キャマダの、ジデン。⑰パンの耳

・・・チミは、レモン味のパンの耳、
食ったこと、あっかい?

さて舞台はひとたび中学生に移る。
前回に引き続き、再び登場するはかときん。
彼は僕に、
耳寄りな話をしてくれた。

「あそこのコンビニ、パンの耳捨ててるぞ!」

僕らは狂喜した。
とにかく家がビンボーなので
家計の足しになる。

それ以前に
給食を5杯以上もおかわりしてた欠食児童だったので
「もったいない」
とゆー思想は、
数十年後の現代に
「mottainai」
と海外の人に演説される前から
爪の先まで体に染み込んでいた。
「食べられるものを捨てるなんてけしからん!」

夜、こっそりとゴミ捨て場に行く。
あった!
ビニール袋に満載だ。
美味い美味い。

食べきれない分は家に持ち帰った。
喜んだ母は、
揚げて砂糖をまぶして食わせてくれた。

これ、1980年頃の話です。
渥美清さんの幼少期とかではないです。

ある日いつものように
ゴミ捨て場に行った。
パンの耳の入ったビニール袋は、
少し濡れていた。
雨かな?
まあ、中に染み込む訳じゃなし。
いただきます。

なんか、味、違うな。
レモンの味がする。
レモン味のパンかな。

2人は不思議がりながらも
パクパク食べていた。

今考えると
この2人の脳味噌は、
恐竜並みに伝達速度、遅っ!

そこゴミ捨て場じゃん!
誰かが袋の上に
レモンジュース捨てたんだよ!
それが染み込んでんじゃん!

オエッ!
恐竜2頭、口からパンを吐き出した。

しかし、である。
赤貧少年2人の結論は
まさかの、あさっての方向を向いていた。

「今度からは、濡れてないのを食おうね!」
「おお!」
まだ食うのかよ!

かときん、これからもよろしくな!ラヴ!


2012.03.16