都知事選を井戸端会議しましょ。#3「共生できるヴィジョン」

文・大友麻子/鎌田浩宮

あなたの
街は
他人を
ねたみ、
蹴落としますか。

さあ、
行くぜ。
連載第3回。
読んでおくれよ、
ベイベー。

 

 

貧しい時も、共生できる社会を。
大友麻子

そうだねー。
何のための一票か。
明日の自分のパンには関係なくても
この世の中でできるだけ辛い状況を少なくするために
どうしたらいいのかなあ、という事を考えて行けたらいいなと思う。

しかし、しかし、哀しいかな、自分の収入がガタガタになって
首、まわんねーって状態になると、思考が停止してくるんですわ!
そんな、夢物語を語ってらんないよ!!みたいに、気分が荒んでくる。
今日なんか、まさに、月末で、家賃の支払いもあり、
国民健康保険料だとか何だとか、そういう事におたおたしてしまう。

でも、じゃあ、明日のパンを一切れでも余分にぶんどれれば
それで満足できるのかっていうと、違うな、と思う。

働けど働けど、ちっとも収入につながらない。
自分の頭の使い方がうまくないんだ、必死になっていないからだ
という事は、分かっちゃあいるけど、あんまり自分を精神的に追い込みたくもない。

それで、ぐるりと戻ってくるのは、
みんな調子いい時もあれば、調子悪い時もある。
稼げる時もあれば、稼げない時もある。
それぞれのペースがある。
そういうそれぞれのペースの人たちが
共生していけるように考えるのが、行政の役割で。

それが、最近はまるで、「生産性の高さ」で人を計るような空気。
生活保護を受けると、「ずるい!」みたいな空気。
誰かがちょっとでも「得」してそうに見えたらやっかむみたいな空気。
ボチボチ首がまわりにくくなると、気分荒んで、人にもきつくなる。
それがいやだなあと思うよ。

で、巡り巡ってさらに考えると、
良心があるから、原発が押し付けられてる地方の事に思いを馳せよう
基地が押し付けられている沖縄に思いを馳せよう
とかっていう事じゃないんだよな、と思う。

自分が生きていくときに、どうしたら、ちょっと気分が豊かになれるか。
明日のパンの一切れが多めに食べられるよりも
もうちょっと長い目でみて、安心して老いていけるような
かつ、息苦しくない社会がいい。

そして、冷静に、冷静に考えて、原発は文字通り、息苦しい。
放射能に自分たちの土を汚染されて、収束してなくて
活断層だらけで、毎日大量の汚染水が出てて、
保管先どうしようとなってて、汚染された地下水が海にも流れ出て、
それなのに、さらに核のゴミを増やすんですかって。
「経済」のために「停止」できないっていうのがわからん。
使わなくていい事にじゃぶじゃぶやってるくせにさ。
アメリカから戦闘機買って離島に置くの、今、必要ないじゃん。
それよりも、対話じゃん。

という事をつらつら考える。
酒飲みながらでも議論になる。
それだけ、考える事の切実さが増してるって事だと思う。
正直言って、経済成長して日本が大きな船みたいになってた
団塊の世代の方たちの頃よりも
考えて対話する切実さ、桁違いだと思う。

ただ、ちょっと細川さんの教育の方針で気になった事。
今日の新聞で「岩盤規制」といわれる分野として、教育を挙げていた。
そして、規制改革を強力に押し進めて行きたい、という。
おいおい、ちょっと待った!と思ったよ。
教育の規制改革て何よ。市場開放しなくていいよ。小泉みたいな事言わないでよ、と。

日の丸君が代的な方向とはまた、全然違うベクトルだけど。
医療と教育は規制改革しなくていい。
行政がきちんとケアする分野なのに、そこを成長産業とかって
市場経済のえじきにさせるような事はしてもらっちゃ困る。

まあ、いずれにしても、舛添を倒してからの話だ!!

 

アベノミクスを超える、豊かさの提示を。
鎌田浩宮

僕、福島に友達がいるんだけどね、
先の衆議院選挙で
なんと原発再稼働を公言している
自民党に投票したんだよね。

まずはカネがほしい、
経済を立て直してほしい、って。

これだけ自分が
原発で人生を
めちゃくちゃにされてるのにね。
もう、
呆然としたよ。

アメリカ型の経済成長を目指す日本は
北欧型の共生できる社会システムを見向きもしない。

「生活保護の費用引き下げ。

渋谷・宮下公園の、
年末の野宿者の強制排除。

オリンピック招致の際の
代々木公園の野宿者強制排除。

アメリカからオスプレイを買うのをやめて
沖縄の最西端・与那国島に自衛隊基地を造り
中国や韓国に刺激を与えるのなんかやめて
貧困層を救おう。
保育園を造って
社会保障を厚くして
働くお母さんお父さんを助けよう。」

…とかなんとかって言ってくれる人が、
以前はいたんだよね、メディアの中に。

今、そういうことを言うのは、
三宅洋平君とか
メディアの外にいる人かな。

三宅君1人の得票なら
当選してたよね。
これって、
まだこの国を信じられる
証しかもしれない。

三宅君の提示する福祉のヴィジョンに
多くの人が共感していた。
そのヴィジョンが具現化すれば
貧しい人同士で
蔑んだり荒んだりやっかんだり
しなくなっていくんだと思う。

細川さんが
「そういった共生できる社会システムを作ろう
福祉のヴィジョンを具現化しよう
貧しい人や中流階級が荒んだりやっかみ合わず
共生できる世の中にしよう、
その一環として、
一部の人だけが儲けるためのための原発をなくそう」
と、市民が心豊かに生きていくための
包括的な姿勢で政策を提示してくれれば
アベノミクスというヴィジョンの提示をひっくり返せるよ。

それこそが、
地方が中央を変えていく
って事なんだと思うよ。

実はそれに1番近い提示ができているのは
宇都宮さんなんだけれど
包括=トータルとして
心豊かな共生できる社会のヴィジョンを
提示できていないんじゃないかな。

だから、
宇都宮さんになると緊縮財政になって
都民が儲からなくなるぞという
安易な幻想に負けちゃうんだ。

教育の市場開放なんてスローガンに
負けちゃだめだぞ!

(と、ここで、つくづく脱原発派で候補を「一本化」できなかったことを嘆くのでした…グスン)


2014.02.04