福島県相馬市のダチからの便り 第3便

鎌田浩宮

風呂に入れないのはひどく大変だったね。
笑われちゃうかもしれないけど
僕は重い花粉症で
毎日風呂で全身の花粉を流さないと
症状がひどくなるんです。

だから、被災地でシャワーも浴びれない
という話を聞くと
ひどくつらいだろうなと
心がつらくなるんです。

電気が大丈夫と聞いて安心したよ。
首都圏は計画停電で
毎日が混乱しているからね。

さて、それでは質問3です。
妊娠中の妹さんが杉ちゃんの家に戻ってきて、
パニックになっていたと言っていたけど
その辺を詳しく書いてもらってもいいかな?
妹さんは何について1番怒っていた?
何について1番おびえていた?

 

杉本敏之

それで、身重の下の方の妹がパニックになったって、話なんだけど、私が思うに、女性の中には、妊娠時、とても精神状態が不安定になってしまう人がいるのではないこと思うのだが、ましてや初産だし、マタニティーブルーと言うやつか。
そんな感じで、原発のことがなくても、前から、不安定になっていたのではないかと思う。
ましてや最初の地震と津波で、住んでいた家から避難所に避難し、そこから、実家に戻り、そこで、原発が1号機から4号機まで次々と爆発してしまったというニュースを聞いては、正気ではいられないだろう。

それで、妹夫婦だけでなく、父と祖母と私と、みんなで新潟の方の親せきの所へ避難しようと話し合いになったんだけど、ここで私と父と祖母が相馬に残ると言い、いや、一緒に避難した方がいいと妹の旦那は言って意見が分かれた。 
さて、ここで、妹はこれから生まれる子供の母親として、決断しなければならない。
それで、本当にどうすればいいのか、できればだれかに、はっきりと決めてほしかったのかもしれない。
妹の怒りの矛先も、パニックの原因もこういった、何が正しいのか、誰が正しいのか、政府か、東電か、親か、旦那か、それが、全く分からないことに怒っていたのではないかと思う。
まあ こういった、いろいろな状況が重なり合って、パニックに近い状況になったんだろう。どんな状況だったかはあまり詳しく書けないが、、、。
そんで、最終的には、妹夫婦だけ、新潟の方の実家に避難した。予備のガソリンタンクを積んで。
(なんで私の家には、ガソリンタンクまであるのだ。)

 

鎌田浩宮

貴重な話を本当に有難う!

さて、1個だけ補足説明をお願いしたいんだけど
一家で新潟の親戚の所へ行くか協議した時
杉ちゃん、お父さん、おばあちゃんは
なぜ放射能被害の甚大な影響が考えられる
相馬に残ろうと思ったの?
そこだけ、手短でもいいので返信してもらえると嬉しいです。
よろしくね!

 

杉本敏之

しかし、 私と、父と祖母が一緒に新潟へ避難しなかったのは、まず、祖母にとって、長距離を車で移動するのは、体力的にきついのではないかと考えて、一緒に残ろうと考えたことと、
やっぱり、原発から30キロ圏内の屋内退避の外側であり、政府からの指示があってから避難しても大丈夫だと、まあタカをくくっていたのだ。

一応は政府の言うことを信用したことになる。

2011.04.05