緊急連載「有志連合と協力して」②

構成・鎌田浩宮

識者

全て、
同じく
語った。

 

連載第2回は、説得力を持ち得る、その専門の人達のコメントを列記することにしました。
これが不思議なほど見事に、専門家であればあるほど、語る事は皆同じ。
そのごく一部を掲載します。

「『イスラム国』は米国と協力する国を敵と考えており、日本は戦いに既に巻き込まれている。日本人を拉致しているさなかの2億ドル支援表明を、『イスラム国』は自分達への挑戦と受け取り、日本が敵であるとあらためて認識した可能性がある」

パキスタン在住パレスチナ人ジャーナリスト、ジャマール・イスマイル氏
(2015年2月2日東京新聞7面)

「(今回の事件の発端を)中東歴訪中の安倍首相がイスラム国対策の財政支援を発言した事(ととらえる。その上で)その後イスラエルとの関係強化を表明した事もあり、中東イスラム世界で日本のイメージ悪化は避けられない。(声明の)メッセージに対し、政治家が売り言葉に買い言葉の対応をすれば、日本の立場はいよいよまずくなる」

日本女子大、臼杵陽教授(中東現代史)

「今回の事件が起きたのは、米国の間違った中東政策のツケ。米国によるイラク戦争がイスラム国という常識の通じない、残虐な組織をつくりだした。米国の終わりのない、勝てない戦いに付き合っても問題は解決しない。戦争を2度と起こさないという憲法9条の理念を追い続けるのか、冷戦が終わったのに米国との同盟関係を優先するのか、日本の良識が問われている。日本は欧米の旧帝国主義とイスラム国、どちらにもくみしないスタンスを明確にし、武力行使は役立たないと提唱することが唯一の道だ」

元レバノン大使、天木直人氏
(以上、東京新聞2015年2月2日社会面)

テレビを観ると、専門家でもないコメンテーターとやらが、知識もないのに主観だけでコメントをしている。
だから、多くの人がテレビに飽きて、スイッチをオフってしまう。
今重要なのは、中東という土地を知り尽くした、しっかりとした知識を持った専門家が名乗りを上げて、実情を語り尽くす事だ。

そうすれば、自然に安倍の一連の行動・言動がミステイクだったが、炙り出される。
日本が、アメリカのように軍産複合体としての利潤を追求し、戦争に参加してしまうのをやめるのは、たった今なんだぜ。

僕は、実名でのコメントには、匿名のコメントより一目置くようにしている。
ちなみに、僕がエプスタインズに書く場合、その殆ど全てが署名記事だ。

ネトウヨと呼ばれるごく一部の人達だけを非難するつもりなんかないけれど、匿名なら責任を持たずに好き勝手なことが書ける。
ネット社会は、匿名社会だ。
だから、ネトウヨ的な考えを持つ人がここ数年急増したように見えるけれど、日本という国は、もっと昔っから、そのように考える人は一定数いたと考える。

これまでは、自分の意見を発信するには、自分の顔を出し、自分の書き文字で、郵便やファックスや電話を使って、投書しなくちゃならなかった。
そんな事までして、例えば後藤さんのことを「在日だ」と言うのは、かつてはリスキーだったのだ。
気が狂ってるんじゃないかと、マジョリティーから非難されるに決まっているからだ。
その前に、紙面、誌面などのメディアに掲載、放送される事もなかった。

僕は、自身の映画「鎌田浩宮 福島・相馬に行く」の全国上映で、右翼の人とも友達になった。
本当の右翼は、筋が通っている。
体を張って、身を挺してこの国の事を考えている。
ネトウヨの人達が真剣にこの世界を考えていない、なんて言っちゃあいない。
でも、匿名は気が楽だと思う。

先日、報道ステーションで元経産官僚の古賀茂明氏が、
「フランス人は『Je suis Charlie(私はシャルリー)』というプラカードを持って行進したけど、日本人は今、『I am not Abe』というカードを掲げる必要があると思う」
と語り、本人の身に何かありはしないかと心配されたそうだが、直接の被害は何もなかったそうだ。
顔を出し、自分の名前を出して語る、という事は、こういう事なのだ。

もう1度書くが、ネトウヨ的な考えを持つ人は、昔から増えも減りもしていないと思っている。
それがインターネット社会になり、顕在化しただけだ。
世論調査をすれば、やはり原発は廃炉した方がいいという人が多いし、集団的自衛権に反対の人も賛成の人より多い。
憲法改正だって、反対の人が多いのは変わらない。
先日の衆院選に立候補した田母神は、その選挙区にて断トツの最下位得票で落選した。
この国は、まだまだ安倍の独裁に、染まっちゃあいないのだ。

僕は、この国の事を真剣に考え、行動している人ならば、ネトウヨだろうと卑下はしない。
対立よりも融和、これが後藤さんの意志を引き継ぐことだと思う。
キヨシローだって、そう言ってくれると思う。

エプスタインズでは、様々な人から原稿を取り寄せ、昨日から集中連載をしています。


2015.02.03