キャマダの、ジデン。⑳ただいま4年2組

著・鎌田浩宮

いやあ、
久々の連載再開で
これまでのあらすじを
忘れちゃったかな?

駆け足で、紹介するど。

キャマダの、ジデン。①松蔭神社
鎌田浩宮の母と父が出逢い、

キャマダの、ジデン。②代沢
父が雀荘から帰ってこないまま母が僕を出産、

キャマダの、ジデン。③成増
父が会社から独立するもすぐ倒産し、

キャマダの、ジデン。④東銀座
こんな悲惨な状況なのに僕と弟は芸能界に入れられ、

キャマダの、ジデン。⑤ナコス
遂にキャマダ家は一家離散、

キャマダの、ジデン。⑥大阪
家計を立て直すと大阪に行った父はなんと歌手になり、

キャマダの、ジデン。⑦小岩
僕と弟は實おじさんの家に預けられ、

キャマダの、ジデン。⑧ビートルズ
当時まだ27歳の實おじさんからジンセイに大切な事を一杯教わり、

キャマダの、ジデン。⑨ラジカセと手袋
しかし今度は5歳の弟が万引きに手を染め?

キャマダの、ジデン。⑩三軒茶屋
何とかキャマダ家三軒茶屋にて再集合、新生活を始め、

キャマダの、ジデン。⑪シゲタデザイン事務所
修おじさんに何から何までお世話になり、

キャマダの、ジデン。⑫修おじさん
母は修おじさんの下でようやく昼の仕事に就き、

キャマダの、ジデン。⑬代官山
父は新しい職場でまたやらかしてしまい、

キャマダの、ジデン。⑭馬鹿丸出し軍団
僕も生まれ変わろうと新しいクラスで友達を作り、

キャマダの、ジデン。⑯戦闘的ゴジラ主義者
生涯の友、戦ゴジと出逢い、

キャマダの、ジデン。⑰パンの耳
赤貧の僕と戦ゴジはパンの耳を拾って食い歩き、

キャマダの、ジデン。⑱今泉見海
生涯の友、今泉見海とも出逢い、

キャマダの、ジデン。⑲さよなら馬鹿丸出し軍団
しかしそれから2年弱で離婚の危機を迎える。

小学4年までの10年でこれだけの出来事がキャマダを襲うんだから
残りの34年は一体何が起こるんだよこんにゃろ
とゆー鎌田浩宮の早すぎる自叙伝、なわけでごんす。

それでは、恐れずに続きを読め!

当時、母は32歳、父は36歳。
この年齢にして、
既に2度目の一家離散、である。
しかも今回は、
父が女を作って家出をし、
半年くらいだったか、
家に帰ってくることはなかった。

離婚ということになり、
母は僕と弟を連れ
池袋へ引っ越した。

仲良しの4年2組の皆とは
身を引き裂かれるような思いだった。
毎日泣いて懇願した。
「引っ越すのだけはやめて」
親というものは
残酷だった。

しかし、母はサスガだった。
そこには、男がいたのだ。
父も父なら、
母も味噌もくそも一緒だぞ。

しかし、母にこの頃の話をすると
決してあれは浮気ではなかったと
いまだにシャウトする。

男は、母より、少し若かっただろうか?
母と同じ、水商売稼業だった。
家には週刊プレイボーイが置いてあったりして
なんだか子供の教育上、
よろしくなかったりしたもんだった。

しかし、いつまで経っても
池袋の小学校へ
転入手続きをしないんである。

いまこ(今泉見海)が
学校から帰ってくる時間を見計らって
公衆電話から電話をした。
三軒茶屋に戻りたくって、
僕は泣いていたかもしれない。

そして。
事態は急展開した。
事情は、知らない。
父母は、離婚を回避し、
三茶に戻ることになった。
結局、ブクロにいたのは
1週間だけだった。

母は、泣き腫らして
お岩さんのようになった眼を
サングラスで隠していた。

ブクロの家を出る時、
男の人は、
「いつでも戻ってきていいからね」
と、優しく笑った。
とても優しい人だった。
シンドーさんという名前だった。
漢字は、もう、覚えていない。

奇跡かと思った。
こうして再び
三軒茶屋小学校に行った。

僕の大切な4年2組は、
体育の時間でプールの最中だった。
僕は、生涯で最も敬愛する
担任の和田淨美先生と
教室で、授業が終わるのを待っていた。

日差し、とってもまぶしかったよ。

チャイムが鳴った。
少しして、遠くから
誰かが声の限り叫んだ。
「おい!かまちょだ!」
「え?かまちょ?」
「かまちょーっ!!」
規則で走っちゃいけない廊下を、
皆一目散に走ってきた。

戻ってこられたんだね、
もうどこにも行かないんだね、
僕は優勝した野球選手のように
皆にもみくちゃにされた。

泣きそうだった。

それから数時間後が、凄い。
さすが三軒茶屋の子、下町っ子だ。
「かまちょ!餞別であげた、
ピンク・レディーの下敷返せ~っ!!」
再びもみくちゃにされた。
今度は倒産した会社の社長だ。

それから1日後も、凄い。
「あのさぁ、かまちょさぁ、苗字変わったの?」
皆が、そ~っと聞いてくる。

いまこ、喋ったな。

でも、いいんだよ。
1人で、抱えきれなかったんだよね、
そんなとてつもない秘密なんて。
誰かに話さないと、
いまこ、爆発しちゃうところだったんだよね。

いいんだよ。
よかったんだ・・・。


2013.01.23