舞天(ブーテン)ライヴ「鳥と山」に非難殺到

レポート・鎌田浩宮

東京駅
の
暴徒化
よりも、
恥ずかしい。

 

2014年12月20日、實おじさんの命日。
大雨の、東京。
僕らのバンド・舞天(ブーテン)ライヴ「鳥と山」の日。

続々とキャマダ家には、メールが届いていた。
「仕事で行かれない」
「忘年会で行かれない」
「色々あって行かれない」
「地震雷火事親父で行かれない」
「ユタが行くなと言っている」
「ああ、まくら、さくら取ってくれ」

とにもかくにも、お前のライヴにゃ行かねえんだよという便りばかりなんである。
嗚呼、駄目だ、今夜ばっかしは。

しかしキャマダは、手を抜かない。
直前に自宅で、その日歌う全曲を3回し歌った。
2回は5割くらい、1回は7割くらいの力で。

下北沢、モナ・レコードへ着く。
唖然とした。
対バンが、下手したらキャマダより20は若いのだ。
このライヴハウスにも、あと4年後の50歳になったら、出演禁止になるんじゃなかろーか。
嗚呼、逆風だ、逆風だらけだ。

舞天のリハーサルが始まる。
しかし既に、5人ともハッパでキマっちゃっている。
「今日は上物だな～」
「ヘロヘロ、ヘロリンでーす」
「次なんの曲だっけ？」
「1曲目もう1回演っちゃおう」

リハが終わり、観客は25人も来てくれた。
子供も3人いる。
風邪を引いている人も来てくれた。
仕事を終えてすぐに来てくれた人もいた。
お母さんを連れて来てくれた人もいた。
親子孫、3代で来てくれた人もいた。
ペンライトを持って来てくれた人もいた。

客入れのBGMは、今や定番となった
「lifetime of Namii」。
その他、鎌田浩宮のこれまでの映画音楽が次々と流れる。
最新作「鎌田浩宮　福島・相馬に行く」のメインテーマも流れた。

 

荒川マラソン中止
よりも、
どーでもいい。

 

客席の照明が消え、午後6時35分、5分押しでライヴが始まった。

「おっぱい元気？！おっぱい元気？！」
グループ魂・港カヲルのMCを真似して、山さんこと山中清紫郎が客席を煽る。
もちろん、ダダすべりだ。
ドン引きの、客席。

「それじゃあ1曲目、『パパは共産党』行ぐど！」

なんと、遠藤ミチロウ率いるスターリンの代表曲のコピーだ。
しかし若い世代には、知る由もなし。
もちろん、ダダすべりだ。
ドンドン引きだ。
豚のホルモン焼きを客席に投げつける、いまここと今泉見海。
しかしそのネタの由来、誰も知らない。

「お前ら来いよ！もっと来いよ！2曲目は『パンク君恋し』！」
タカツカさんことタカツカアキオのオーヴァードライヴが、歪んでうるさすぎる。
耳を塞ぐ、観客。

原曲は、天知茂だ。
この失恋の歌はかつて、なんとキャマダの旧父(キューパパ)・鎌田重昭が数十年前、キャマダの弟にして今回サポートドラマーとして参加している鎌田崇昭の結婚披露宴で歌った曲なのである。
披露宴で、失恋ソング。
タブー中のタブー、である。
当時の参列客は口々に言った。
「あれは重昭さんが披露宴直前に離婚した元妻(キャマダにとっては母)に対してのアンサーソングなのよっ！」

「キミィー、恋シィーッ this is not a love song」
ジョニー・ロットン風に叫ぶ鎌田浩宮。
子供達は、あらかた退出してしまった。

「3曲目はよぉ、旬のネタで行ぐから、お前ら今度こそおっぱい揺らせよ！『一番星ブルース・ラヴァーズロックヴァージョン』！」
そう、敬愛してやまない菅原文太兄ぃのトラック野郎を、レゲエで勝負に出ただ。
「文太兄ぃは言ったぜ！反原発を！反戦を！でもお前ら選挙行ってねえだろ！死ね！東京に原発造るぞ！米軍基地も作るぞ！アベノミクスなんて嘘っぱちだ、東京オリンピックだなんて浮かれてんじゃねえぞ！お前らが仮設住宅に入りやがれ！」
煽る、パコこと鎌田崇昭。
露骨に不快な表情の、観客。

「引っ込めえ、舞天！」
「帰れ！帰れ！」
「選挙なんて行きたくねえんだよ！俺達ゃ戦争のできる国を望んでるんだ！」
「デブヴォーカル、失せろ！」
客がステージへ、ビール瓶を投げ出す。
ブルース・ブラザースよろしくステージ前に金網が降ろされ、舞天5人は怪我をせずに済んだが、客の怒りは沸点だ。

「I can’t breathe !」
「アメリカじゃ黒人差別だ、この国は嫌韓反中だ！市民の不満はマイノリティーへぶつけてばっかり！」
「ため息ばっかり！」
「それクルムっしょ？」
「舞天の奴等を吊し上げろ！」
「大久保じゃもっと汚い言葉で罵ってるぞ！」

Do the Right Thing.
まともになれよ。

舞天の5人は、放火され燃え上がるモナ・レコードの前で、
ボーゼンと立ち尽くすのみだった。

春よ来い、早く来い。

1　boom boom
曲　John Lee Hooker
詞　鎌田浩宮

2　鳥と山
曲　タカツカアキオ
詞　鎌田浩宮

3　辺野古へ
曲・詞　鎌田浩宮

4　日々の
曲　山中清紫郎　鎌田浩宮
詞　鎌田浩宮

5　挑けなければ2人は黙ったまま
曲　今泉見海
詞　今泉見海　鎌田浩宮

6　新品の誕生日
曲　山中清紫郎
詞　鎌田浩宮

アンコール　クリスマスは知らない
曲　タカツカアキオ　鎌田浩宮
詞　鎌田浩宮

the Booten “a bird and mountains”
2014.12.20 Sat.
start at 6:30PM
at Mona Records,Shimokitazawa,TOKYO


2014.12.22

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