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- 2012.10.24:第九十六夜:「百夜通い」
- 2012.10.18:第九十五夜:「二度と辿り着けない場所」
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第八十三夜:「日食と働きアリ」
金環日食、皆様はご覧になりましたか?
もうそんなイベントもお忘れになった事でしょうね。
私もギリギリの記憶で書いています。
はい、もう蟻が数百匹のみんなでやっている作業を
わたし一匹でやりくりしてたような日々でございました。
だから巣穴ボロボロ、エサは極貧、幼虫(息子)ほったらかし、
ついでにキリギリス笑い、そして何より孤独、みたいな(笑)。
ちょっとスタッフに休暇を与えたら、飛び込みのお客様祭りとなった、
そんなところでございました。
さてさて、金環日食の話に戻ります。
私も朝のバタバタの中(いや一番忙しい時間だってば…)、
お客様が楽しそうに日食を見ている最中、
コソリ、幼虫(笑)と盗み見ておりました。
勿論、厨房と裏庭を行ったり来たりですけど…。
薄曇りの空ではありましたが、太陽に月が次第に重なる様を
私はなんとも不思議な気持ちで眺めておりました。
えっと、わたし、なにも想わなかったんです。
何百年に一回とか、もう見られないとか、
次は何時何時、何処何処でしか見られないとか、
わたしにはあまり興味がないを知ったのでした。
日食自体の現象は凄いなあって思いますけど、
それでも日食の煽り文句に多分辟易していたんでしょうね。
それでも幼虫の前では感動したフリをしましたよ?
だって子供の向学心を汚しちゃいけないでしょ。
その後、わたしは色々考えてました。
何故私は日食に感動しなかったのか?
それは、私は奇跡に近い環境で、タイミングで、
ここでしか出会えないお客様と常に対面しています。
その奇跡、不思議さ、荘厳さは何物にも代えがたい。
いや、別にわたしの職業が特殊だからじゃないとも思いました。
私達も何十年に一度、いや何百年の一度、いや一生に一度、
いや、今を逃したら何千年に一度すら起き得ないほどの奇跡に
私達は毎日出会っている。毎日奇跡が起きている。
もしかしたらそんな想いが私の中にあったのかな?
なあんてね~そんなアタマ良く考えてはいないか(笑)
でもね、日食とか派手な事だけで喜ぶんでなくてさ、
日々の、もっともっと確率の低い、真の奇跡を見なさいな、
もっと周囲を見なさいな、変なサングラスもいらないから、
とわたしはふと想うのですわ。
最後に、ある占い師さんが日食についてこんな事を書いてました。
月は「今」を表し、太陽は「永遠」を表すそうです。
だから金環日食は「今が永遠よりも力を持つ」という意味なんだとか。
うん、そう想う。今が一番素晴らしい!今が一番輝いている!
とまあ日食なんかどうでもよくて、
世界各地で起きまくっている地震が少しでも減ってくれたらいいな。
と、ぼんやり想う、働きアリでした。
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