1987年9月21日(月) パヤパヤ

文・弥生

人って
移り気だ。

そんな話を、
こないだ
会社の同僚と
してました。

流行は目まぐるしく変わり、ちょっとTVで「健康にいい」などと
取り上げられると、あっという間にその商品が品薄になる。

で。
2週間後にはすっかり元通り。

人が移り気じゃないと消費活動は活性化しないし、
社会はぶっちゃげそういう人が支えているんだよなー と思う。

それってツマンナイけどね。
でも現実だからね。

私自身、流行や時代性にはほとんど興味がないとは言え、
「マイブーム」的に思い入れてたものが、
いつの間にか自分の中で遠くなってた…
ってことはちょくちょくあります。

ただ同じ別れた男でも、「もはや記憶がビミョー」って人もいれば、
何年かに一度「あの人どうしてるかなー」
ってふと思い出す人もいるようにw、
そのあとの(自分の中での)距離感はそれぞれだったりします。

私にとって、年に一度くらいの割合で、必ず「どうしてるかなー」と
思い出すバンド、それが

LA-PPISCH

です。

先週もそんな「年イチ」の時期に入ってて、
なんとなく家でCDかけたりしてました。

バンドブームの牽引役としても知られるレピッシュは、
私の音楽人生の中で、「本やビデオを買い漁り、ポスター欲しさに
彼等がCMに出ていたラジカセを買う」

……そんな「愛情の注ぎ方」をした唯一のバンドです(笑)。

そもそも当時はスカをやっているバンドがそんなにいなくて
(名の知れたところではTHE BOOMくらい?)、
とにかくスカという音楽を「カッケー!」と思わせてくれたのが
レピッシュでした。
演奏や歌の上手さではなく、「パッション」で勝負してたのも
自分の当時の世代感覚とマッチしたんだと思う。

パヤパヤ。

RINJIN。

胡蝶の夢。

……今はなき日清パワーステーションで、
爆音に囲まれて聴いた時間を懐かしく思い出します。

映像はさすがに前時代的だけど、
音楽に関しては、今でもある種の「エネルギー」を
凝縮した感じがあって、すんなり耳に入ってくる。

しばらく離れていて、ふと思い出して調べた時に、
メンバーの現ちゃん(上田現)が47歳という若さで
亡くなってたことを知った時は本当にショックだった。。。

時間が限られた人生、たくさんの経験をするために
「移り気なこと」も悪くはないのかもしれないね。

ちなみに冒頭の会社の同僚としてた「移り気だ」って話、
これだけ言うと一見知的で社会的な会話をしてたように聞こえますが、
していた話は、

「ゴスロリや北関東のヤンキーは普遍的なカルチャーを保ってて
あいつらすごい」

って話でしたので、まったく高尚ではありません。あしからずw


【編集長より】

レピッシュ、
いいバンドですよね。
デビュー当時から聴いてました。

日本でも遂にスカを演るバンドが出てきたか、
と喜んでいたんだけど、
イギリスのマッドネス然り、
バンドという生き物が
段々とスカという枠を脱皮していくのがよかった。

そんな中で生まれた
「マジック・ブルー・ケース」
は、僕が最も好きな曲の1つです。

この映像、いいなあ。
純ちゃんが、司会やってる。

「水溶性」
も好きでした。

レッチリとも、バンドの進化の仕方が
シンクロしているような気がするんですよね。
ただ、レッチリの近年に関しては
進化というよりかは
自己のコピーになってしまっている感がありますが。

ライヴバンドなんだけれど
音楽性もまっすぐに追求していくのは、しんどい。
途中で雪好と現が抜けていくのも
分かる気がします。

元ちとせのデビューが成功したのも
現の功績抜きにはあり得なかったでしょう。
彼女には、
もっと現の創る曲を歌ってほしかった…。

羨ましいのは、
エプスタ非重役・タカツカアキオが大学生の頃、
音楽サークルの先輩に
レピッシュのメンバーがいたんですよ。

編集をしていて寂しかったのは
そんなに古いバンドじゃないのに
かつてのメンバー5人全員揃っての写真が
なかなか見つからなかったことです。

特に上田現がよく写っているものはないか、
これが意外とないんですよ。

真面目でいいバンドほど
そんなものなんだろうか…。

(鎌田浩宮)

2013.10.18