EPSTEIN TALKS ABOUT FUTENMA#20「村上春樹の、壁と卵。」

6/7(月) 10:32am 鎌田浩宮

>自分をコントロールするということは、
>常に自分の被われている現実を理解し、
>その仕組みを見抜き、
>またそれを心を寄せる他者と共有することで
>はじめてできることだと思うんです。
>それは喧嘩が上手ということだと思います。

>多くの人はかりそめでもなんでも平和を常態と思っているのは、
>裏返したら喧嘩があまりに下手なんだからだと思います。

おべっかを使うわけじゃなくて
akeyboさんを今回お呼びして
本当によかったなと思うのは
上記のような真理を
さらっと書いてくれるところです。

僕がキング牧師とマルコムXを例えに出したのも
どちらの方法論にシンパシーがあるとかではなく
現在の沖縄に照らし合わせて考えれば
非暴力であった方が
「上手い喧嘩」
であると思ったからです。

その上で、
知枝さんが助け舟を出してくれましたが
村上春樹のエルサレム賞受賞スピーチでの
「壁と卵」
の話がありましたよね。

あそこで村上は
武力闘争を肯定したわけでも
自爆テロを支持したわけでもないのは
僕が言うまでもないですよね。

僕がコザ暴動に関して言っているのは
そういう事です。
知枝さんも、先の文は、
おそらくそういう意図で書いて下さったものでしょう。

いかに上手な喧嘩をしなくてはいけないか
というのは、
この往復書簡の当初からのテーマの1つだし
3人の共通認識だと思います。

その意味でakeyboさんが先に書いた
横の連帯などはとても上手な喧嘩の仕方だと思うし
芸術家のパロディー作品なども同様だと思いますよ。

6/9(水) 5:03am akeybo

>「壁と卵」
>の話がありましたよね。

「当初は村上の受賞スピーチなんて、不愉快で未読のままだった」

ああ、なんか日本で売れに売れまくってる流行作家が、

イスラエル軍がパレスチナ無抵抗の市民に焼夷弾を雨霰を降らせて、もはや殺したい以上に苦しむ様を見たいシリアルキラーの領域に作戦本部丸ごと入っているんじゃないかというあの非道の最中に、

海外翻訳を睨んで販促にいったと揶揄する人がいたけど、さもありなんと僕も思い。
不愉快でほとんど読んでいなかったのですが、読んでみました。

>あそこで村上は
>武力闘争を肯定したわけでも
>自爆テロを支持したわけでもないのは
>僕が言うまでもないですよね。

わざわざ外国人が出向いた割には、そこはかとなく配慮に富んだ文章で、はい、さすがプロの文章で、別に悪い事いってないですね。

「彼のスピーチは、イスラエルもパレスチナもどっちもどっち、
と受け取られるかも」

でも、時期的にイスラエル国民にしたら、イスラエルもパレスチナもどっちもどっちなんだみたいな風に取れてしまうんじゃないかなとか思いました。

>僕がコザ暴動に関して言っているのは
>そういう事です。

鎌田君は沖縄の基地問題に関して、「どっちもどっち」なんて思っていないじゃないかと思うのだけど、それはきっと「壁と卵」の話から僕が感じたところと違うところを読み取っているのかもしれないね。

知枝さんの話は、シンプルに現地での体制のやり方を見るにつけ、憎悪のあまりに一線を越えそうになるってことで僕は理解してます。

が「壁と卵」がそういう思いを吐露した風にはとれなかったかったです。

「村上の興味は、過酷な現実を無視してでも、
超越した個々の人間の尊厳にある」

むしろ過酷な現実を無視してでも、超越した個々の人間としての尊厳に彼の興味はあると言っている様に思えたもので。

この「壁と卵」の講演のシチュエーションを大幅に無視して、テキストだけを読んで感想としては。
僕自身、もし基地問題に刺激を受け音楽制作するとなったら、怒りの正当性を訴えることよりも、超越して愛し合おうという風にしか表現できないだろうなと思っていて。
如何にも現実離れして結局弱い方にだまっとけって風にしかならない、気の利かないものになりそうだなと思っているので、何か自分の持っている後ろめたさ、無力感、その辺りがうずくようなものと通ずる様な感じはしました。

ただ、わざわざ戦闘の最中にいって語ることなのかな。。と思ったりしますが、きっと村上さんには作品で挽回できるという自信があるんだろうね_という風には理解できますが。

2010.10.02