渥美清こもろ寅さん会館にて「男はつらいよ・寅次郎夢枕」35㎜フィルム上映

撮影/文・鎌田浩宮
一部写真・一井正樹

記念すべき
10作目の上映で、

遂に最高観客動員。
1年で1番寒い
小諸の冬空に、

74名の観客来たる。

朝5時半、起床。
ちょっと、寝坊だ。
急いでネットを確認し、再度告知をする。
朝7:50 代々木発小諸行き、始発の高速バスに乗る。
いつもは空いている車内が、満席で苦しい。
スキーシーズンのせいか?
何とか渋滞の影響を受けず、朝11時に小諸着。
蕎麦の名産地なのに、そういった店に入る時間は、ない。
駅前の立ち食いそばで急いでひるめし。
渥美清こもろ寅さん会館地下・やすらぎ会館へ向かう。

ご覧の通り、街のごく一部だけれど、永久凍土?のように雪が残っている。
1年で最も寒い、小諸の2月。
日中は、晴天でも2℃くらいかな?
でも、風はないので暖かい。

しかし、寒いは寒いのだ。
僕の親戚が小諸のすぐ北にある上田に住んでいるが、上映には暖かくなるまで行きたくないと断られてしまった。
今日は、最低観客数を更新しちゃうのかなあ?
不安だ…。

ココだけの話、先月の上映、過去最低の観客数だったんだ。
40名弱かな。
1月第2土曜は、寒かったからなあ。
正月ということもあったし。
こういった恥ずかしい数字も、隠さずに書いていくことが、この記事の読者の皆さんへの、誠意だと思う。

 

新聞、
ラジオに
テレビ。
この上映が
報道された。

 

ただ1月は、渥美清こもろ寅さん会館の1日限定オープンがあり、マスコミが多く取材に来てくれた。
東京の、葛飾柴又寅さん会館からも、美味しいお土産とカンパを片手に、スタッフの方が観に来て下さったのだ。

その中の1つを、紹介しましょう。
SBC信越放送にて、2015年2月2日に放送された
「情報わんさか GO!GO!ワイド らじ☆カン」の内の1コーナー、
「信州うわさの調査隊」にて、会館再開を考えるテーマで、長野全土に放送されたのよ。
下のyoutube、聴いてみて!
客観的に報道してくれてます。
パーソナリティーは、なんとあの寺山修司が主宰していた演劇実験室・天井桟敷出身の、根本豊さん。

我らがココトラ代表・一井正樹もインタビューに応えています。
他にも、長野県内最大手紙・信濃毎日新聞(しんまい、って皆は呼んでるんだぜ)他各紙にも、大きく取り上げられた。

ね!
下の記事は、週刊さくだいらより。

他にも地元CATV・コミュニティテレビこもろ(CTK)のCMに出たりだとか、奮闘努力しておるんです。
僕、鎌田もここのニュース番組に、自身の監督した映画「鎌田浩宮 福島・相馬に行く」を2度も報道してもらいました。

そんなこんなで午前11時半、設営開始!
普段は合気道の道場などに使用されている地下ホールを、本来の映画館にセットし直すのだ。
2階の倉庫から重たい椅子や机を降ろし、並べ、昼1時半までに館内装飾・受付/売店設営・音響/照明/映写準備など、全てを終わらせる。
汗だくだ!

こんなのも、設営しなくっちゃいけない。

高倉健さんが旅立たれてから、館内はこの黄色いハンカチをベースに装飾されるようになった。
僕らなりの、追悼ですね。

この「おもてなしコーナー」は、無料であったかいお茶やお菓子が置いてあります。
おもてなしって言葉、滝川クリステルが変な風に流行らせちゃって、迷惑してるんだけどね。

ココトラのスタッフのあやちゃんが、この日のバレンタインデーのために作った、手作りハート型パンケーキ。これにチョコを塗って食べて下さい、とのこと!
よく気の付く子だ。
アイデアマンだ。

彼女はいつもおにぎりを作って、ひるめしを食べ損ねている皆に差し入れしてくれるんだけど、先月僕は寅さん会館限定オープンのustream生中継の撮影に大忙しで、食べ損ねたんです。
あの日はあさめしにドーナツを1個食べただけで、ゆうめしまで何も食べられず。
そんな僕の事を覚えていてくれて、今月もおにぎりと、加えてバレンタインパンケーキを。
美味しかった!

 

元松竹
スタッフ
手作りの。

 

こちらは、ホール後方に設置された売店コーナー。
こののれんは、ココトラメンバーでもある、元松竹衣装係・本間邦仁さん(渥美さんの衣装も手掛けたんだよ)の手作り。
ちなみに、ここで販売された、本間さん手作りのスマホ入れ袋は、完売の盛況ぶり。

竹鼻恵子さん撮影。

これで800円だっていうんだから、太っ腹だよおあ兄さんおあ姉さん!

地元で有名なパン屋さん、コッペリーから仕入れました。

他にも駅前のドーナツ屋さん、トコトコからも仕入れているよ。

これは僕も愛飲している地元一のカフェ・だんとコーヒーさんのブレンドして下さった豆で淹れたコーヒー、なんと100円で。

先方に許可をいただきココトラメンバーが撮影した、「男はつらいよ」のロケ風景。
貴重な写真ばっかり。
他にも、僕らに送って下さった、山田洋次監督倍賞千恵子さんからのお手紙も飾ってあります。

松竹から仕入れた、寅さんイラスト入りのミニタオルも売ってるよ。

これだけのことを2時間弱でやってのけ…。

さあ、お客さんがやって来たぞ!
午後2時、開場!
寒いので、スリッパも用意したよ。

 

小諸の、
ブエナビスタ
ソシアル
クラブ。

 

上映前、2時半から始まるお楽しみコーナーは、地元グループ、りんどう会とその仲間たちによる、コカリナの演奏。

木で作った笛のようなオカリナを、コカリナと言います。

総勢17人の大所帯。
平均年齢、すんごい高いバンドだぜ!

小諸にゃ、いろんなバンドがあって、びっくりだぜ。

 

映画館
には、
CM上映
が、
つきもの
だから。

 

そして、演奏の後は、ロードショウ映画館のように、CMを上映しました。
これは、この上映会に協賛金を出していただいているお店などに、どうやったらお礼ができるかなと考え、創ってみたんです。
監督は僕・鎌田浩宮です。

CM第1弾は、大口のご協賛をいただいた、株式会社大栄商事さん。
地元で、井沢屋という質店を経営していらっしゃいます。
BGMは、鎌田浩宮作曲。

そして、協賛者一覧。
上映後、観客から拍手が起こった。
嬉しいねえ!
創った甲斐があるってもんさ。

音響・照明・映写・ustream生配信、CM制作、なんでもやるぜ。

いつの間にか、靴が一杯だ。
空席が、いつもより少ないぞ。
上映開始!

先月の上映、エアコンをガンガンに効かせても寒かったので、今日はココトラのメンバーが、私物のストーブをいくつか持って来た。
やっぱし、灯油ストーブよ。
風情、あるねえ。
暖かさが、違うねえ。
加えてお客さんの熱のこもった笑い声が一段と大きい。
でも、お千代ちゃん(八千草薫さん)の寅への切ない恋の終わりに、しんみりと感情移入する館内。
今月は、ちいとも、寒くなかった。
上映後、必ず起こる万雷の拍手。

 

スペシャルゲスト。
山田組常連、
統一劇場の
今村純二さん。

 

事前に告知できなかったが、今回のスペシャルゲスト、今村純二さん。
76歳、現代座という劇団の俳優さんで、「男はつらいよ」14~16作に出演。
その他には山田監督「学校Ⅲ」など。
そして最も有名なのが、今村さんが所属していた統一劇場をモデルにした山田監督「同胞」への出演。

1975年に公開された「同胞」。
統一劇場の上演はとてもユニークで、過疎とも言われるような田舎の村々の青年会などを回って、笑いと涙に溢れた娯楽芝居の上演を手伝ってほしい、それこそチケットの販売までお願いし、共に舞台を作り上げるやり方なのです。
それを知った山田監督が舞台を観て感激し、映画にしたという…。

今村さんは、そんな自分の話をあまり語ろうとはせず、
「渥美清こもろ寅さん会館復活の力に少しでもなればと思いやってきました。皆さんで歌を歌いましょう」
と「男はつらいよ」「青い山脈」「ふるさと」などを伴奏して下さいました。
これがねえ、盛り上がったのよ。
年輩のお客さんが多いから、どんぴしゃの世代なのよね。
歌声喫茶とか、あの辺。
直筆で歌詞を書いた、大きな模造紙の巻紙も一緒にめくりながら。

 

4月から、
東京と、
小諸を、
バスが、
走ります。

 

そして最後にビッグニュースのお知らせ。
なんと4月の上映から、東京と小諸を結ぶ寅さんバスの運行が始まるのだ!
夢だけでつくった 世界一小さなバス会社・銀河鉄道株式会社が企画・運営をする、「長野県小諸『寅さん全作フィルムで観よう会』に行くバスツアー」
社長の山本宏昭氏は、“寅さんが人生の師”という、大の寅さんファン!
その山本社長が直々に運転します。
毎月第2土曜の朝8時に東村山駅東口ロータリーを出発、10時15分に新宿センタービル前のバス停「工学院大学前」付近を経由。
しかも第1回・4月の運行では、あの娯楽映画研究家・佐藤利明さんをスペシャルゲストに招き、同乗していただき、トークを繰り広げます。
1時くらいに小諸到着、映画を観て、その日の夜に東京へ帰るという便です。
なんと昼食込みで往復5800円
しかも通常1000円の映画入場料が、900円に。
僕がいつも使っている高速バスが片道約2500円だから、どれだけ安いかが分かるでしょ?
しかもそのバスが、シリーズ第25作「寅次郎ハイビスカスの花」のラストシーンに出てくるバスなのよ!

 

年1回の
ココトラ総会
で、
真面目

議論。

 

観客が最多だったのもあって、盛り上がったなあ。

そしてその後急いで片づけをして(これが肉体労働なのよ)、なんと午後7時から、年1回のココトラ総会
シリーズ40作「寅次郎サラダ記念日」小諸ロケでの山田組キャスト・スタッフが宿泊した、小諸グランドキャッスルホテルの一室を借りきってという大行事。

もうね、クソがつくほど真面目にやりましたよ。
大会社が作るような、数ページにも及ぶ会則も配られてね。
これも、小諸市を説得するための地固めです。
でもね。
厳しい意見する人ほど、遅刻してくる人が多いってのは、どういうことだい?
遅刻の詫びも入れないで。
納得いかないねえ。
そして意見などもさんざ飛び交い、時間を大幅に超えてから、9時過ぎにようやく新年会。

皆で乾杯。
10時におしまい。
疲れたぜ。

最後に集合写真。
合言葉は「バター!」。
僕は親しいメンバーと共に、渥美さんと交流のあった女将さんに呼ばれ、居酒屋寅さんで呑み直し。
クジラの刺身、自家製ラーメンにサフランライス付カレーも出て、極秘の地酒新酒も1本ついて、渥美さんとの思い出話もついて、たったの2300円。
ああ、心の疲れがほぐれたわあ。
女将さん、ありがとう!


2015.02.15