福島県相馬市のダチからの便り 第1便

この度の震災について、
エプスタインズが真正面から取り組むかについては、
少し考えていたところがありました。

テレビをひねってもネットを見ても、
見ているこちらがPTSDになりそうなほど、
震災の事で溢れている。

これ以上の情報は、
過剰摂取になってしまうのではないか、
それよりも、観た人が震災の恐怖から
心を慰め、
和ませ、
安らぎ、
ほっとできる
コンテンツを提供した方がいいのではないか、
と思っていました。

つい先日まで集中連載をしていた普天間問題については、
逆に、あまりに沖縄以外からの関心が低い=過小摂取だったので、
創刊当初より真正面から取り組んでいたわけです。

 

今回震災を取り上げるきっかけとなったのは、
仲のよかった大学時代の同級生、杉本敏之君が
故郷の福島県相馬市で生活していて、
被災し、
無事が確認できた事によります。

互いに遠慮のない、
仲のよかったあいつなら、
メディアには乗らない突っ込んだ事も聞けるし、
メディアでは浮かんでこない事も話してくれるかもしれない。

そして1番よいのは、
彼自身が「話す」ことによって、
被災のつらさから遠のく事ができれば
それが何よりも素晴らしい事じゃないか、
と思いました。

そこで、今回のやり取りとしては、
基本的に僕が質問をし、
彼がメールで返信する、
という形を取っています。

 

相馬市は、福島県の海沿い、北に位置する街で、
どれだけ北かと言うと、
大きなお買い物の時は、県内よりも仙台に行って用を足す、
という具合です。

この度は、市内で200人以上の死者が確認されています。

あらためて、亡くなられた方々のお悔やみを申し上げます。

そして、被災された方々をお見舞い申し上げつつ、
ゆっくりと連載を始めたいと思います。

皆さんも、彼に聞きたい事があったら、
[contact]をクリックして僕らに送ってみて下さい。

エプスタインズ非代表取締役社長 鎌田浩宮

鎌田浩宮

いやあ、さっきは電話で声が聞けてよかった!
とにもかくにも生きていてくれて、それが嬉しかったよ。

さて、早速だけど、
以下に書く質問に、箇条書きではなく、
細かく、詳しく、長い文章で返してくれると嬉しいです。

それでは、質問1。
地震の時の様子はどんなだった?
どんな感じの揺れで、杉ちゃんや家族の皆さんの様子や、
家の被害の様子は?
そしてその後の、家の外の様子、
例えば近所とか、海の近くの町の様子とか、どんなだった?

 

杉本敏之

地震の時は、音がすごかった。言葉通り、大地を揺るがす地鳴りの音だった。揺れも凄くて、表現するなら、巨人がテーブルの上の大地を面白半分にがたがた揺るがしているようなかんじだった。

とにかく、私の今まで経験した地震で最大の揺れは震度5だったので、震度6は強烈だった。そして、信じられないほど長かった。3分くらい揺れて、少し収まったかなと思ったら、また揺れが大きくなって、合計5分は続いたような気がする。

 私はその時、家の2階で昼寝していたが、一階に祖母と父が居たので、まずは祖母が無事かどうか、1階に下りて行ってみた。祖母はベッドで横になっていたので、体を起して、一緒に外に出ようとした。しかし、足腰が弱っていて、外に出られない。それで、またベッドに横にして、いつでも脱出できるように窓を開けておいて、一緒にいた。

 この間、ずっと揺れは止まらなかった。

  やっと揺れが収まって、外に出てみると、自分の家は無事だった。瓦は落ちてなかったし、塀も倒れたりしていなかった。しかし、家の中の、食器類がたくさん落ちていた。片づけるのに30分程かかっただろうか。

  そして、近所の家々をみると、みんな屋根瓦の一部が壊れていた。蔵の壁が崩れているのもあった。
地震から1時間くらいしてから、父と相談して、妹夫婦が住んでいる社宅へ様子を見に行こうとした。で、車で出かけると、家からすぐの川まで津波が来ていた。大量の土砂と、大きな木と小舟が流されていた。
 
 さらに田んぼの広がっている所まで行くと、そこも津波で覆われていた。1平方キロ位の広さである。さらに、海の方向をみると、いやあこれにはびっくりしたなあ、海沿いに並んでいた、防風林が殆どなくなって、外海が見えているではないか。

 いやしかし、その後何日かして、探索範囲を広げると、信じられないような光景が、次々とあらわれてくるではないか。

 私が、地震のあった日も、4時にはアルバイトに行くところだった、ヤマト運輸の松川営業所には、10トントラックが流されていた。
結構大きな漁船が、営業所前の道路まで突っ込んでいた。向かいのローソンの窓ガラスが破壊されていて、泥をかぶっていた。そこらじゅうに津波で流された車が、転がっていた。救急車両もながされていた。

 さらに海に近い所に行くと、そこらじゅうに、漁船が流されていたり家が流されていたり、とんでもない量の土砂や木が流れ着いていた。
テレビで放送されている通りの映像が、自分の家の近くで見られるとは、、、。 基本的に、海に近いところの家々は、集落ごと綺麗に流されている。
 
 
  

2011.03.28