熊本市東区からの日記 ⑬

写真(2枚を除く)/文・月ちゃん
構成・鎌田浩宮

炊き出し
禁止、
それで
いいのか。

 

今回は文末に、避難所などでの炊き出しが禁止になった行政判断に対して、鋭い意見を投げかけています。
ぜひ、最後までお読み下さい。

それとは別に、前回の記事を読んだ熊本にお住いの読者の方から、お便りが届きました。
以下、お読み下さい。

 

 

熊本を気にかけていただいて本当にありがとうございます。大切に読ませて頂きました。ひとつだけ訂正を。熊本に納豆も豆腐もこんにゃくもあります~。マルキン以外からも入ってきますので。もう普通に並んでいます。値段も納豆3個パックで100円以下です。現在炊き出しや支援物資が必要な方の元へ回らないという事案以外では、お金を出せば熊本で通常手に入らない食品は日常生活でないと思います。

 

 

ということです。
東京には、こうした詳細な情報が入ってこないのです。
心からありがとうございます。
他にも情報やご意見ご感想がありましたら、ぜひともこのサイトの右上にあります「Contact」からお便り下さいね。
それでは、月ちゃんの日記をお読み下さい。

5月19日(木) 10:08

おはようございます!
メダカの赤ちゃんが産まれていました。
体調5ミリほど。
いつもは卵の産み付けられた藻を別にしておくんですが、今年はすでに孵っている!
どうかどうか!親に食べられませんように!
赤ちゃんだけ別容器に移しました!
風が強い!
最高気温は28度の予報。
避難している皆さんが体調崩されませんように!ボランティアの皆さんも…!
今日もいいことがある!
皆さま素敵な時間をお過ごし下さいね♫

同日 14:49

昨日のこと!
ミシン屋さんから修理が終わりましたから、と連絡があり取りに行って来ました。
4月の始めに出したのでかれこれ1月半ぶり。
お店も地震の影響で、かなり傷みが目立ち、当初は入り口の扉が開かずに営業再開は最近だったそうです。
東バイパスに近いこの建物には黄色い要注意の貼り紙が。
店舗を縮小して引っ越します。
もうこのビルは誰も住んでいないんですよ、とのことでした。
中にいると壁が膨らんだりして恐い…
これからは自宅にきてもらってメンテナンスすることになりそうです。
電話番号は変わりませんから、ということでした。それだけでもありがたいことです。
熊本も風景が変わりますよね…最後に言われた言葉が胸に残りました。
さてさて、ミシンは平成6年製くらい。
この形はmade in japanですが、今はもう全部台湾製だそうで、修理も出来るかどうかわからない…ということでしたが!(症状が深刻なため…)
無事に動くようになって帰ってきました。
あと気持ちにポチッ!とスイッチが…まだ入らない…もう少しかな♫

5月20日(金) 7:45

おはようございます♫
今朝は震度3で飛び起きました(笑)
今日も五月晴れ
風が気持ちイイ♫
今日も真夏日の予報…(^_^;)
体調崩されませんように!
いつもの日常が戻ってきました。
もう金曜日!
皆さま素敵な週末をお過ごし下さいね!

同日 10:30

ご飯ができたよーーー!
子供が小さい頃は怒鳴っていたなぁ…(^_^;)
ご飯ができたよ~!
当たり前に呼べるしあわせ

同日 14:48

素晴らしい!
南阿蘇にボランティアで入っている美枝さんたち♫
今日は水も出ない牧場で赤ちゃんが産まれました!
よかった!よかった!
おめでとう
赤ちゃんはヴェッキー♡♡♡

同日 22:38

晩ごはん♫
金曜日のお土産♫
あさぎりから朝採れコサン竹。
どなたかが焼いていたので真似してみました~♡
美味しい~♡

同日 23:06

炊き出し禁止ではなく手だてはないものでしょうか…
(編集部注:月ちゃんは某SNSに掲載されていた、以下の投稿を紹介しています)

厚労省からの指導で、避難所の炊き出し禁止になる地域が増えています。1日1食だけでも野菜たっぷりの温かい汁物を食べていただきたいと、炊き出しのために遠方から来てくださった方が、炊き出しができなくなった、という話を聞きました。

被害が大きかった阿蘇大橋がある立野地区(土砂崩れで地区存続の危機です)の方が避難されている大津では、ある団体が常駐で炊き出しをされていて、全国から届く食材で、3食提供されていたそう。知人のおばあちゃんがそこに避難されているのですが、「ごはんがとてもおいしくてありがたい」とおっしゃっていたのですが。

炊き出し禁止になったところ、または炊き出しがない所では、市販のおにぎり、パン、飲み物、弁当が配布されます。昨日聞いた熊本市内の避難所は、朝昼はパンかおにぎりと飲み物、夜はコンビニ弁当。

一見栄養満点に見えても市販のお弁当では、元氣でいられる栄養は全く足りません。長くなるのでここで理由は書きませんが、余震の恐怖に加え、ただでさえストレスがたまり、体力を消耗する避難生活。ミネラルとビタミンが全くとれない食事では、頑張ろうという気持ちにもなれません。(栄養は体力だけでなく精神状態も大きく左右します)

炊き出しでの食中毒の危険もわかります。集団生活でノロウイルスの食中毒が発生すると、すぐに広まってしまう危険もあります。でも、一律に「炊き出し禁止」としなくても、衛生管理を指導すれば、炊き出しは可能ではなかろうか。決められた中心温度まで上げた、加熱された料理だけにする、使い捨ての食器にする、素手でおにぎりにしない、手袋を二重に使用する、マスクの着用、二時間以内に必ず食べる・・・できる手立てはたくさんありますし、料理の出来上がりから食べるまで時間がある(=食中毒の危険性が大きい)給食では、そのような対応で食中毒を予防しています。禁止ではなく、そういう提案が欲しかったなぁ。

仮設も当分先、みなし仮設(民間住宅借り上げ)も全く数が足りず、長期化しそうな避難生活。どうにか、力の出るものを食べてもらいたい。

西日本新聞の「食卓の向こう側」、コンビニ弁当を食べ続けた豚の記事をご紹介します。いりこや昆布を食べておく、紙コップにかつお節とカットわかめ、味噌を入れれお湯を注いだ即席みそ汁を飲む、新鮮な果物を食べるなど、お弁当だけになった避難所でもできる対策があります。差し入れができる方は、勧めてあげてください。

食卓の向こう側・第2部「命」つなぐために<3>
中食 ラベルを見ていますか―連載

二年ほど前、福岡県内の養豚農家で“事件”が起きた。
 母豚のお産で死産が相次いだのだ。やっと生まれたと思ったら、奇形だったり、虚弱体質ですぐに死んだり。透明なはずの羊水はコーヒー色に濁っていた。
 「えさだ」。ピンときた農場主は、穀物など元のえさに変えた。徐々にお産は正常に戻ったが、二十五頭の母豚が被害に遭い、農場主は生まれるべき約二百五十頭の子豚をフイにした。
 母豚が食べたのは、賞味期限が切れた、あるコンビニの弁当やおにぎりなど。「廃棄して処理料を払うより、ただで豚のえさにした方が得」と考えた回収業者が持ち込んだ。期限切れとはいえ、腐っているわけではない。「ちょっとつまもうか」と、農場主が思ったほどの品だった。
 肥育用の子豚に与えれば、肉質にむらがでる。そこで母豚に、それだけを毎日三キロ与えた。農場主の計算では月二十万円のえさ代が浮くはずだったが、百十四日(豚の妊娠期間)後、予期せぬ結果が待っていた。

×   ×

 原因はわからない。だが、予兆はあった。与え始めて間もなく、母豚がぶくぶく太ったのだ。すぐに量を減らした。
 豚の体の構造は人間に近い。「人間でいえば、三食すべてをコンビニ弁当にしたのと同じこと。それでは栄養バランスが崩れてしまう」と、福岡県栄養士会長で中村学園短大教授の城田知子。
 一般的なコンビニ弁当は高脂質で、濃いめの味付け、少ない野菜。毎食これで済ませたら…。
 家庭にはない食品添加物も入っている。「腐る」という自然の摂理から逃れるには、何らかの形で人の手を加えなければならない。例えば、おにぎりを「夏場 で製造後四十八時間もつ」ようにするには、添加物などの“テクニック”が要る。だが、そのおかげで、私たちはいつでもどこでも、おにぎりをほおばることが できるのだ。

×   ×

 (中略)
 「商品に張られたラベル(内容表示)を見て自分で判断するか、確かな材料を手に入れて自分で作るか。食は自己責任。年間約八千人が交通事故死しているからといって、社会から車を追放せよ、とならないのと同じことだ」

×   ×

 平和が戻った養豚農家。昨年は約二千頭の子豚が、母豚の腹から当たり前のように生まれてきた。
 「豚体実験はもうこりごりだ」。農場主はうんざりした顔で言った。
(敬称略)

(2004年3月19日 西日本新聞朝刊より)


2016.05.23