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スピンオフ企画「カメラ=万年筆④ 2011年のバレンタイン」
夜から、雪。
2011年の、
バレンタインデーは。
中央林間から田園都市線に乗った。
目の前に女の子が座っていた。
中学生かな、いや、高校生かな。
気持ちよさそうに眠っていた、いや、本当は疲れて寝ているのかな。
髪は雪で濡れ、空いているのだから隣の席に置けばいいのに、濡れた傘を抱え、そのせいで足まで濡れている。
彼女は青葉台で降りようとした。
立ち上がった途端、濡れた傘のせいかな、濡れてふやけてしまった紙袋が破れ、そこから数えきれないほどのお菓子が落ちてきた。
もらった「友チョコ」だったのか、
これから誰かにあげるのか、
誰かにあげるはずだったのか、
もらってもらえなかったのか、
純朴そうで派手さのない、ひょっとしたらクラスでもそれほど人気もないのかもしれない、その子は懸命にお菓子を拾う。
隣に座っていた30代ほどの美人の女性は1度目を開け、また寝ちまいやがった。
僕こそ拾ってあげたいが、その子は背を向けお菓子に覆いかぶさるように拾っていて手伝えない。
発車ベルは、なんと鳴り終わりドアは閉まってしまった。
急行電車だった。
拾い終わって、数駅も過ぎた。
彼女は、なんと微笑んでいた。
ようやくあざみ野で停車し、彼女は、降りた。
隣の冷血女も、降りた。
様々な雪を越え、家で、彼女に美味しい夕食が、待っているといいな。
いや、ひょっとしたら家でも1人なのかもしれない。
でも、彼女の笑顔は、とても幸せそうだったんだよ。
僕もしばらくして、三軒茶屋で、降りた。
彼女の思い出を残そう、雪を写真に撮った。
こんな偶然。
晴れた次の日の夜、彼女が同じ電車に乗っていたんだ。
同じように純朴そうで派手さのない女の子数人と、楽しそうに微笑んで、静かにお喋りをしていたんだ…。
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