第83話 第2章「思いつきの言葉」の巻

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「なあ、オレたち別れない?」

安っぽい言葉だと、自分で言った後から後悔した

 

「いいよ別に」

期待はずれな“返し”だった…

 

クリスを抱き上げ、それから言葉を発しないカノジョ…

 

言葉に詰まった…

 

「なあ、おれね、わかんないんだよ」

 

「・・・。」

 

「ていうかさ、これからのこととか、だからさ、おまえとさ…」

 

「・・・。」

 

やばい、どんどん墓穴ほってる。ていうか、

何がいいたいのか自分でわからない…

 

「てかさ、、、」

 

「・・・。」

 

やばい、さいてーさいあくだ…

 

「ごめん、なんでもない」

 

「・・・。」

 

「クリスいこっ!」しばらくの沈黙の後、

カノジョはクリスにリードをつけそういった

 

「散歩行くの?」

 

「・・・。アンタにはかんけーない」

 

そういって、カノジョはクリスをつれて出て行った

散歩かな?

もう帰ってこないかもしんない散歩かな?

でも、なんかワケわかんない買い物して帰ってきそうな気もするし

瞬間、へんな不安な気持ちからワケわかんない言葉を発した

 

「ねえ、昼一緒に喰わない?」

 

「・・・。      ヤダ」 「・・・。」 「シネバカ…」

はぁ~、おれは何いってんだろ?何がいいたいんだ?

 

「ねえ、ちょっとまって!」

ドアを開けてカノジョを追ってそう呟いた

 

「ねえ、ごめん」

 

「あやまるならいうな!シネバカ!オマエとは口きかない、シネバカ!」

 

そういってカノジョは振り返らずに走り始めた

 

はあ〜あ、ボクは何をいいたかったんだろう?

何をカノジョに伝えたかったんだろう?

ボクは世界で一番アイツが好きだ

多分それは間違っていない

アイツに振り回されながらも一緒にいたい

そう思ってる…

 

なんで、別れようとか、いったんだろう?

アイツから嫌だって言葉を聞きたいだけだったのか?

それとも好きだとか、理解できない言葉をアイツが発するのを期待してたのか?

だから、何をききたかったんだ俺は?

 

パーカーとスニーカー

クリスを連れて振り返らずに走り去るカノジョ

 

もしかしたらこのまま帰ってこない気がする

ヤツのことだから…

 

ボクはカノジョに何を求めているんだろう?

 

店の看板をCloseにしたまま、

ワイン片手にボクは浜辺に向かった

 

ラッパ飲みしながら、

カノジョがクリスを連れてボクの前を通り過ぎるのを待った

 

店に戻り、二本目

陽が傾く頃、三本目

 

水平線にちょうどオレンジ色の太陽が烏帽子岩にさしかかった

 

江ノ島とオマエ(烏帽子岩)じゃまだよ夕陽が水平線に沈むとこ見えないじゃん!

 

はあ、そんな夕暮れ

 

まだ飲みたいと思って、四本目と思ったけど、

ワインに飽きたんで缶ビールをあけた

 

プシュ!

 

うんまいな、ビール

 

んで、やっぱアイツ帰ってこないし

 

 

 

そして、とっぷりと日は落ちた

 

2012.06.07