フランス大統領選から学ぶ numéro 3

構成・鎌田浩宮
協力・Madame.F/大友麻子

大統領選に続き
フランス議会総選挙では
マクロン新党が圧勝。

イギリス議会総選挙では
EU離脱を進めていた
保守党が大敗。

アメリカでは
トランプがロシア疑惑で
追い詰められている。

韓国では
原発の新設をしないと
宣言。

徐々にではあるけれど
世界中の右傾化や
全体主義化が
ほころび始め
共生や
平和を
求めてきているのかな。

で、
この国、
どうよ?

ってなわけで、フランス人と結婚し、パリでパティシエとして働く日本人のFさんに、フランス大統領選に関するあれこれ、質問しています。日本がこれ以上ひどい国にならないよう、参考になる事を聞けたらいいな、という思いで。そんな連載、3回目です。

Jean-Luc Godard à Paris,1968

 

Q7
フランスの人々が
日本の人々よりも
なぜ社会の出来事や
政治に関心が強く
家でも政治の話をできるほど
オープンな姿勢なのか
教えてもらえますでしょうか?

 

私の知っているフランス、フランス人は本当に本当に少数です。
そんな分際で、フランスとは、なんて語れませんし、鎌田さんも私自身のことすら知らない状況で、私が個人的経験でお伝えしたことを、フランスの家庭は日本の家庭より政治に関心がある、と一般化して捉えてしまうのは、ちょっと危うい気がします。
他のお宅のことはあまりわかりませんし、我が家の場合は夕方の番組で政治家の言動について語る(ほとんどの場合揶揄ですが)番組を夫がよく見ているので、子供も一緒に聞いている、という感じです。
なのでご質問に対する答えは、フランス人が日本人よりも社会の出来事、政治に関心が強いのかは、わかりません、というのが正直なところです。

 

 

Q8
今の日本は
トランプのアメリカのように
どんどん右傾化しています。
フランスから学べること
があるとすれば

それは何でしょう?

 

ざっくり言ってしまって、今日までの国の出来上がり方がちがって、国民性も違う。
鎌田さんはフランスから学べることがあるかもと思われるようですが、私はフランスのやり方で何か有効なことがあっても、それが日本に当てはまったり、日本人が同様の方法を取るとは思えません。
私は勉強不足なので、日本の右傾化についてよく分かってはいませんし、フランスの今の状況もよく把握してはいませんが、私の理解ではマリールペンは極右政党で、15年前彼女の父親がシラクと残ったときは、それはもう大騒ぎでした。
(編集部注:2002年のフランス大統領選・第1回投票で、保守政党・共和国連合所属で現職大統領のシラクが得票率19.88%で1位となり、マリーヌの父である極右政党・国民戦線のジャン=マリー・ルペンが16.86%で第2位となった。原因としては、左派政党からの候補者が多く票割れをした事や、当時の保革共存体制が支持されなくなった事などが挙げられている。この事は「ルペン・ショック」と呼ばれ、ルペンに投票してはいけないというキャンペーンも行われた。決選投票ではシラクが82.21%、ルペンが17.79%と大差でシラクが再選された)
それが今は地方で支持率があがって,もともとのフランス人で移民のせいで国が悪くなったと思っている人たちが支持しているんでしょう。

子供のクラス写真を見ると、本当に人種が混ざっています。
それが普通で、子供達は育っていて、シャルリーエブド社がテロにあったとき、翌日学校で一斉に子供達に説明があり、テロに屈しない、と教わってきました。
(編集部注:自社新聞にイスラム教を揶揄する風刺画を載せ続けたシャルリーエブド社が2015年襲撃され12人が殺害された。表現の自由を盾に反テロの運動が高まったが、ゴシップ紙としてイスラムを侮蔑し続けた編集姿勢にこそ問題があるという世論も少なからず起きた)
ああ、こうやって今のフランス人は出来上がっていくんだな、と思いました。
わたしたちの子供は日仏のハーフですが、自分の子供がああこうやってフランス人になっていくんだな、と思いました。
うちはパリの郊外に住んでいますが、いろんな人種、宗教の友達を持つ子供達が、近い将来、マリールペンを支持するとはあまり思えません。

冒頭に世界の国々の動きを記したところに、トランプがキューバとの国交を制限するという新しいニュースが飛び込んできました。そして、日本は加計学園問題・森友学園問題をうやむやにしようとする政府をどうにもできないとなると、この国の無力感・虚脱感は一層ひどいものになるでしょう。

第4回に、つづく・・・。


2017.06.22