2013年10月25日(金) むる判らん

文・鎌田浩宮

全然
判んない、
という
意味
です。

ベランダの窓を開け放して夕涼みをしていると、お隣さんの作る夕げの匂いが、とってもいいんだ。
まるで、昔の長屋住まいの気分さ。
ああ、下の階かな、上の階かな、今夜はスパゲッティーなのかな、シチューなのかな。
うちもそろそろ、ばんめしの支度、しなくっちゃ。
マンションに住んでいても、こんなに素敵な想像を巡らせられる。

でも、秋の今時分は、もう外は寒くて、窓は開けられない。
夏が、恋しい。

今年の夏は、台風、すごかったでしょ。
で、東日本大震災の時にできたひび割れから、雨が漏れてきたんだよ。
今年の初めに、数カ月もかけて、マンション中を大々的に補修工事したのに、震災のひび割れは、そんなもんじゃ直らんかったんだね。

でも、もっと、夏を味わいたかった。
「あまちゃん」が終わってもうて、朝ドラも観なくなって、そしたら、NHK-BSで「ちゅらさん」の再放送が始まった。
夏と沖縄、大好きさあ。
「あまちゃん」の代わりに、これ、観だしたさあ。
本放送の時も、観てたんだけどね。

おばあ役の平良とみさんは、今もお元気かなあ。
国仲涼子が、初々しいなあ。
そして、お母さん役のスーちゃん観てると、切なくなる。
スーちゃん、ニライカナイへ、行けたかなあ。

先日、天野祐吉さんも、旅立った。
天野さんなら、このCM、どう思ったかなあ。

ホクト CM 要潤 鈴木砂羽 立派なきのこ 菌活

 

普通

きのこ。
立派

きのこ。
アメリカ世

きのこ。

 

好きだなあ、僕は。
ホクトって、懐でっかい会社だなあ。
よくぞゴーサイン、出したもんだ。
でもって、放映1週間で打ち切りになったのも、すごい。
視聴者からの、苦情だって。
懐小さいなあ。

天野さんがいなくなって、特定秘密保護法案という、ちょっとベンキョーしないと分かんない法案が、閣議決定された。
2013年の10月25日。
要は、国が「これは秘密にしとこう」と決めた情報を外部に漏らすと、逮捕されちゃう法律だ。
国が「福島第一原発事故の進展は、今後秘密にしちゃおう」と決めたら、正しい情報を提供した人は逮捕されちゃう法律だ。

で、この法案は、実はアメリカが日本に要請しているんだそうだ。

米並み情報統制危険も ブレア前国家情報長官発言から検証

「機密情報の取り扱いについて、日本にはより強力な法律が必要だ。今のままでは(米国が)提供できる情報が制限される」
九月に来日したブレア氏は本紙に対し、このように説明。特定秘密保護法の成立に期待を示した。

(東京新聞 2013年10月28日夕刊より抜粋)

むる判らん/照屋林助

僕の大好きな、てるりんこと、照屋林助さんが、生前歌ってた。
陽気なメロディーさあ。
軽やかで心地よい声さあ。

「唐の世(ゆ~)からヤマトの世、ヤマトの世 からアメリカ世、そしてアメリカ世からまたヤマト世」

でも、僕の住むヤマト(本土、内地の意味)でさえも、ヤマト世じゃないんだ。
アメリカ世なんだ。
てるりんの歌が、つらく身に染みる。

お隣さんの夕げに、ホクトのきのこ、使われてるかしら。
そのきのこに、どのくらい放射線量が含まれてるか、知る事ができなくなる時も、来るのかしら。
そんなこと、むる判らん。

ああ、夏が、恋しい。
でも、もう、あの頃には戻れないか。
何が何やら、むる判らん。


2013.11.11