福島県相馬市のダチからの便り 第8便

鎌田浩宮

今回もありがとう!

バイト、復帰できたんだ。
よかった!
それは何よりの朗報。

ペットは何であんなに気持ちが和み、慰められるんだろうね。
うちの猫の浪、杉ちゃんも会った事、あるよね。
あいつには慰められてます。

さてさて、この連載も大詰めに迫ってきたけど
今、1番困っていることは、何?
そして、1番ありがたいなあと思ったことは?
1番つらかったことは?
1番不安なことは?

ざっくばらんに書いてもらえれば嬉しいです。
それでは、元気でね。

 

杉本敏之

今、一番困っていること、つらいこと、不安なことは、全部一緒で、それはやはり、職探しだ。
今やっている、一日2時間のクロネコヤマトのバイトは、あくまで、つなぎであって、私の本職である介護関係の仕事を探したいと思っている。
 
しかし、私が、元いた、南相馬市のデイサービスは、一応、休業中である。
で、施設長さんは他の仕事を探してもいいと言ってくれているので、現在ハローワークに行って、短期の職探しをしている。
  
が、この条件で、さがすと、(介護関係、短期、) 家から通える範囲では0だった。

なので、本気で、どっか、関東あたり、出稼ぎみたいにいこうか、または、
家で、資格取るための勉強を始めるか。とか、
いや、このさいだから、また、ネパールへ行こうかと、考えたり。
(編集部注:杉本君はネパールが好きで、以前仕事を退職してまで1ヶ月ほど旅行した事がある)

この男41才は人生最大の危機に陥っている。

しかし、人生最大の危機とはいっても、客観的に見ると、すごくのんびりしていて、
実家で、午前中はギターの弾き語りを練習したり、英語の勉強したり、昼は2時間くらい昼寝してから、バイトに行って、バイトから帰ると、親が用意してくれた食事を食べて、その後また、ギターを弾いたり。

まるで、10代の引きこもりのような生活ではないか。
ま、しかし、介護の仕事に復帰したときには、毎日、お年寄り相手に、魂のライブをやって、一緒に英語の歌を歌おうかなと。

そして、ありがたいなあと思ったことは、やはり、鎌田君を含めた、友人からの励ましの連絡を受けた時だね。
「おーい、杉ちゃそん生きてたか」と携帯で声を聞いた時は、本当にうれしかったね。
変な話だが、「生きているか、」と聞かれて、自分が、生きていることを実感したというか、「自分はあの震災を生き残ったんだ。」としみじみ思った。

それから、介護のボランティアをして、それが役にったった事や、いろんな人に出会って、つながりができたこともうれしかった。

それじゃあまた、元気でね。

2011.05.09