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東北で働き始めて・前編
インタビューイ・ワオ君(仮名)
インタビュアー/構成/写真/文・鎌田浩宮
さすがエプスタ。
震災報道が下火になる
3月11日以降に
特集記事、組む。
今回は、
仙台の事業所を拠点に
東北の復興支援の仕事に携わる
僕の大親友・ワオ君(仮名)に
報道されない生の声、
語ってもらったです。
お読み下さいね。
2012年
4月
から、
東北
に
来たんです。
ヘイ!それまでも東京で復興支援の仕事をしてたんだけど、去年4月から仙台に赴任して、相変わらず業務は多忙かい?
「先週で言うと2日間、午前1時まで仕事してたよ。土日出勤は、年の1/5から1/4といったことろかな」
相変わらず殺人的なスケジュールだね。
エプスタの素晴らしい読者に、どんな仕事をしているか教えてくれないかい?
「41ヶ国の国や地域の高校生・大学生を招いて、被災地の現状の教育をしたり、復興の状況を見てもらうのがメインだね。特に三陸地域は元々観光地だったんだ。でも震災後観光客が来なくなって、そのためにも海外から招いているんだ」
観光客が減ったのはどうしてなんだい?
「例えば、修学旅行が減ったんだよ」
観光地が破壊されたから?
「ではなくって、危険と見なされるようになったんだよ。例えば震災後、東京都目黒区の中学校が三陸地域へ修学旅行に来てくれると名乗り出てくれた。でもね、地元の食材は放射能が怖いから使わないでくれって言うんだ。でもね、地元としては地元の食材を食べてもらいたい…」
実際、東北の食材、どうなのよ?
「福島では全数検査を完全実施してるよ。宮城や岩手は、ごめんね、ちょっと分からない」
それだけ数値に問題がないから全数実施してないのかな…?
他に修学旅行が減った原因は?
「津波がまた来ないかという不安だね」
そういえば僕の友達の子供が鎌倉へ遠足に行った時も、学校はハザードマップ…つまり津波が来た時にどこへ避難すべきかという地図を事前に配布するんだ。
鎌倉でさえそうなんだからね。
しかもその親御さんは、その地図が解り難いと言って自分で地図を作って子供に持たせていたよ。
でもね、僕はその親ごころを批判する気にはなれないんだ。
となると、海外からの子供たちも不安は持っているでしょ?
「世界各都市の放射線量の値と比較してみせたりするよ。例えばね、ソウルって、毎時0.14マイクロシーベルトもあるんだよ。シンガポールも0.17」
へえっ、そんなに高いんだ?
現在、仙台が約0.05、石巻も同じくらい。岩手県釜石市が約0.04。東京都新宿も同じくらい。
ちなみに、世界的な基準では0.23以下を安全としているね。
残念ながら福島に入ると、この数値を上回る所は沢山ある。
「アメリカなどはね、福島だからこそ行くべきだ、と言って来てくれるんだよ」
現地
で、
見る。
映像
とは、
違う。
「やっぱしね、僕らは見てほしいんだよ。津波などの被害の大きさは、テレビやネットの映像で見たものとは全然違うんだよ」
それは僕も見に行ったから分かるよ。
現地で見る迫力は全く違う。
例えがあれだけど、プロ野球だって球場に足を運ぶと全然違うもん。
「現地で語り部になってくれる人の中には、当時中学3年生だった子もいるんだよ。それだけ『伝えたい』という気持ちがどの人にもある」
語り部になったことで、死にたいという絶望感から脱出できた被災者の方もいるそうだもんね。
「そういう語り部さんの話を、彼らは日本人より感情表現が豊かなのもあって、海外の子たちは泣きながら聴くんだよ。そうすると、語ってよかったなあと思ってもらえるんだ」
「あと、風評被害についても学習してもらってるよ。実際に野菜などを全数検査する現場で実習してもらうんだ。そうすると、いかに福島の野菜が安全かって驚いてくれるよ」
ああ、僕らも見なきゃいけないなあ。
「日本の人にも受講してほしいくらいだよ。こうして海外の子供たちが国に帰って、福島の食材は安全だって伝えていってくれるんだ」
どこの県は全数検査をしていて、どこの県はしていないか、そういった情報こそが必要なのに、東京にそういう情報は入ってこないんだよ。
マスコミは本当に駄目だね。
明日、3月13日(水)につづく・・・
2013.03.12