都知事選を井戸端会議しましょ。#2「原発は争点?」

文・大友麻子/鎌田浩宮

このキンキュー連載
前回の第1回は、
普段はそんなに感想をくれない
年下の従妹からも感想をもらったりして
「ああ、やっぱし皆迷ってるんだなあ」
と思われ。

さて、
今回の第2回は、
都民だけでなく
国中が注目している
「脱原発は争点か」
を、しゃべくってみます。

もー、
40代しゃべり場か。

エプスタの、
「マイ・ラスト・ソング」
「映画おとーり」
などで筆を奮ってくれている
映画ラインプロデューサーであり
出版編集/ライターでもある
大友麻子
僕、鎌田浩宮との
往復書簡で
この連載を
進めていきます。
では、読んでみてね。

原発、争点でしょ。
鎌田浩宮

イシハラの尖閣国有化による日中関係の悪化、
それに乗じて沖縄の米軍・自衛隊基地の固定化を企てる政府、
(日本最西端、日本より台湾の方が近い、Drコトー診療所の島・与那国島にまで自衛隊基地を作るんだからね)
しまいにゃそれを子供たちの教科書に載せろと言い始め
NHKの右傾化が、世界中に報道される。

もう、
1つ1つが、
麻子の言うことに賛成だよ。

これだけ事前に
舛添優勢が報道されりゃあ
細川さんに賭ける
しかないよねえ。

さて、
「脱原発は選挙の争点なのか?」
って、未だそんなクダラナイこと言って
都民をだまそうとしているのか
と思っていたら、ね。

実は先日、
バンドのメンバーと呑んでいてね、
いい感じで酔っ払ってきて。

そしたらね、
もう約15年一緒にやっている
それこそ反原発の曲も沢山一緒に演った
メンバーの1人がね、
「脱原発は争点にならない」
って言い出したのよ。
「福祉等が都政の争点であり…」
とか、NHKか読売新聞みたいなことを言い出して。

もう、びっくりしてね。
愕然。
1番近い人に
無理解な人がいたよ…。

もしよければ、
この事に関して、
何か語ってもらえたら
嬉しいんだけど、どうかな?

「気分」だけでない、投票を。
大友麻子

そんなに啞然とする事じゃないのでは…。

「原発は争点にすべきじゃない」と考える人がいてもいいと思うよ。
やっぱり、関心は人それぞれだもん。
「集団的自衛権」は都政の争点じゃない、と思う人もいるだろうし。
都政は、都民の暮らしに直結した問題を論じるべきだ、とか。

2年前、原発都民投票の署名を集めた時も思った。
私の仕事の関係の人は、割とすぐに意識を共有できたけれども
娘の保育園の保護者の方とは、共有できる人の方が極めて少数だった。
私が踏み込む勇気を持てなかっただけかもしれないけれども。

確かに「脱原発問題」は単なる「エネルギー問題」というものを超えて
自分たちの生活をどう考えていくのか、経済問題、環境問題、
地域のありようとか、都市と地方の関係、自治体への住民の関わり方とか
そういう根本を問い直すテーマであるとは思う。
私は東京電力が公的資金が投入されて東京都の持ち株比率が下がって
大株主という立場でもなくなったというのを読んで、そうか…とは思ったけど
とにかく、一大電力消費地である東京都民が「脱原発」を志向する事は
現状を打開する大きな一撃となると思って、
それはもう、猪瀬さん、ナイスタイミングだよ!!という思いで一杯ですが。

とはいえ、国や自治体ってやっぱり、社会のセーフティネットという
大切な役割がある、というか、そのために存在するといっても過言ではない。

「世界一」とか時代錯誤なバブリーな言語をまき散らして、
ばしばし派手なハコモノ建てて、ちょっぴりカネが動けばそれでいいのか
持続可能な地域のありようを考えて、地に足ついた静かなお祭りでいいと思うか、オリンピックへの姿勢もその人の姿勢をみる1つのテーマでもあるし。

だから、バンドのメンバーの意見に、私は啞然とはしないよー。
というか、飲みながらそういう話ができるというのが、
選挙をやる一番の意味でもあるように思う。

やっぱ、有権者が「気分」だけでなくじっくり考える事でしか
民主主義って存続できないしさ。

狡猾な、1票を。
鎌田浩宮

うんうん。
そうそう、そうなの。
呑みながら話せるの、
すんごい貴重。

うちのバンドは
メンバーが5人いるんだけれど
反原発の歌を歌っていても
考え方は、それぞれ。

だから、
皆で呑んでいて
社会派な話題になると
緊張が増すし、
全く自分と違う意見が出る事もあるので
言葉も途切れがちになるよ。

だから逆に
彼と僕の
何でも喋れるという
友情も続いているんだけれどね。

さて。

先日、小諸の山の方の
民宿に泊まったのね。
女将さんは、72歳の
ごく普通のおばあちゃん。

でもね、
一緒にお茶を飲んでると
都知事選の話をしてくるの。
「原発はいけない。だから、そんな都知事が選ばれてほしい」

やっぱりね、
東京都民だけの
選挙じゃないんだよね。
日本中が期待しているし
その重みを持って
投票しないといけない。

逆に言えば
原発のある自治体で
選挙があるとするよね。
その人達も、
自分の利益を優先する一方で
事故が起きた時
日本中が大変なことになる
という日本全体の事も考えて
投票してほしいんです。

そこで。

都が、政策として反原発を打ち出せないかというと
そんな事はないよね。

実際に世田谷区では
「世田谷ヤネルギー」
という太陽光発電推進のプロジェクトがある。
都も、猪瀬都知事時代は
東京電力以外から電気を買っていた。

あとね。

リベラルな都民として
狡猾になってほしいんです。

今、国政は
悲しい事に
自民の暴走を
どうやっても
止められない。

中央の暴走を止められるのは
我々庶民だと
頑張って反原発デモや
秘密保護法反対デモや
都民投票をしようって署名活動をしたりしてきたけれど
どれもうまくいかない。

百歩譲って、原発問題が
都政の関われる範疇ではなくっても
脱原発派の知事が生まれる事だけで
カウンターパワーになり得る、
極右化していく中央の暴走を
地方=都政が止められる一因になる
可能性が少しでもあるのなら
狡猾に自分の1票を
利用してやろうじゃないか
と考えてほしいんです。

「中央と地方」
って、
「あまちゃん」
の音楽を担当された
大友良英さんも
話してましたね。

「中央と周縁」は、
文化人類学の
山口昌男さんでしたね。

さ、
次回も
しゃべくります。
アクセスしてみて
くださいね。

つづく・・・


2014.02.02