和む!ウイグルの音楽 pt.1 ئۇيغۇر مۇزىكىسىنى ئاڭلاڭ

構成・文/名無シー・鎌田浩宮

 

 

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ئۇيغۇر مۇزىكىسى

 

 

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和む!ウイグルの音楽
ئۇيغۇر مۇزىكىسىنى ئاڭلاڭ

 

 

ウイグルの音楽を、聴いてみようじゃありませんか。
音楽で、ウイグルを訪ねてみようじゃありませんか。
東京芸大や博物館、ウイグル料理屋さんに寄り道しながら。
その道の大家に、話を聞きに行ったりして。
きっと、楽しい旅になるでしょう。
時間は、たっぷしありますよ。
さあ、一緒に出航しましょうぞ。

 

 

 

1989年、東京。

 

鎌田浩宮
25年位前から、曲を作る際のサンプルネタとして、図書館からCDを借りていたんです。売切れや絶版で手に入らない貴重な音源を、しかもただで借りることができる。自慢めいてしまうが、いや数少なすぎる自慢の1つなのだが、細野晴臣さんや坂本龍一さんから受賞した曲も、図書館から借りた民族音楽のCDをサンプリングして作ったんです。

そこでもしや?と思い調べてみたら、図書館にあったんですねえ!ウイグルのCDが、倉庫に眠ってたんです。2枚もだど。それをお借りしまして。

 

キャラバンの調べ~ウイグルの器楽
1 ムシャーブラクムカーム
2 グンドゥパイ
3 カーデル・マルラン(マルラン公社幹部)
4 タシュワイ
5 ヤルー(恋人)
6 ダワンチェン(大板城)
7 ディハンラー・マディア(農民讃歌)
8 豊作
9 ウッシャーク・ムカーム 第一ダスタン
10 ラクダの鈴の音
11 カルワン(キャラバン)
12 ラーク・ムカーム テザ間奏曲

新疆ウイグル自治区歌舞団
新疆ウイグル自治区新玉区文工団(ホータン)

レワープ:ダウティ・アウティ
バラマン:バーキル・トゥルディ
アジェク:マハムティ・トルスン
ダップ:イミン・クルバン
1989年5月2日 キングレコード第1スタジオにて録音


.     なんと32年前、しかも日本録音!

 

 

 

オアシスの抒情~ウイグルの歌

1 タック・スーレイ(山水)
2 ヤルー・スイニン・ダルダン(恋人よ)(1)
3 ヤルー・スイニン・ダルダン(恋人よ)(2)
4 グリヤール
5 グレー・チスカン・ミニン・ヤレン(花を持つ恋人)
6 ティレック・ボスタン(生き生きとしたオアシス)
7 チャビアート・ムカームのチョンナグマン
8 白い泉
9 遥かなる道
10 トーガン・ジェル(ふるさと)
11 クォールケム・アルタイタウェ(美しきアルタイ山)

新疆ウイグル自治区歌舞団
新疆ウイグル自治区新玉区文工団(ホータン)

歌:パシャ・イシャ
レワープ:ダウティ・アウティ
アジェク:マハムティ・トルスン
ダップ:イミン・クルバン
歌・ドゥタール・タンブル:マハムティジャン・シャキル
歌・ドンブラー:ダリルハン
1989年5月2日 キングレコード第1スタジオにて録音


.    これも日本録音、2枚を1日録りって。

 

 

西域という場。

 

名無シー
ウィグルの歌というと、ニューエイジの喜多郎や、石坂浩二のナレーションを思い出します。ウィグルについての原体験は、ΝНΚ特集「シルクロード」でした。


僕は子供の頃もオカシイ奴だったので、NHKをほとんど見なかったんです。大河・朝ドラ・相撲から始まり、ひょっこりひょうたん島・人形劇の三国志・そしてシルクロード。とにかく見ない。両親が大河ドラマを見ていると、早く9時にならないかな、と思う。大好きな淀川長治の日曜洋画劇場なら、家族全員で楽しめる。


あの時代のΝНΚは、結構面白いコンテンツがありました。映像詩的な番組とかゴールデンタイムに打っていたりして。あれは何というタイトルだったか。少し後だと向田邦子もののドラマシリーズとか、夢千代日記とか、80年代末まではダウナーないい番組多かったですね。


鎌田家、とにかく教養のない一家だったんだわ!


シルクロードも、どことなくダウナーで、お祭り騒ぎの対局にあるトーンでした。現代の生活だけでなく西域の仏教遺跡をたくさん取材していたので、今はいない人々の跡のもの悲しさに満ちていました。

 

 

南はチベット、東はモンゴル、西はキルギス、カザフスタン。

 


西域、ウイグルのすぐ南ですよね!お隣さん。現在はチベット自治区。


広い意味ではウィグルも含みます。ウィグルの辺りは遺跡が多く、国立東京博物館の東洋館にもあの辺の石窟寺院の壁画の模写とか収蔵されていますね。


見せておくんなまし!


白描六道輪廻図という壁画で、原本はベルリン インド美術館に収蔵されているそうです。ウィグルのベゼクリク石窟第18窟の壁画で、日本だと平安末~鎌倉期のもののようです。

 

 

千年前は、仏教文化だった。

 


仏教美術というカテゴリーでしょうね。画題としては、どぶに落ちても根のあるやつはいつかははちすの花と咲くと言う訳で、それを輪廻の中でと言う気の長い話でしょうか。


寅さんサイコー。


寅さんも帝釈天で産湯に浸かるというわけで極道だけでなく仏道ですが、CDのイスラム感とは裏腹に、千年前のウィグルは仏教文化が花開いていたわけですね。お隣モンゴルが仏教世界なのと近いですね。後年、イスラム文化の波が押し寄せてきたわけです。


CD聴きたくて失禁しそう。失禁パンツ。聴きましょう。4曲目「taxway タシュワイ تاشۋاي」です。読者のみなさん、下のYouTubeでお聴き下さいね。

 

 

1曲目「Taxway タシュワイ تاشۋاي」。

 


「Taxwayタシュワイ」ですが、rewap ラワープという弦楽器を使ってるんですね。闇雲に調べてみると…羊の皮を張る場合もあるんですが、なんと蛇の皮を用いることも。蛇味線だ~!

CDの解説を読みますと「第四曲目のタシュワイは、南疆のカシュガル地区・クチャ地区で有名な民謡で、第五曲目のヤルー(恋人)とともに南疆ウイグル娘の美しさを歌う、若者の間で人気の高い曲である」ですって。


バンジョーなどもそうですが、胴の上面が太鼓になっている弦楽器は世界中に広まっていますがどこが起源でしょうね。弦を支えるコマが弦の振動を太鼓の皮に伝えて共鳴させる仕組みは、天面が木製のクラシックギターなど他の弦楽器と同じですね。

 

これがラワープ。

 

調べなきゃ。なぜ蛇か。

 


太鼓は皮の質量が多いほど低音少ないほど高音になりますから、薄い蛇皮を使うのは高音部の楽器でしょうね。ブラジルの手持ちの太鼓パンデイロをやる人で、低音を出したい人は皮の裏側にテープを襞にしてしてまで貼り付けて重低音が出るようにしたりする場合もあります。


名無シーさんも、パンデイロを演奏しますものね。


三味線蛇皮線は高音部の楽器なので、蛇や猫を使うんでしょうね。猫と言うと残酷な感じがしますが、音質最優先の普通の人からするとある種サイコパスなミュージシャン気質だと、牛皮豚皮と言う訳には行かなかったのでしょう。昔は太鼓屋さんの前を通ると小動物の皮がぴんと拡げられて乾かしてあるのを見たりすることがありました。


確かに宗教的な理由もあり、材料として使える動物は限られるでしょうね。


あ、共鳴と描きましたが共振ですかね。レゾナンスするかどうかは革の内側の胴の内部空間の問題ですね。

 


かっちょいい。実際には、こんな感じで弾いてるのだ。

 

竹山さんは、聴いていたのか。

 


この度のCDを、まずは我が家のステレオで聴いた後(今、ヘッドフォン・イヤホン以外で音楽を聴く人、少ないよなあ)、少し離れた台所で、めしを作りながら聴いてたんですね。そうすると、音は小さく、ぼやけた感じで聴こえてきます。正に、BGMのようなもんです。

そうするとですね、2曲目から5曲目…ラワープの曲はインドやアラブの音楽を想起させるんだけど、4曲目の「タシュワイ」だけは、津軽三味線のように聴こえてきたんです。

ある縛りがあったうえで、アドリブで弾く。バチで叩くようなペキペキとした音が聴こえる。これは他の曲も同じなんですが、使っているスケールが、津軽三味線に近いなと…。


津軽三味線についての興味としては、中国の三弦からどの位音階とかメロディーが離れていったかと言うところも興味があります。日本列島を旅する間の変遷です。バチで弾くのは正に奏法の変遷だったでしょう。出来れば初代竹山より前の音源も聴きたい。と言うのは、初代竹山は、中東音楽のレコードとか不通にたくさん持っていて、既に知識的に現代だったからです。


竹山さん、そうだったんですか!

 

 

野望。

 


小泉文夫の文献を読んでみたり、東京芸大へ取材に行ったり、そしてウイグル料理のお店の店員さんに訊いてみたり…ああ、夢が、妄想が広がる!


これはめちゃくちゃ面白そう!一年くらいかけてやれる企画という感じ。聴くにせよ歌うにせよ、折角音楽やっているのですから、音階やメロディー、グルーヴの変遷とか色々細かく調べてみたいですね。


ぜひ、日本にお住まいのウイグルの方や、海外の方にも見ていただきたいですね!ピース!

pt.2に続く!


2021.02.18