何もできない自分のふがいなさにうなだれてしまう。
そして、日常に忙殺されていく。っていうのが正直なところです。
沖縄の人たちには、申し訳ないという思いです。

寄稿して下さったヤマトゥーンチュの皆さんの文から、もどかしさがまず最初に感じられます。
そもそも、この記事自体が、とても微力なものです。
でも、僕は何かせずにはいられない思いで、この記事を編集しました。

「日本の予算による今回の埋め立てで、滑走路だけではなく軍港が造られていることは、意外とほとんど知られていない。巨大な軍艦が停留できる港を日本の予算で造られるのは、米軍のかねてからの悲願。そして、米軍の大半がグアムに撤収してしまう予定のに、なぜ新基地かというと、自衛隊もここを使用する予定だから。」
と、既にエプスタインズでは報道済みです。
辺野古へ実際に行き、つかんだ情報です。
全ての話には、裏があります。

これからも、連載を続けていきます。


2015.03.25