第四十五夜:「夏の小粋」

diary_yukitora

梅雨はどこに行ったのですか??
もう夏なのですか?? なんだかもう夏ですよ??
こんな時はさらさらっと、でもちょっと変わった通な一品を
自分のご褒美として与えたくなる、風流ガールのけい子です!
今宵は、数日前花板のマサさんと話して、
初めて知ったお話などを書かせて頂きます。
そしてその後(さっき)の実験の話も。。。
 
日曜の仕事終わりにマサさんに、こんな暑い時は茗荷やら葱やら
かつおぶしやら、薬味になりそうなものを醤油で和えるだけで、
それを白いご飯にのせて食べるとかいいよね!と私が言ったら、
マサさんがそれは「錦木」と言うんだと教えてくれました。
 
 
 
「錦木(にしきぎ)」
葱、茗荷、本山葵、鰹節、大根おろし、細かく刻んだ野菜、
シラス、揉み海苔などに醤油を垂らして混ぜ合わせもの。
その昔遊郭に泊まった朝に遊女が馴染み客にだけ作ってあげた
ツマミという色っぽい逸話もあるとかないとか。
 
マサさんから聞いた話だと、かの北大路魯山人の好んだ「錦木」は
上等のかつおぶしの中心「赤身」のみを薄く削ったものと、
太い良い山葵を細かくねっとりとおろし、この二つを
ざっくりと混ぜて醤油を垂らし、固くもなく柔らかくもなく炊き上げた
白いご飯に乗っけて食べるのが大好きだったとか。
 
もおお!それものすごく美味しそうっ!!!
 
と、マサさんも話では聞いていたがやった事はなかったらしく、
そんなこんなでさっきマサさんと魯山人の「錦木」を試しました。
結果、二人して鼻をつまんで「カハァー!!!」と叫びました(笑)
でもでも!
ツーンとは来ましたが、ただ辛いだけじゃない、
山葵の甘みと風味、寄り添うかつおぶしの香ばしさと海産の旨味、
そして二つを繋ぐ醤油の柔らかさ!
いやはや贅沢な、なんとも深い御味でございました!
少ない食材、そしてあんな簡単な調理でこれほどとは!
大人の夏の日にはふさわしい、贅沢な味覚でした。
でもこれ刺激強すぎるかもね?と言ったら、マサさんは
「魯山人先生も口がきけないほどがこれの美味しさって書いてたよ」
さすがです先生。。。 まだまだ私は未熟者です。
(※マサさんは山葵の辛味がきつ過ぎるなら、おろした山葵と塩を
  叩き和えて醤油を少し減らすのもアリかも?と言っていましたね)
 
 
 
他に、私が夏に食べたい大好きな料理で、
揚げ豆腐(厚揚げ)を程よく焦げ付く程度に焼き、
山盛りの大根おろしに醤油を垂らして食べるだけの料理を
京都では「雪虎(ゆきとら)」、冬に大根おろしの代わりにネギを
盛ったのが「竹虎(たけとら)」と言うんだそうで、
魯山人先生も夏に「雪虎」を食べるのが相当にお好きだったと
マサさんは教えてくれました。
しっかし京都での呼び名はいちいち風流どすなあ。
揚げ豆腐の焦げと大根おろしから「雪虎」とは恐れ入りました。
ああ、また京都行きたいどすなあ~ 佐和子女将元気どすかな~?
 
しかし「錦木」も「雪虎」も作り方は簡単であるものの、
その味は素材の質で全く変わってしまいます。
だから魯山人先生の感じたレベルを私達が再び手に入れるには
時間も手間暇もお金も掛かります。
でもその一手間が料理を、感動を左右する。
うーん、奥が深いです。ほんとラブ魯山人。
 
 
 
さてさて次回は、かなりいいお豆腐をごそっと買ってきて、
マサさんにいい胡麻油で揚げてもらい、新鮮ですっきりとした
辛味のある大根を見つけてきて、「雪虎パーティー」します!
こりゃあいい日本酒も大量に必要だなあ。
いやあ、困ったなあ~(したり顔)
 
 
 
(※「錦木」の写真撮り忘れました。上写真は「雪虎」です) 
 
 
 
 
 
 

2011.07.06