第九十二夜:「私は巨大になりたい」

ここ数日で急に気温が下がり、一気に夏が終わりを告げたようです。
朝晩の冷え込みが深まる度、秋独特の切なさの香りを感じます。
皆様は体調崩されておりませんか?
私はこのふた月の忙しさに、少し痩せ細りだしております。…まあ、
 
「痩せた?」  「綺麗になった?」 「整形した?」
 
と言われる事が増えたのは嬉しい(?)のですけども、
何故か皆、疑問形なのが気になります…。
 
元々そんな身体の大きい方ではありませんが、
痩せると着物が似合わなくなるので、ちょっと心配しております。
あまりに痩せた女性は、私的には着物は少し似合わないと思っています。
失敗しちゃうと横溝正史ミステリーに出てくる、
喪服姿のいしだあゆみさんのような“怖さ”が出ちゃいますから(笑)
 
身体が痩せたのでもう少し元の体重に戻したいのと同時に、
私は最近「自分てちっちゃいなあ・・・」と思う事ばかりでしたので、
タイトルのような事をふつふつと考えておりました。
 
従業員のちょっとしたミスで過剰にイラついたり、
お客様の無理なオーダーにも以前よりムカッ!としやすかったり。
二学期に入り学校がまた楽しくなってきた息子はちょっと冷たかったり、
義母は相変わらずのクリーチャーぶりだし。
忙しすぎたり、疲れていたりするのも関係しているのでしょうが、
ちょっと人間がせせこましくなっている気がするのです。
もっと人間、大きくなきゃいけませんよね。
だから、わたしは大きくあらねばなりません。
 
 
 
という事で“巨大化計画”を立ち上げます!
 
 
 
①恐竜のように…
 ネットで調べる限り、太古の時代は酸素濃度が現在よりも
 随分高かった事が関係しているようです。
 そしてそれを効率よく呼吸を行うための器官構造があったからとか。
 ほほお。
 では…わたしもハンカチ王子の入ってたあの“酸素カプセル”に
 ずっと入ってれば私は巨大になれるのかもしれない…。一考…。
 
 
②巨大生物のように…
 マダカスカルやガラパゴス諸島、深海やアマゾンなどに生息する巨大生物。
 あれは豊かな食糧だけではなく、外敵の存在が関係しているのだとか。
 つまり食い物あって外敵がいなければ巨大化はしやすいという事です。
 ほほお。
 そうか…私の巨大化を遮っている天敵は大女将…。
 ああ、突然巨大なツキノワグマが現れて、大女将をさらって逃げないかなあ?
 
 
③巨大クリーチャーのように…
 昔のパニック映画では、薬品工場から漏れ出した劇薬や放射能の影響で、
 蟻や蛇や猿が巨大化したりしていました。
 ううむ…。
 無謀な巨大化計画を目論んでいたら、こんな時事ネタにぶつかるとは…。
 現在、福島の方では巨大化した不思議な植物が無数に生えているとか。
 同時に、やはり放射能の影響と思われる奇形の動物も生まれているとか。
 過去の巨大生物のパニック映画も、虚構で無くなりつつあるのです…。
 ちょっと笑えない流れになりました…すみません…。
 
 
 
 
ええっと、巨大化計画は、なんだか時代的に不適切なんで
内面のみにしようと思います(笑)。
なんだか巨大化は周囲に多大な迷惑を与えるだけでなく、
ぶっちゃけ、当旅館よりもデカくなるとお客様は面白がって
増えるかもしれませんが、私は二度と当館に入れなくなりますし、
何より自衛隊のヘリとかにパシパシ撃たれそうなんで。
 
あ、でも巨大化した私が今問題になってる尖閣諸島や竹島に
ドーンと鎮座すれば、領土問題はパシっと終わるかもしれません!
そしたら巨大若女将はノーベル平和賞をもらえるかもしれません!
あ、やっぱ巨大化については前向きに検討していきます!お国のために!
巨大化への良い方法がございましたら私まで連絡下さい!(笑)
 

 

 
 
 

 
真理はたいまつである。しかも巨大なたいまつである。
だから私たちはみんな目を細めてそのそばを通りすぎようとするのだ。
やけどする事を恐れて。
 
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

2012.09.26