玉音ちゃんradio 第14回「きよしちゃん」

DJ・鎌田浩宮

好きなミュージシャン、色々いるけど、
楽器1つと歌声1つの弾き語りなら、
日本では、この2人が、1番大好きなんだ。

ギターなら、チャボ。仲井戸麗市。
ピアノなら、アッコちゃん。矢野顕子。

楽器が、伴奏だけになっていない。
ただ、コードを掻きむしってるだけじゃ、ないんだ。
伴奏が、間奏のソロを弾いているようだし、
でもって間奏のソロの部分も、音圧が下がらないんだなあ。

つまりは、
歌うように、弾くし、
弾くように、歌う。

テンポはフリーになり、
リズムははずんで変わる。
その豊かさと言ったら、もう。

だから、2人それぞれの、
バンド編成のライヴも行くんだけれど、
行くと、弾き語りの方も聴きたくなっちゃう。

この2人には、強い共通点、あります。

忌野清志郎です。

チャボとアッコちゃんとキヨシローが、初めて共演したのは
ヘンタイよいこ新聞・糸井重里編集長(男)が企てた、
あの伝説の1982年5月5日
「ヘンタイよいこ白昼堂々秘密の大集会」
なんだぜ。
イェーイ!

キヨシローが、アッコちゃんの
「ひとつだけ」を歌って、
アッコちゃんが、RCの
「トランジスタラジオ」を歌って。

いやあ、まんず行きたガッタなや。
この頃僕は、超ビンボーな中学生。
「ヘンよい」が載っている雑誌
「ビックリハウス」さえ、
買えないで道にあるの拾って読んでたんだもの。

アッコちゃんのレコードも、
シングル盤しか買えなくって、
LPは友達に借りて聴いてた。

そーいや、
当時できたばかりのコンビニの裏のごみ捨て場で
パンの耳を拾って食べてたのも、この頃だった。
http://epstein-s.net/archives/7047

アッコちゃん、いい曲だらけなんだよなあ。
数十年にかけて出し続けているアルバム、
どれもこれもいい曲だらけなんだよ。

その理由の1つは
最後の方に書くけれど、
どの曲も
1人1人のため
隣の人のため
に書いた曲だから
だと思うのであるが。

ヘンよい以来、アッコちゃんがキヨシローのこと、
「小学校の時の同級生みたい」と言ったりして、
多くのセッション、繰り返して。

そして、キヨシローがガンであることを公表し、休養宣言をした時に、
沢山の彼の友達の中で唯一、アッコちゃんだけが
彼のための曲を創り、歌いだした。

忌野清志郎のことを、
この呼び名で呼べる人は、
アッコちゃんの他には、そう多くないでしょう。

「きよしちゃん」

きよしちゃん いい曲だね きよしちゃん
きよしちゃん いい歌だね きよしちゃん
きよしちゃん いい曲だね きよしちゃん

いけない事して こんがらがってる
終わらない坂道 立ちどまってみる
この手をはなさない はなしてはいけない
ことばはいらない
Everything’s gonna be alright
We’ll do anything to end this fight

きよしちゃん いい曲だね きよしちゃん
きよしちゃん いい歌だね きよしちゃん
きよしちゃん いい曲だね きよしちゃん

おしゃれな服着て 町へ繰り出そう
新しいブーツを作ってもらおう
この手ははなさない はなしてはいけない
ことばはいらない
Everything’s gonna be alright
We’ll do anything to end this fight

キヨシローの闘病中に、
アッコちゃんのライヴでこの曲を初めて聴いた時、
涙あふれて。
「ああ、他の客席からも若干すすり泣きが聞こえるな、
『きよしちゃん』だけで判る人、いて嬉しいな」
と思ったもの。

僕もミュージシャンの端くれで、作曲作詞をします。
時々、友達のことを歌ったりします。
僕にとって大切な人のために曲を創り、
歌という形で、その友達へ贈り物をしたい。

僕らの歌いたいことは、
100万人や1000万人へ、ではないんです。
いや、もっと言えば1000人でも100人でもない。
1人1人へ、なんです。

隣にいる人を幸せにできないのなら、
1000万人に愛されても、
ちぃ~っとも嬉しくない。

その1人1人が連なっていけば
100人にも1000万人にもなるんだしね。

アッコちゃんの
チャボの
キヨシローの歌は
そんな歌だと思うし、
おこがましくも、僕の歌も、そうでありたい。

 

アッコちゃんは、キヨシローが虹の向こうへ旅立った後も
この曲を歌い続け、その後、CDにも収録してくれた。

この曲は敢えてCDにしないかも知れない
と思っていたので、嬉しかったです。

そしてそれは、バンド編成ではなく、
弾き語りの形で、だったんです。

アッコちゃん、MCで
「デビュー150周年までやってほしい」
と強く言った後に、この歌を2人で。

ヘンよいから、早数十年。
もうこの曲は、2人のハーモニーありき、になってしまった。

キヨシローが旅立った後、2011年、2012年と続けて
5月2日に「忌野清志郎ロックン・ロール・ショー」、
いわゆるトリビュートライヴが行なわれた。
おそらく、来年以降もやるんだろう。

アッコちゃんは2年続けて出演し、
この曲だけを歌った。

チャボがそうするように、
まるで横にキヨシローがいるかのような仕草で。

でも、もしよかったら、
「きよしちゃん」
も、歌ってくれないかなあ。

だいぶ、お祭り騒ぎの賑やかな
フェスのようになってきたこのイヴェントだけど、
僕のような、キヨシローに思いを馳せ、
悲しみを思い切り噛みしめたいヤツらも
いるはずなのだから…。

おしゃれな服着て 町へ繰り出そう
この手ははなさない はなしてはいけない・・・


2012.10.16