スピンオフ企画「カメラ=万年筆⑨ 完全な大学」

ひっさびさに、行ぐよ!
キトクな被写体、逃さない。

007

看板。
左、予備校。
右、大学。
経営母体、おんなじ。

大学もやってる、予備校って。

酒屋がやってる立ち飲み屋、とは違うと思う。
牧場がやってるステーキ屋、とは違うと思う。
畑を持ってるカフェめし屋、とは違うと思う。

どっちかっつーと、
電力会社が送電線を独占している、とか
原発の電気しか買えない消費者、とか
プールの授業を拒絶できない子供、とか
の方がニュアンスが近いと思う。

システムは阿片で、抜け出すのが億劫になる。
変化は恐怖ではなく、快楽なのに。

 

なあんて、かく言う僕も、
予備校、通ってました。

お金、なかったので、
学びたい科目だけをコマで買って通ってました。

当時、僕よりも頭のいい浪人生は
駿台予備校に通ってました。

その中の1人が、
英語の奥井先生の授業は感動的だぞすごいぞ、
と言っていました。

そしたらなななんと、
僕が入学した大学の、
英米文学科の教授でもあるではないか。

(今もいっぱいいるのかなあ、
当時は高校や大学の先生、
アルバイトで予備校で教えてたんだよなあ。
当時はなんだかなあと思ったものだが)

潜って講義を受けたら、
本当に感動的だぞすごいぞ、でした。

僕は哲学科なのに、奥井先生に許可をいただき、
単位にならない奥井先生の講義を受けることになりました。

講義の導入は、ディケンズとチャップリンだったか。
情けない、もうよく覚えていない。
感動的ですごいことだけ、よく覚えている。

奥井先生は、予備校と大学の垣根という、
システムを無視し突破した「個人」だと思う。
それは、元々予備校と大学が手を組んでいるのとは違う話。

まさかと思い調べていたら、
去年お亡くなりになっていた。

ああ、もう1度講義を受けたい。
ご冥福をお祈りいたします。

2011.07.01