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浪日記㉕ 撮影/文・鎌田浩宮
去年の12月2日に、我が最愛の息子、浪は旅立ちました。
浪は最後の2年ほど、嘔吐が止まらず、内臓もあちこちが悪くなり、食欲が減り、痩せ細ってしまいました。
目に入れても痛くない、とよく言いますが、僕の命を投げ出してでも、嘔吐などに苦しまず最期を過ごせれば、と必死に看病ししていました。
これらの写真は、2011年11月30日の朝7時半に撮った、浪の最後の写真です。
そして先日、浪の命日を、初めて迎えました。
去年の今頃が思い出され、つらくなり、胃まで痛くなってきました。
母が、浪にとてもよく似合う花束を買って、僕の家に来ました。
2人で、浪が旅立った13時10分を過ごしました。
母は、泣いていました。
事前に予想していた通り、今日を1人で過ごすのは、つらくてできない。
浪を可愛がってくれた何人かの友人に来てもらい、酒を呑みました。
もちろん皆には普段着で、手ぶらで来てもらいました。
そのお店のご主人も、飼っていた愛犬に浪と同時期に旅立たれ、強烈なペットロスに襲われ、僕もよく1人で呑みに行っては、慰めあった店です。
一周忌は絶対にこの店で過ごしたい、と思っていました。
三軒茶屋の「じんこ」というお店です。
本当に素敵なお店なのです。
遠くからわざわざ駆けつけてくれた友人に心配させたらいけないと、余分に陽気に振る舞いました。
それがいけなかったのか、皆も気遣ってくれているのか、こちらから聞かない限り、自ら浪の思い出を語ってくれる人は少なかったです。
いつの間にか、普段の宴会のようになりました。
来てくれた友人たちが、この1年をかけて僕に寄り添い、慰めてくれ、すっかり立ち直らせてもらったように思えたのですが、まだ僕にはつらかったようです。
次第に僕は陽気ではなくなりました。
やはりこの日は、しみじみと静かに、浪のことを語り合いたかったのです。
帰る間際に、
「もっと浪のことを話して帰ってくれ」
と、声を荒げてしまいました。
明けて、12月3日。
今日は、虚無感で一杯です。
ようやくこの日記を、書くことができました。
1年経っても、浪の不在はまだつらく、悲しく、寂しいものなのです。
でも、この1年で変わったことがあります。
以前は自分のことばかりでしたが、今では、浪はあの世で寂しくしていないか、孤独ではないかと、浪のことを慮れるようになったのです。