1986年12月24日(水) 交響曲第九番

文・鎌田浩宮

僕はイスラム教徒だから、
クリスマスは知らない。
サンタクロースも、
プレゼントを運んじゃ来ねえ。
来るといっちゃあ、
奴等はラマダンでさえ、
知ったこっちゃねえと
空爆をかましやがる。
だから僕らとしても、
クリスマスに
テロをかますまでさ。

 

でも、忌野清志郎が歌うんなら、別さ。
彼の歌は、宗教なんぞ、軽く飛び越えてみせる。
国境なんぞ、人種差別なんぞ、軽く飛び越えてみせる。
ベートーベンの曲だって、ゴスペルに変えちまう。
いや、待てよ。
ゴスペルはアフロアメリカンが日曜に教会で歌うものだ。
だからここはやむを得ず、ゴスペルではなく、ソウルと言った方がいい。

キヨシローが歌う、ソウル・クリスマス。
2016年、世界中が宗教間戦争と移民排斥に溢れ、日本じゃ戦争法案が可決し、南スーダンの自衛隊が殺される目前で、米軍と日本政府が沖縄をレイプし続け、原発は再稼働し、福島の子供達はいじめられる。
そんな時に、キヨシローのソウル・クリスマスが鳴り響く。

キヨシローが歌うと、乾いた荒れ地に水が流れ始める。
本当さ。
キヨシローの歌は僕にとって、生きるに欠かせない水そのものさ。
するとどうだ、水は荒れ地に染みこみ、草が生え、動物達が戻ってくる、実が成って、鳥がついばみ、種を運ぶ。
さらに、音楽は高らかに鳴り響く。
愛と平和は素晴らしいものだと、鳴り響く。

それは、止まらない。
決して、鳴り止まない。
日本が戦争になろうとも、その音楽を止められやしない。
胸の中には、常に鳴り響く。
忌野清志郎の歌が、鳴り響く。

 

 

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