続々々々・オシゴトキャマダ。

文・鎌田浩宮

浜松町を
ほっつき歩く、
初老キャマダ。
そこで、
こんな婆と
出逢ったのさ。

 

 

2017年7月から、ライターの仕事で毎日浜松町へ通うことになった。
朝9時前、増上寺の前にある大門近くのマクドナルドを通ると、驚いて二度見してしまうほど高齢の女性が、コーシーを販売している。
カウンターの前、自動ドアの近くにテーブルを別に置き、持ち帰りコーシー専用販売コーナーを作っており、女性はずっと立って仕事をしている。
背筋はしっかり伸びている。大きなポットを持ち上げ、紙コップへコーシーを注ぐほどの腕力も確かだ。釣り銭も勘定できるし、客へ笑みを返す時もある。ううむ。目元に若干のアイラインさえ入れている。

70代後半だろうか。少なくとも60代ではない。俺の母や、そねの母ちゃん、友と麻子の母ちゃん(のんちゃん)よりも老けて見えるからだ。
その女性の前に列ができる時もある。列のない時は、寂しそうにも見える。
そもそも、これほど高齢の女性が、フロントをこなしていること自体が凄いし、それを任せているマクドナルドも大したもんだ。

あいにく俺はコーシーに好みがあり、自宅で淹れて魔法瓶に詰めて持って行っているので、そこで買う機会がない。しかし毎朝心の中で、婆今朝も元気だな!まだ死んでねえのか!と毒蝮シャウとをかましている。

調べてみると、なんとその女性は82歳であり、元日劇ダンシングチームのダンサーで、始発で通勤し午前中仕事をし、テレビのニュースに取り上げられたこともあるのだった。
マックはシルバー雇用を推進しており、そのうちの1人なのだった。
ただし、時給が1000円なんだそうだ。もっと上げればいいのに。この業務をこれだけ立派にこなしているのだから。
この国では60歳で定年になり、再雇用の場合は、能力が減退していなくても、給与がかなり少なくなる。

それにしても、凄い。月曜から金曜まで、欠かさず顔を見る。俺の会社なんぞ、体調不良だの寝坊だので、すぐに欠勤しとるぞ。

つづく…


2017.12.18