渥美清こもろ寅さん会館にて「続・男はつらいよ」35㎜フィルム上映

撮影/文・鎌田浩宮

さあ、
寄ってらっしゃい、
見てらっしゃい。
これから
毎月第2土曜は、
小諸で
寅さん
観るんだよ。

朝7時過ぎに三軒茶屋を出て、
朝11時に高速バスで小諸着。
バス代は、2470円。
安くって、早い。

バスの中で、自分で作ったお弁当をもぐもぐ。
自分で淹れたアイスティーは、水筒。
走る山あいの景色は、抜群。
だからさあ、皆も、遠くからおいでよ。

2014年6月14日、土曜日。
梅雨なのに、快晴。
ココトラの皆の、日ごろの行いが、いいんだに。

街中に、貼られたポスター。
これも、ココトラのメンバーが、1軒1軒頭を下げてお願いして、あちこちの店頭に貼らせてもらった。

ん?
なんだず?
さっきから書いてる、ココトラって何ってかい?

財政難から休館になってしまった、小諸にある
「渥美清こもろ寅さん会館」
を再開させようと、市や人々に働きかけている有志の集まり、
「コモロ寅さんプロジェクト『いつもココロに寅さんを♪』」
の略称だよ。

国民栄誉賞までも受賞した渥美さんを邪険にし、休館させている小諸市に、どんだけ渥美さんが愛されているか形にしようと、毎月第2土曜に、寅さん会館地下1階の
「やすらぎ会館」
にて、今では稀となった35㎜フィルムで上映しようというもの。
その名も、
「寅さん全作フィルムで観よう会」
フィルムは、大枚はたいて松竹から借りるんだよ。

 

生涯
無給で
奮闘、
ココトラ

メンバー。

 

さあ、会館にあるこの広い駐車場、満車にするんだ。
11時30分、ココトラのメンバーが15名ほど集合、会場設営を開始。
ポスター、貼って。

手作りの、あったかみ。

どんどん、貼るど。

ココトラのメンバーが撮影した、渥美さんの貴重な晩年の撮影風景の写真。
本来ならこの階上にある、寅さん会館に貴重な展示物、一杯あるのにね。

休館中なの。
なんでだ!
こういう時だけでも、開けさせてほしい。

だから地下1階では、受付も手作り。

こちらは、本やグッズの販売コーナー。
机1つ、椅子1つ運ぶのも、重いんだよお。

写真が暗くって解りにくいけれど、こうした客席も皆で、100席運んで並べます。
その上の35㎜フィルム映写室では、遠方から来てくれた映写技師さんが、セッティング、試写。

35㎜フィルムの上映施設がある自治体なんて、すごく貴重なのに、僕ら以外、使用者がいないおかしさ。
そんなおかしさを尻目に、準備は順調に進む。

僕はこの日、音響・照明・物販などを担当。
特に音響面では、普段ほったらかしのせいで、マイクが故障してしまっているのを、東京から持って来た機材で短時間内に直し使えるようにするという、ジューヨーな任務があったんでした。

東京から持って来た、ミキサー、ケーブル類、マイク、紙やすり、ドライバー、等々でトンテンカンテン。
無事、使えるようになった。

そして、開場時間は午後2時30分なのに、その30分前から既にお客さんが。
開場時間を繰り上げました。

ちなみに、この日のキャマダがチョイスしたBGMは、このCD。
好評だったですよ。

 

わいわい、
がやがや。
賑やかに
観ようよ。

 

そして2時半の段階で、この客入り。
無料のお茶やコーヒーが、振る舞われます。
これがアンケート集計でも、大好評でした。
スタッフの心遣いが嬉しかった、と。

さらに、飲み物も食べ物も、持込み大歓迎。
お酒を持って来たっていいのさ。

さすが小諸は、日陰に入ると涼しい。
館内も、持って来た扇風機だけで大丈夫です。

 

コヤ
ならでは

楽しみ。

 

50代、60代、中には70代や80代の方まで。
ちらほら若者や、子供連れも。
BS放送でも今、毎週土曜寅さんの放映があるし、レンタル屋でも寅さんは借りられる。
ましてや、インターネットの時代。
そんな中、この集まり。

大きなマスコミの宣伝があったわけでもなく、ココトラのメンバーによる地道な口コミだけで、小さな街・小諸にこれだけの人が。
東京だったらこんなに人が集まるだろうかと、深く考えてしまうんであった。

確かに小諸には、東京のように映画館も、TSUTAYAもない。
いや、正確には小諸駅から離れた所にはTSUTAYA、あるそうだが。
人口も、少ない。
電車の本数だって、少ない。

でも、貴重なフィルム上映に、皆で1つに笑って泣いて、をしてみたい。

さあ、開映時間の午後3時。

ココトラ代表・轟屋いっちーこと一井正樹どのより、ご挨拶と作品解説。
そして、それを見つめるお客さん。

「この全作上映は、僕らの悲願でした」
とマイクを握りしめる、いっちー。

そして、開映のブザーが鳴りました。

皆で真っ暗闇の中、時にお喋りしながら。
小学校低学年の子は途中で飽きて帰っちゃったけれど、さすがにまだ難しかったかな?

ミヤコ蝶々、森川信らの芝居を、フィルムで観られる贅沢さ。
贅沢以外の、何ものでもない。
そして、佐藤オリエの可愛らしい事。
あたかも「ローマの休日」を観て、今や亡きヘプバーンに恋してしまうように、佐藤オリエにときめく。

僕自身も家庭事情がちょっぴし複雑だったので、寅さんの悔しい再会に、もらい泣きする。
そして。
ラストシーン、寅さんが、あの糞婆と罵ったお菊(ミヤコ蝶々)を導くように寄り添い歩く。
大画面の銀幕ならではの、感動。

 

休館
している
わけを
知りたい。

 

アンケートを読ませてもらって驚きだったのは、意外とこの第2作
「続・男はつらいよ」
を初めて観る人が多かった事。
年配の方が多かったから、既に観た事ある人、多いかと思ってた。

そしてほとんど全員が、とっても面白かった、と。
笑って、泣けた、と。
渥美清って、いいなあ、と。
なぜこんないい施設を、休館させているんだろう、と。

上映後は希望者だけが残って、ココトラのメンバーでもある、松竹衣装部の本間邦仁(ほんまくにひと)さんを囲んで、椅子も円の字にして、座談会と称してお喋り。
撮影秘話も飛び出すのであった。
予定時間の30分、あっちゅー間に終わっちゃった。

 

来月
も、
お控えなすって!

 

来月も来るよ、と言って帰ってくれたお客さんの多さ。
いい笑顔だったなあ。
こちらの疲れも、吹っ飛ぶよ。
この笑顔、東京にはないなあ。
公開当時から現存する35㎜フィルムならではの、色の褪せた具合と、反比例している。

また会いましょね。
できたら、愛する人と一緒に来てもらえたら、もっと盛大になっていいねえ。

そうそう、来月の上映は、7月5日の土曜日。
この月だけ、第1土曜日です。
なぜなら、第2土曜が小諸市民祭りのため、重なるのを避けたんです。

ぜひ、来月も、お控えなすって!

寅さん会館復活を目指して、皆で集まろう。

長野県小諸市古城1-4-26
渥美清こもろ寅さん会館地下 やすらぎ会館
2014年7月5日(土)
午後2時30分開場
午後3時開映
シリーズ第3作「フーテンの寅」
大人1000円 学生500円 中学生以下無料
100円安い前売券絶賛発売中
お問合せ 代表・一井 090-2953-2172


2014.06.16