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浪日記㉗ じんこ
撮影・庫田久露武
文・鎌田浩宮
6月10日は、浪の誕生日。
と言っても、浪は拾ってきた猫なので、あくまでも推測です。
1994年の7月16日、千葉は浪花という駅の入口で拾ったんです。
親とはぐれたのか、飼い主に捨てられたのか、ポツンといたんですね。
僕らがいても、逃げない。
でも、心細いようにも見えました。
一緒にいた友人たちが、持ち帰ってきちゃったんです。
そして7月19日、うちに浪を連れてきて、飼うことになったんですね。
その後日、浪を、その後17年半もお世話になることになる、三軒茶屋アニマルクリニックに連れて行ったら、生後40日くらいね、と言われたんです。
浪が生きていれば、20歳かあ。
メス猫ならそのくらい生きる猫も今は多いけど、浪はオスだから、天寿を全うしても、もうこの世にはいない齢だなあ。
もう、そんなに、時が経っちゃったんだ。
浪の看病で24時間目が離せなくなった頃、1週間に1度、2時間くらいだけ母に家へ来てもらい、その間に久々に外出し、飯を食べに行く。
ああ、前から行きたかったんだよなあ、ここ、手打ちの武蔵野うどんなんだよなあ、懐かしいなあ。
かつて和夫ちゃんと、所沢の武蔵野うどん屋さん、行ったもんなあ。
僕はそこで、看病のために控えていたビールを1週間ぶりに呑み、後はホッピーの外だけを頼んで、渇いた喉を潤しとったんです。
「お客さん、外だけでいいんですか?」
中、つまり焼酎を頼まない理由を話すと、その店主さんも犬を飼っていて、事情を察してくれました。
酔っ払うと、看病できませんから。
しばらくして同じくらいの時期に、ご主人の犬も浪も、あの世に逝きました。
僕は、店に通いました。
定位置の、1番奥のカウンターで、1人で、呑みました。
ここのお店の人のいいところは、話をすれば聞いてくれるんだけれど、放っておいてほしい時は、放っておいてくれるんですね。
だから僕は、呑んでは涙を拭いて、ぼおっとしていることができました。
生き物を亡くす苦しみを、分かってくれているんですね。
本当に、ありがたかったです。
1人、家で呑むのは寂しすぎる、でも、人と話すのもおっくうだ、そんな時だったんです。
あと、うどんが美味いのはもちろんですが、僕の大好きなレモンサワーが、格別に美味い。
僕の1番好きな作り方で、作るんです。
キンミヤに、炭酸水、そしてレモンの原液。
この作り方が1番舌に合うんです。
ここで浪の1周忌呑み会も、次の年も行ないました。
今年ももちろん、ここでやるでしょう。
「じんこ」
という名のお店です。
うどんだけでもよし、呑むのもよし、日本酒も焼酎もおつまみも充実。
大きなテレビがあるので、サッカーW杯を観に行くのもよし。
ぜひ、行ってみて下さい。
TEL:03-3411-0588
住所:世田谷区三軒茶屋2-11-11
【ランチ】
平日11:30~15:00
土日祝12:00~15:00
※L.O.14:30
【ディナー】
17:00~24:00
※L.O.23:30
(おつまみ22:30/うどん23:00)
浪、お誕生日おめでとう!
これからも、よろしくね。
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