フランス大統領選から学ぶ numéro 1

構成・鎌田浩宮
協力・Madame.F/大友麻子

 

日本やアメリカを含め
世界中が右傾化し
ファシズムになっていくなか
フランスはルペンが負け
それをまぬがれることが
できました。

そんなフランスから
何か学ぶことができないかな?
と思い、
度々エプスタインズに
寄稿してくれる
大友麻子さんから
フランス人と結婚し
パリに住む
日本人のお友達・Fさんを
紹介してもらいました。

 

 

フランスに住んでいて、日本語でコメントを寄せてもらえる人。
探すのに時間がかかり、この特集の掲載まで、時間がかかってしまいました。
本当は、大統領選直後に、掲載したかったんですが。

Fさんはパティシエとして、もう長いこと、パリで働いています。
毎日とても忙しいそうで、質問は簡潔にしないとな、と思いました。
しかも、どんな風に質問してみたら、フランスの生の声を引き出せるかな、日本人が参考にできることを聞き出せるかな、さんざん考えてみました。

 

 

Q1
大統領選の決選投票前
フランスの皆さんは
マクロンをそれほど
応援したり
支持したりは
していなかったのでしょうか?

まず、フランス人がどう考えているか?という大きい質問ですよね、全体的に。
私はこちらで選挙権もないので、そんなに関心を持って選挙や候補者を見ていませんでした。
あとは私を取り巻く環境にフランス人はそんなに多くなく、夫がよく政治のテレビは見ていて、それでうっすらと大雑把な流れを感じていた程度です。
オランドさんが出ない、とかフィヨン氏がお金の問題でもうダメだろうとか。
マリーヌルペンになったらどうしよう。外国人は居づらくなるのか?とか。

選挙前は夫にすら誰の支持か聞いたこともないですし。
なので選挙前に私の少ない知っているフランス人たちがどう思ってるか話す機会はなかったです。

今回の件で、マクロンに決まった後で一緒に働いている27歳の男性と34歳の男性とにちょっと聞いてみました。
ちなみに彼らはたまたま今回選挙権がなく(海外からの住所変更などで)、投票はしていないんですが、夫や彼らが言っていたことは、本当にどの候補者も投票したくなかった、マクロンが勝ったのは、今までの2つの政党に世間はとにかく続けさせたくなかったからだと思うそうです。
あとはフランス人はいずれにしろ不満で、だからあれだけデモをしたりする、と。
でも実際には自分自身が変わることを結構嫌がるそうです。
同僚の1人は「フランス人はみんな動かない羊みたいだ」という表現をしていました。

第一回の投票結果は4人の候補に20%前後で分かれましたよね。
それがQ1に対する答えになるかと思います。
同僚の1人が言っていたのは、裕福な層がマクロンを支持している、あとはわりと若い層、パリジャン(編集部注:パリ出身ないし在住の男性の意味)などだそうです。
そういう人が得をするような政策を打ち出しているからだと。

でも結果として、マクロンとルペンという選択肢が残り、やはり消去法だったのかもしれません。
が、同僚の1人が言っていたのは白紙投票もわりとあったと。
それをする意味は、白紙投票が2人の候補よりも多かったら、はじめっから選挙をやり直すことができるからだと。
それは夢みたいなことだけれど、ということです。

 

 

 

 

 

Q2
それでもルペンに投票しなかった人が多かったのは
どんな理由が考えられますか?
ルペンよりかはマクロンの方がまだましだった
という単純な理由なのでしょうか?
それともフランスの皆さんの中に
ルペンによって自分の国が
悪い方向に進んではいけないという
危機感があったのでしょうか?

なぜルペンに投票しなかったのか?
1回目の結果が出たあと、マリーヌルペンがどこかで演説をしました。
でもその内容が、一字一句フィヨン氏が1ヶ月前ぐらいに語ったものと一緒でした。
その映像が繰り返し流され、マリーヌルペンは誰かが用意したものを何も疑わず、確認もせず読むだけなのかと人々の信用を失いました。
そんな人間に国を任せていいのか?という感じが漂っていたと思います。
これはテレビで見て、夫や12歳と8歳の息子たちと話していたことです。
あとは2回目の選挙の前に候補者2人で討論する番組があったのですが、フランス語が完璧にはわからない私にでさえ、マリーヌルペンが議論をしているのではなく、終始マクロンの揚げ足をとるような、そこらへんのオバちゃんが人をバカにして揶揄ばかりしているように見受けられました。
とにかく知性を感じないというか。。。
同僚の1人もその番組のことを言っていました。
やはり私の印象は実際そうだったようで、彼によると、その番組でマリーヌルペンは大失敗、負けにつながったとも言われているそうです。
あとは経済をマリーヌルペンに任せられない、というのが夫や同僚彼ら共通の意見です。

 

 

 

 

 

Q3
ルペンがこれだけ支持されているのは
どんな理由でしょうか?
また、ルペンを支持しない人が多いのは
どんな理由でしょうか?
また、それはフランス人の
気質や国民性ならではのものでしょうか?

フランスは雑誌でのイメージとはかけ離れていると思います。
ここに住んでいると、いろんな人種がいることが現実です。
生粋のフランス人はどこ??
見つけるのが大変です。
我が家も日本が混ざってますしね。
いろんな国から移民を受け入れてきて、現在のフランスに仕上がっているわけですが、いろんな人種、宗教、思想があって、問題や事件を移民が起こしていると考える人たちがルペンを支持してるんでしょうね。

ルペンを支持しない側は、その考え方は人種差別だと考えるのでしょう。
人種差別をよしとする人はここでは、今の所多数派ではないのです。
フランス人の気質や国民性なのかは、分かりかねるのですが。。。

 

 

 

 

 

ルペンが安倍のように狡猾だったら、当選してたのだろうか。
比較的リベラルだった民主党への不信・反動で安倍政権が復活できたように、マクロンが失脚したらルペンが政権を摂るのだろうか。
色々訊いてみたい事はあるけれど、次回へ続く!
あ、そうそう、今回の件に関して、浅田彰さんがすんごく明快に書いてました。
彼のブログ、読んでみて下され。


2017.06.03