エプスタ編集長による番外編『内部被ばくを生き抜く』(後篇)

文/写真・鎌田浩宮

秋刀魚

味。

はい、この映画の記事の後編、はじまりはじまりぃ。
ちなみに前編は、こちらから、どうぞ。

映画では
「とにかく体内に、1ベクレルも放射性物質を入れない」
ということが、テーマになっています。

が、東日本に住んでいる限り、それは無理だというのが、悲しいが事実。
もう、僕ら参加者、質問したいことだらけです。

そこで上映後、参加者は10人くらいのグループに別れ、感想や監督に質問したい事を話し合います。
後で詳しく書きますが、僕のグループでは、自分の子供を思い涙ぐむ人も。

名札用の紙やペンも用意され、おお、このお母さんたちのグループ、
慣れてるなあ、素晴らしい。

僕らのグループの話題は自然に
「どうしたら原発をなくせるか」
に移りそうになりますが、そこはさすが、
同じグループのランキン・タクシーが
「話題は内部被ばくに限定しましょうよ」
とうまく誘導。

30分のグループタイムが終わり、1時間のトークショウ及び、
質問タイムになります。

「今年の秋の秋刀魚、食べた人、手を挙げて!」
元気よくトークショウは進みますねえ。

「魚は海の中を自由に回遊してるんだから、産地の明記なんて無意味。気を付けて下さいよ!」

印象に残った映画のシーンや、トークショウでの監督の発言を列挙しますね。

 

チェルノブイリ

経験
から
照らし合わせる
こと。

 

$ 放射能による影響は、ガンや白血病だけではない。

$ 体の抵抗力や免疫力が低下し、老化現象(フリーラジカル)も起こる。

$ 重度のだるさに襲われることも。

$ チェルノブイリと比較して、2014年頃から障がい児が生まれる可能性がある。

$ 子供たちを、放射能の影響がない土地(沖縄など)に、24日ずつ年3回保養させるだけでも効果がある。数日でもいいので保養を。

$ チェルノブイリ事故の際、ポーランド国境沿いでも、すぐにヨウ素剤を飲ませたポーランド側と、飲ませなかった旧ソ連側では、甲状腺ガンになった比率が全く違う。

$ しかし福島では事故直後、原発近隣住民にヨウ素剤を配布しなかった。

$ 一部の良心的な福島の病院ではヨウ素剤を子供たちに無料配布したが、それを返却せよと福島県が言ってきた。

$ また、事故直後は、東京を含め広範囲に放射性物質が拡散してしまった。

$ よって都民も含め、大気の吸引による内部被ばくが大量に発生してしまった。

$ この時にせめて、東京も含め外出禁止令を出し、窓に目張りでもしていれば、内部被ばくはまぬがれた。

世田谷区

小学校、

は、
大変
です

 

$ 世田谷区では小学5年生に、群馬県川場村に移動教室を行なっているが、国は川場村を「汚染状況重点調査地域」に指定している。

$ 川場村は放射線量を隠ぺいしている。絶対に行かせない方がいい。
(参加者の多くが世田谷区内で子供を育てていて、涙ながらに心配する方もいました)

$ 実際にエプスタで文部科学省のHPを調べても、川場村だけが「調整中」となっていました。

$ 保坂展人世田谷区長は脱原発で有名なのに、何をやっているのか。

$ 群馬県の子供に、甲状腺異常どころか、影響の起こりにくい腎臓にまで異常が見つかった。

$ 東京の子供も、内部被ばく検査をすべき。

食べもの、
どこ
が、
安全
なの。

 

$ 給食の原材料の6割は、出所が分かっていない。弁当持参に切り替えるのもよく解る。

$ ただ、同じ福島県でも、ホットスポットとそうでない所がある。

$ なので、一概に全ての福島県産物が危険とは言えない。

$ 一般的には九州・沖縄の食材が安全と言える。

$ 九州よりも、アメリカ西海岸・ハワイに大気汚染が確認された。

$ 信濃川さえ汚染されているので、水が流れ日本海の一部にも放射性物質が確認された。

$ スーパーなどで食材の原産地表記をしているが、いくらでもごまかせる。

$ 生協では、全数の放射線量測定をしてから販売しているので、安全と言える。

$ 東京都の水道水に、即危険な数値は出ていない。

$ しかしミネラルウォーターでさえ、値が出ることもある。

$ 逆浸透膜の浄水機は、放射性物質をかなり除去できる。

いやあ、これだけ列挙すると、すんごくしんどいなあ。
気の滅入る人、多いかも知れない。
でも、事実には、違いないんです。

全ての終了後、グループタイムの際、皆が各々ポストイットに書いた感想が、早速壁に貼られまして。
(こういう工夫も手際がよくって、すごいなあ)

福島に住む人の苦労を慮る感想がほとんどだったんですが、自分たちが確実に被ばくしていることへの感想は、ほとんどなかったなあ。
でも、政党色も団体色もない、市井のお母さん2人から始まったこの会。
ここから問題意識が、深まっていく。
100人全てに、有意義でした。

お母さん方ありがとうございました、とお礼を言って帰りました。


2012.11.28