保育士&介護士より、ひと言。第2回

文・H.K

「日本死ね」から
生まれた連載。
保育士同様、
介護士も
大変です。

 

今回は私の得意分野???
介護の世界&お年寄りに対して、お話しさせて頂きたいと思います。

介護の仕事をしていると言うと、周囲の人からは「大変だね」「偉いね」と言葉をかけられることがあります。
偉いことなんて全くありません。
だけど、大変です。
心身共に。

但し、「身」はゆっくりと体を休め、リフレッシュが出来れば問題ありません。
しかし、「心」の方はなかなかリフレッシュ出来ないのが現実です。

現在、認知症グループホームで夜勤専門の仕事をしています。
私は今まで特養(特別養護老人ホーム)での勤務経験しかなく、グループホーム入居者9名というところに惹かれ、今の職場に決めたのも過言ではありません。

しかし、いざ勤務に就いてみると不安材料がいっぱいでした。
一番は、夜間職員一人というところです。
特養では30名前後のお年寄りを2名(もちろん施設によっての配置人員は違いますが)で夜間を賄っておりました。
一人じゃないということが心強かったことを思い出します。

だけど今は一人。
時に、認知症のお年寄りが想像を絶する行動を起こすことがあります。
また、急変したら、大地震が起きたら、予測不可能な問題が起きたら…。
心配が尽きません。
万が一、自分一人の時に怪我でもさせてしまったら。
「心」は全く休まりません。

いわゆる介護職3Kと言われる「キツい、汚い、給料安い」
これにはどうにかこうにか順応できても、心がやられて逃げ道を作れないような人が、虐待に走ってしまうのではないでしょうか。

私は介護の職に就いて10数年になります。
でもずっと続けてきたのではなく、○年介護をやり、○年OLをやり、それを繰り返してきました。
それは自分でも、これ以上介護を続けると潰されると感じたからです。
別の世界でリフレッシュをし、また好きな介護の仕事に就こうと、それの繰り返しです。

汗を流してバタバタ走り回って、やれ入浴だ、やれオムツ交換だ。
そんな介護職員の姿を見て「大変だね」「偉いね」と言って下さる方、もっともっと奥深い大変さを知ってあげて欲しいです。

最後に読んで下さっている方へお願いがあります。
私も機会があるとSNSなどで発信させて頂いておりますが、町中で、ちょっと??と感じるお年寄りに遭遇したら、何でもいいので声を掛けてあげて下さい。
季節に合ってない服装をしている、ボーっとした表情で歩いている、深夜のひとり歩き、同じところを行ったり来たりしている。
認知症のお年寄り行方不明者数は、ここ数年1万人を超えています。
なかなか知らない方に声を掛けるのは難しいとは思いますが、「こんにちは」から始めてみて下さい。

日本がもっともっとお年寄りを大切にする国になって欲しい。
切に願います。


2016.04.30