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沈黙
写真・文/鎌田浩宮
時は21世紀。
キリスト教宣教師は
これまでのパレスチナやアフガニスタンに加え
イラクやシリアへの布教活動を断行。
子供やお年寄りを含む
罪のない一般市民を空爆。
この映画は
そういった現代に対し
一切の警鐘を鳴らさない
稀有な作品だ。
中学生の頃だったかなあ?
恋人に勧められたのか、学校で課題図書になったのか、五島列島の霧のように記憶はおぼろげなんだが、結局最後までは読まずに終えたという経緯がある。
あ、思い出した。
恋人に勧められたのは「海と毒薬」だった!
それは完読した。
話を戻そう。
「沈黙」は今でも読みたいとは思わないし、この映画を観終えた後でも、読みたいとは思わない。
ならば、なぜこの映画を観に行ったのかと言えば、スコセッシが撮ったから、そしてあの傑作「野火」を作り上げた天才・塚本晋也が出ているから、その2点以外にはない。
スコセッシなんて今や神格化された人だけれど、神もへったくれもない映画ばかり作ってきた輩だ。
「タクシー・ドライバー」「レイジング・ブル」「グッド・フェローズ」、どれもある意味気違い、イカれたヤツが主役のぶっ飛んだ映画。
ここ数年は観に行く気の起こらない映画ばかり彼は撮っているが、腐ってもスコセッシ、やはり観たくなっちまうのだ。
というわけで、あの駄作「この世界の片隅に」を観た翌日、有楽町スカラ座へ行ってきました!
すごいよなあ、キリスト教って。
十字軍だの何だのってイスラム教と争ってばかり、それは現在でも、パレスチナやシリアやイラクやアフガニスタンをやりたい放題侵略し、正義とやらをかざしている。
この映画の舞台になっている日本だって、仏教が根付いているわけだ。
それを邪教としてキリスト教を根付かせようとする侵略の浅ましさと言ったら、ない。
逆にだよ、現代の我々がアフリカ奥地の原住民へ、土着の宗教を排除し仏教を浸透させようとなんかしたら、これは文化的侵略だと言って世界中の反発を食らうでしょ?
それと同じ。
はたまた1973年の、奇しくも911テロと同じ9月11日、世界初の自由選挙によって合法的に選出された社会主義政権を、軍部が武力で覆したチリのクーデター。
これを露骨に操っていたのは、アメリカだった。
キリスト教社会なんていうものは正義の名の下ならなんでもありの土人連中であり、その思いを凌駕してくれる映画じゃなければ、僕は認めたくなかった。
目の前で隠れ切支丹が惨殺されていくのに「おいら信仰捨てたくないもん、おいら棄教したくないもん、お前ら死んだって関係ないもん」というパードレはやはり笑い者にすべきだし、そんな話を美化する必然はないのだ。
目の前の人を救わないでどうする。
それ以上に重要なことなんて、この世界にはない。
沈黙、ねえ。
信仰の対象は、常に沈黙しているよ。
当たり前じゃん。
この世にいないし、会話のしようもないのだから。
僕は原始的な先祖崇拝や精霊信仰が好きで、毎朝彼らへ線香を上げているが、何かを返してほしくて、返事がほしくて、会話がしたくて、沈黙を破りたくて線香を上げているのでは、ない。
やりたいから、やっている。
それ以上のものでは、決してない。
さらに言えば、キリストは今のキリスト教社会を望んではいないはずだ。
ただ、僕自身はクリスチャンの友達がとても多い。
彼らは皆、人を見つめる眼差しが謙虚で真摯で、いつも多くのことを教えてもらってばかりいる。
30年以上付き合っていても、彼らから信仰を押し付けられたことは1度たりともないのだ。
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