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- 2023.02.19:[Radio] walkin’ to the beat everlasting③
緊急連載「有志連合と協力して」①
文・鎌田浩宮
連載
第1回
「自己責任
じゃね?」
僕の母と再婚した旦那さんは、ごくフツーの人だ。
原発には反対だし、一緒に韓国料理屋へ行き、在日コリアンのご主人と会話を楽しむ。
その彼でさえ、こう言ったそうだ。
「湯川さんも後藤さんも、自己責任だよ」
当時、軍人とか変人とかあだ名されつつもゼツダイの人気を誇った小泉が、首相だった時に流行らせた言葉であり、考え方だ。
あんな危険な所に行くのは馬鹿げている、死を覚悟で行ったのなら放っておけ。
あの温厚な母の旦那さんでさえ、「フツー」にこう語るのだ。
こういった潜在意識は、この国のごく一般的な市民へ、相当に蔓延していると思う。
でも。
僕が、湯川さんや後藤さんの家族や親友だったら、「あそこ」へ行くのを止めなかっただろうか?
親しければ親しいほど、泣きながらでも止めたかも知れない。
「ホテル・ルワンダ」という映画を観ていなかったら、僕のようなチンケな脳みそは、湯川さんや後藤さんを理解できなかっただろう。
報道
されない
と、
誰も
助けに
行かない。
2004年に公開されたこの映画は1994年、ルワンダで勃発したフツ族が同族の穏健派やツチ族を120万人以上虐殺するという実話を基にしたものだ。
当初日本未公開だったこの映画、こんな素晴らしいものは上映しなきゃおかしいという署名が集まり公開が決まったという、異例のものだった。
アフリカの内紛や内戦、戦争は、今回の中東と同様、当時も今も、わずかしか報道されない。
この映画の中でも、ルワンダはあまりにも危険だという事で、さらに言えば、なぜこんな事になってしまったか報道が欧米にきちんと伝わっていないために、世界各国のマスコミもジャーナリストも、国連軍でさえも、ルワンダから引き揚げてしまう。
こうしてフツ族による、罪のない子供や女性を含むツチ族への虐殺は、誰も止める者がいなくなり、ルワンダ全国民の10~20%が殺されてしまった。
2分あたりから日本語の予告編になります。
正しい報道が、国連にも、欧米にも、もちろん日本にも届かない。
だから、誰も救助に、援助に行かない。
世界中から見放され、なぶり殺され続けるだけの、ツチ族。
これを救えるのは、正しい情報を伝える、報道以外にないのだ。
無数の後藤さんがいなければ、そしてそんな土地に興味を持ち分け入って行く無数の湯川さんがいなければ、中東のこども兵の事も何も知る事ができず、無数の罪のない人々が殺され続けるのだ。
イスラム国は子供を誘拐し、思想教育をしこども兵に仕立て上げてしまう。
まず最初に、自分で自分の出身の村を襲撃させられ、自分で親や友人を殺させ、戦闘への抵抗感をなくさせてしまう。
麻薬やアルコールも使われ洗脳させられる。
(東京新聞2015年1月31日特報面より)
こういった事が、世界中に知らされないでいいわけがない。
後藤さんの行動を自己責任と言う人もまた、正しい情報、正しい報道を知らないだけなのだ。
湯川遥菜さん、後藤健二さんの死を、心からお悔やみ申し上げます。
東京新聞に倣って、オレンジ色の服を着させられたお2人の写真よりも、笑顔で子供と接していたお2人の写真を掲載します。
エプスタインズでは、様々な人から原稿を取り寄せ、今日から集中連載をしていきます。
2015.02.02