「寅さん会館」の管理・運営者、ココトラに決定

構成・鎌田浩宮
写真・大島智子/鎌田浩宮

遂に
渥美清こもろ寅さん会館
復活への
スタートライン
獲得。

 

つい先日、2015年4月20日(月)、小諸市のHPに、小さな小さな発表が掲載された。

http://www.city.komoro.lg.jp/attention/2015042000275/

「旧寅さん会館」「やすらぎ会館」「収蔵品」の管理・運営者を公募型プロポーザルにより募集したところ、2社からの応募がありました。
公募要領に基づき、4月20日に審査を行った結果、下記の事業者に決定しました。
■最優秀者 コモロ寅さんプロジェクト「いつもココロに寅さんを」(通称ココトラ)

つまり。
あまりに突然だったのだけれど、小諸市が、市が保有している渥美清こもろ寅さん会館、及びその地下1階にあり毎月第2土曜の「男はつらいよ」上映にも使われているやすらぎ会館、及び寅さん会館の収蔵品の、管理・運営してくれる団体を、3月に公募したのだった。

この急な案内にも、我々ココトラ以外にもう1団体応募があり、その2団体によるプレゼンテーションが4月20日に行われ、市の審査により即日我々ココトラが選ばれたというわけだ。

要するに、市が保有していた以上の物は、全てココトラに無料貸与され、寅さん会館復活と運営が、ココトラに全て任されたという事なのだ。
いやあ、この苦節数年間の諸々が、この約1か月で急転開花するんだねえ。

そこで、ココトラ(コモロ寅さんプロジェクト「いつもココロに寅さんを♪」)事業部長・清水薫さんに、何が起こったのよあんた達どうしたのよ大変だったねえ嬉しいだにいああだのこうだのとインタビューを敢行しました。
以下、お読み下さい。


上映会当日、準備に追われまくる清水薫氏なんである。

 

金銭面を、
熟考。
来春、
リニューアルオープン、
目指します。

 

‐ 急に決まった公募にプレゼンに、寝る間もなく準備、お疲れ様でした。

 20ページほどの企画書を市に提出しました。事業計画、収支に加えてこれまでのプレスリリースや、山田洋次監督や倍賞千恵子さんからの応援のお手紙や、これまでの活動の写真を添付しました。

‐ ココトラとしてはここ数年間、小諸市に対して会館復活を訴え続けてきたわけですが、まさかの急転直下、ココトラが管理・運営を任されるという事態に。

 特に嬉しいという感慨は、個人的にはないんですよね。ようやくスタートラインに立つ事ができた。これからが本当の活動開始なんですよ。

‐ にしても、訴えられ続けた市が寅さん会館を再開し、運営していくのだと思ってたので驚きました。

 僕は、いつまでも態度を変えない市に対してかねてから、管理も運営も一切合財全てこちらでやってやる気概で働きかけていたから、動揺のようなものは全然ないんですよ。

‐ そいつぁ格好いい。で、プレゼンで重視した点はなんですか?

 これは夢や希望を訴えるものではなく、現実的にお金の工面をどうするかという点ですよね。休館に追い込まれた理由の1つとして、残念ながら資金難があったわけで、ここを注視しなくてはなりません。

‐ 具体的には?

 休館前は、一般入場料が500円でした。それを300円にしようと考えています。また、小諸市随一の観光地である懐古園の入場料500円に、プラス100円の特別料金を設けて、それで寅さん会館にも入れるように提案したいと思っています。というのは、懐古園って意外と小さくって、40分もあれば一周できちゃうんですね。そこで、時間も余っちゃって他に行く所もないのだったら、+100円でここまで足を運んでもらえるんじゃないかと。

‐ 言われてみれば、柴又に来る観光ツアーも、帝釈天がメインなんですけれど、寅さん記念館も回っていきますよ。同じ事ですね。

 あとは、会館の1階にオープンカフェを作ろうと思うんです。カフェをやりたいという方もいるので、その方にそのスペースを貸し出して、家賃収入とします。2階からはこれまでの展示コーナーとして有料にしようと思っていまして、カフェの方には入口の受付もやっていただこうと考えているので、人件費も浮きます。したがってココトラは、光熱費などの負担だけで済みます。

‐ やはり1番かかるのは人件費ですから、それはいいアイデアですね。

 休館前と大きく違うのは、今は市の所有物ですから、固定資産税をココトラが負担する必要がないんですよ。これは大きいですね。

‐ 修繕やリニューアルに関しては?

 例えば去年の東日本における記録的な大雪で、建物の一部が破損したんですね。加えて冷暖房や空調の故障があった場合は、所有者である市に費用を出してもらいたいですね。ただ、再開に当たって内装などのリニューアルはこちらで負担するんです。

‐ そりゃあ大変だ!

 そこで、休館前の会館当時の株主に、配当というわけじゃないですがそちらに工事などを発注したいと思っています。その分安くやってくれたらな、という淡い期待もあります。また、協賛金もこれまで同様、募集していきますよ!

‐ 以前よく、小諸を舞台にした人気アニメとの共同展示、って話が上がりましたよね。若いお客さんも呼び込めるし。

 残念ながらその話は現時点では進んでいないんですよ。ただ市からの希望で、郷土資料館の展示物をこちらに移設する予定です。

‐ あ、そうそう!1番肝心な事。今回プレゼンに参加した他団体は、会館の名前も変えてしまうという案も提案したとか?

 うちはそれはありませんのでご安心を!ただ、ネーミングライツを募集しようという案は、内部ではありますねえ。特にやすらぎ会館の改名については。

‐ 「コボスタ宮城」とか、ああいうものですね。素敵な企業が手を挙げてくれるといいなあ!

 あとは地下1階のやすらぎ会館は、名前を変えていろんな人や団体に使ってもらえるようにしたいですね。その際の使用料も収入源になればいいなあと考えていますよ。

‐ さて、リニューアルをして、いつ頃再オープンを考えていますか?

 精一杯頑張って、来年の春ですね。ここがタイミングとしても1番いいと思っています。

‐ 来年の春。僕も頑張ります!最後に言洩らした事があれば、どうぞ!

 ココトラ内部では、これまでの間に苦しい時期もあったという人もいますが、僕は全くなかったです。また、これに浮かれている場合でもないんです。やっとスタートラインに立つ資格が得られただけですから。これだけ賛同者の方々がいて、上映にも沢山の人にお越しいただいて、応援して下さっている方々に感謝の気持ちだけです。もう、休館している場合ではありません。オープンを目指して頑張っていくだけです!

という事で、来春には雪解けと桜の満開と共に、渥美清こもろ寅さん会館の再オープンを目指し、これまで以上にココトラは忙しく、奮闘努力していきます。
皆様の応援、ご支援、ご協力、心よりお待ちして止みません。
どうぞ力をお貸しくださいね!
そして「その日」は皆で、びっしょびしょの嬉し涙で祝杯をあげましょう。

小諸市の休館中の「旧寅さん会館・やすらぎ会館」の管理・運営者が決まる!
「コモロ寅さんプロジェクト『いつもココロに寅さんを♪』
(通称・ココトラ)」に!長野県 小諸市

小諸市は20日、懐古園・郷土博物館近くの旧寅さん会館(休館中)・やすらぎ会館と会館内収蔵品の管理・運営者を選定する審査を行い、最優秀者として市民有志の「コモロ寅さんプロジェクト『いつもココロに寅さんを♪』(通称・ココトラ)」に決定した。
 市では、旧寅さん会館と地下部分でフィルム映写機があるやすらぎ会館を無償貸与し、自主財源で管理運営してもらう事業者を公募型プロポーザルで募集。市内2団体から応募があった。

 ココトラは、寅さん会館復活と地域づくりに生かそうと、松竹と交渉し、県外の人も巻き込んで上映会などを続けている。

 審査でプレゼンテーションを行ったココトラ代表の一井正樹さんは「まだ寅さん会館が開いていた時から、会館を何とかしたいと2人から始まった活動で、仲間が増え、多くの皆さんに期待してもらい、やっとここまで来られて感慨深い。皆さんに感謝したい。誰にでも来てもらえるような会館、新たな魅力を引き出したい」と語った。

 現在の構想では、会館の名称には「寅さん」を残し、やすらぎ会館の名称は、ネーミングライツで企業などから収益を見込む。
これまで入館時に料金が必要だったが、1階はオープンスペースにして、庭にはカフェを設置。中2階以上で入館料を取る方式に切り替える。
すでに交流している東京葛飾柴又の寅さん記念館と連携した運営にも乗り出す。やすらぎ会館は、貸しスペースだけでなく、地下で暗い特徴を生かした事業展開を考えている。

市では建物の補修を補正予算で行うため、ココトラが実際に運営を始めるのは秋以降になるとみられる。

東信ジャーナル2015年4月23日(木)より

 


2015.04.24