第110話 第4章「ロンドンの曇り空な朝」の巻

カムデンから北へプラプラと坂を上る

チョークファームというノーザンラインの駅近く

そこがカノジョの住む街だ

 

大通りから左に曲がって一本目の袋小路

英語ではミューズというらしい

 

3階建ての建物の一室

ストゥディオ(Studio)と呼ばれる部屋で生活をしている

築100年?

内外共に古びた建物ではあるが

部屋の中はそれなりの空気感があるのが

なんともイギリスらしい

備え付けの調度品も日本にはない重厚感が漂う

 

奥まったミューズの一角だけに

車の音も街の雑踏も感じない

ただただ静かな時が流れる

 

「モーニン!おきたの?」

 

「うん、よく寝た」

 

ただ残念なのが外は薄曇り

今日も太陽は顔を見せない

それが、いつものロンドンなのだろうけど

 

「モーニング作ってあるよ、パンだけ焼いてね。もうアタシガッコウいくから」

 

「ありがと、じゃあね、いってらっしゃい」

 

朝はもちろんミルクが主役のイングリッシュティー

いつものトーストとカリカリベーコン、

マッシュルームがクセになるジューシーさだ

 

そう、ボクはいまロンドンにいる

 

2013.02.07