第109話 第3章「カノジョの香りのする部屋」の巻

目が覚めると見知らぬ部屋だった

でもなんだか懐かしい気がした

 

ここはどこだ?

ボクはここで何しているんだ?

 

頭が重い

二日酔いの重さでも、風邪を引いた時の重さでもない

今まで経験したことのない、イヤな感じの重さだ

 

ベッドに寝たまま、重い頭を動かすことなく

視界の範囲で右から左へと部屋を見渡した

 

ここはどこだ?

まるで雑誌で見るような外国の部屋の一室のようだ

 

でもなんだか懐かしい

そうか、この懐かしさの訳は、部屋の香りだ

そう、アイツの香り…

 

てことは、アイツが帰ってきたのか?

いや違う、ここはどうみても海外の部屋

おそらくロンドンだ

僕はカノジョを追いかけロンドンまで来たんだっけか?

 

頭を整理してみようと思ったが

体は金縛りにあったように動かないし

頭の中は混乱とイヤな重さで朦朧としている

 

今の状況が理解できない

記憶喪失のように何故ここでこうしているのか

そこまでのことが思い出せない

 

人の気配はないが、

間違いなくカノジョの部屋だ

それだけは確信できる

 

誰もいないのか?

金縛りは続いている

なので声を出そうにも声も出ない

 

夢か?

その割には意識だけははっきりしている気がする

そうだ、もう一度眠りにつこう

次に目が覚めたときはっきりしている

 

そんな気がした

2013.01.31