第84話 第2章「ため息な1週間」の巻

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キャバ友のアゲハんとこにでもいるんだろうな

もしかして、オトコんとこだったりして…

 

あーあ、もうアイツが出てって1週間か

 

こんなことはいつものことだけど

なんだか、今回はもう二度と帰ってこないっていうか、

会えない気がしてならない

 

毎日が無性に寂しいな

 

携帯に電話?

アイツ電話換えやがるし…

ホント徹底してるよな…

 

唯一の絆のクリスもアイツが連れてったし…

 

なんか、多分おわった。そんな気がする

 

・・・。

 

 

「あ、おはようございます」

 

「おはようさん、いつものね」

 

朝イチ、いつもの通りにいつものオーダーのいつものお客さん

 

「そういえば、またカノジョは出て行ったのかい?あれ以来みないけど」

 

「はい…」

 

「なんだか深刻そうだね?」

 

「はい…」

 

ボクはことの顛末を話した

 

「ふーむ、難しい問題だね。そもそも男と女の関係は会社経営より難しいからね」

そういって、微笑みコーヒーを啜った

 

「まあ、そろそろいいかな」

 

「何がですか?」

 

「キミの大切なカノジョとワンちゃんはウチにいるよ」

 

「はぁ~? いまなんていいました?」

 

「ははは、日本語がわからないというか、意味が分からんようだね、今いった通りだよ。すっかりカミさんもムスメが戻ってきたようで喜んでるよ」

そういってまた微笑みコーヒーを啜った

 

「・・・。そうですか、ってそうじゃないですよ!スミマセンご迷惑かけて」

 

「だから言っただろうに、迷惑どころか喜んでるって」

 

老眼鏡をテーブルの上にコトリと置いて話し始めた

「先週の今日だよ、ワンちゃんと一緒に散歩ついでによってくれたんだよ。そうしたらカミさんが喜んでね、それで一緒に昼飯を食ってね。その後、スコーンやらを一緒に作りだして、そんなこんなで夕飯も一緒にね。ワイン飲みながらカミさんと話が弾んだみたいでね、私は先に休んだんだけど、朝起きたらまだいたんだよ」

 

そして、また一口コーヒーを啜った

 

「それで、結局娘のようにうちで暮らしてるって訳だよ」

最後のコーヒーを飲み干し立ち上がる

 

「はい、500円。置いとくよ」

そういって、彼は立ち去った

 

「はぁ~?」

「そっか、あの方のウチにいたんだ…」

 

変な安堵感に包まれながらも複雑な気分だった

 

迎えにこいってことかな?

まあ、そうだろうな

でも、なんで毎日店にきてくれてたのに1週間も黙ってたんだろう?

でもって、なんで今日話してくれたんだろう?

 

まあ、いいや。とにかく迎えに行こう

 

意味なく久しぶりにワイシャツとスーツに着替え

看板をCloseにしてボクは店を出た

2012.06.14