第54話「港の人を訪ねて 秋の鎌倉プチ旅行の巻 〜後編〜」

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本を購入して浜辺に戻る

多分デロデロだろうな、と思いきや

なにやら知らない犬づれの家族と楽しげにしている

「あー、おかえりダーリン!こっちに来なさい紹介するから」

なんだこの展開?

簡単な挨拶を交わし仲間に混ざるボク

話を聞けば、どうやら鎌倉に住むアーティストのご夫婦で

ウチと同じコーギーを飼っていて

コーギーと散歩していたところカノジョが

“キャー!クリス~♡” とかいって声をかけたそうだ

まあ、同じ犬を飼っていると話しは盛り上がるもので

散歩を中断して、ビールを飲みながら

カノジョの“暇つぶし”に付き合っていてくれたようだ

年の頃は40代半ば、日に焼けた肌に茶髪のロン毛

でも、都会の若者のそれと違って何とも爽やかで格好いい

元々は東京に住み、広告系の仕事をしていたが

2人とも海が好きで、会社を辞めこちらに移り住んでいるという

なんともありそうな話しではあるが、

実践するとは、なんともはや羨ましい話しだ

湘南の海に沈む夕陽を眺めながら

ビールを飲んで他愛のない会話をしながら時を過ごす

いいね!非日常だ

程なく夕飯の支度と言いながら帰って行ったご夫婦を見送り

砂浜に2人で腰をかけた

「ナンカ本かったの?」

「うん、気に入ったのがあったからいっぱい買っちゃった」

「どれ、みせてみろ~」

そういってボクのバックを物色するカノジョ

その中から一冊取り出し

後少しで暮れるであろう夕陽の中で

ボクの足を枕代わりにゴロンと寝そべり読み始めた

“珈琲とエクレアと詩人”

“港の人”という出版社のものだった

何気なく読み始めたカノジョだったが

中身が気に入ったのか、

日が暮れて辺りが暗くなるまで読み続け

一時間程で読了してしまった

パタリと本を閉じ、ムクリと起き上がり

「うーむ、鎌倉気に入った。よしここに住むぞ」

でた!イヤな展開!

もちろん、言い出したら必ず実行するカノジョ

この後、カノジョを今日ここに連れてきたこと

そして、本を読ませたことを後悔することとなる

そう、カノジョとクリスがボクから離れて行くことにね…

次号、 “さようならトーキョー” に続く

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2011.10.13