第115話 第4章「ノッティングヒルのカノジョ」の巻

「いつまでもねてんなよ~ てんきいいぞ~ のってぃんひるいこ~よ」

 

週末土曜日

ノッティングヒルの駅からラッドブロークグローブまで続く

ポートベロのフリーマーケット

ここはカノジョのお気に入りらしい

 

そういえばジュリアロバーツの

ノッティングヒルの恋人を何回も見ていたもんな

 

「うん、起きるよ。クリスと一緒にいこっか」

 

今日はいつもの曇り空の隙間から

時折陽射しが差している

なんとも太陽がありがたく感じる街だ

 

ティーバックで作った

イングリッシュティーをゆっくり飲んで朝がはじまる

すっかりコーヒーから紅茶に変わった

 

「おい、はやくいくぞ!なにだらだらしてんだよ!」

トーキョーにいた頃とは立場が逆だ

 

週末一緒に出かけるといえば

昼まで寝てるわ

メイクに一時間以上かかるわ

そっから服が気に入らないだのナンだので

ヘタすると出かける頃には夕方になりかねないカノジョ

 

いまじゃ早起き、メイクも2~3分の薄化粧

 

逆にボクの方がダラダラと時間がかかる

 

ベッドから出て小一時間

ようやく準備ができた

 

「ったく、おせーんだよ! クリスいくぞ!」

カノジョの号令で

重たいドアを開けて外に出ると

陽射しが眩しい

 

「いい天気だね」

「さっき言ったよ! 早く行くぞ!」

「ハイハイ」

 

スタスタとバス通りまで軽快に歩くカノジョ

その横でカノジョの顔を時折見上げながら

ひょこひょこと小走りするクリス

 

5mほど後ろからそれを眺めながらゆっくり歩くボク

 

朝飯食べてないから

ポートベロのカフェでサンドイッチ食べよう

 

日本みたいになに喰ってもおいしいとはいえないけど

なれてくるとそれなりにおいしいものがあるものだ

 

桜は咲いてないけど

ちょっと春な香りがしたような、そんな土曜日

2013.03.28