第三十二夜:「幸福の種」

diary_kouhu

震災の後、仲居さん達の間でよく出ていた「幸せ」「幸福」の言葉。
私はバカなんで、これまで強くは意識してきませんでした。
今がよければそれでいい。 それだけで生きていたようです。
それでも此度の災害に際し、こんな私でも考える事増えました。
 
と、マトモな人間ぶるのはイヤなのでぶっちゃけますと、
震災後、お客様のキャンセル嵐が吹き荒れている為、
暇すぎて暇すぎてムダに頭が回るから、だと思います(笑)
そんなこんなで宜しくお願い致します。若女将けい子です。
今日は好きな方の幸福論の格言等から、何か見つけてみたいと思います。
 
 
 
【水木しげるの幸福の七か条】
 
第一条 成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。
 
第二条 しないではいられないことをし続けなさい。
 
第三条 他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追及すべし。
 
第四条 好きの力を信じる。
 
第五条 才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。
 
第六条 怠け者になりなさい。
 
第七条 目に見えない世界を信じる。
 
 
憧れの水木先生の、シンプルかつ的を得た七か条。
以前これを知った時、「むおおお・・」と唸ってしまいました。
これを読みつつ「私にはできてるのかな?」と考えていた時、
仲居頭のよし子さんにコレを休憩中に見せたら
「けい子ちゃん、全部やれてるんでない?」と言ってくれました。
それは嬉しかったのですが、やはり私にできているのは
第六条だけな気が今もしています。
だって私は「ゲゲゲ」ではなく、「ビビビ」の方が近い人間ですもん。
(注:「ビビビ」とは、ねずみ男の通称から。)
 
 
 
【バートランド・ラッセルの幸福論】
 
「私たちは、愛する人びとの幸福を願うべきであるが、
       私たち自身の幸福と引き換えであってはならない」
 
 
これには思い当たる部分が何個かあります。
私はあまり自分自身の幸福度を重要視しないので、
周りからはとてもキケンに見えるんだそうで。
でも私は一向にキケンではないんだけど(笑)。
まっ、そりゃそうよ!
当館に来られたお客様の、まだ見ぬ未来のお客様の、その先のお客様の、
皆々様の幸いを願ってここを開いて待っているんだものっ!
と、少しだけ格好をつけてみる(笑)。
 
 
 
【アラン(Emile-Auguste Chartier)の幸福論】
 
「幸福だから笑うわけではない。笑うから幸福なのだ」
 
「幸福に関しては、推論する事も予見する事もできないのである。
 いま現にもっていなければならないのだ。
 幸福が未来のなかにあるように思われるときは、
 よく考えてみるがいい。
 それは、あなたがすでに幸福を持っていることなのだ」
 
 
だったら、今、私は幸福なんだな。
だっていつも十分に笑えているし、
未来にはいつも幸せしかないと思ってるもん。
私以外のみんなの未来にも、必ず幸福が待っていると思えているし。
今は日本中、世界中不安だらけではあるけど、それでもそう思う。
今生き残った者は未来の幸福を信じて向えるんだ。
 
 
 
 
そして私の思う幸福論。現時点ですけど。
やっぱね、幸福は持っているとか訪れるとか降ってくるんではないと思う。
ここから、具体的にいうと胸の奥底から、指先から、視線から、
溢れ出てきた希望の種が、苦痛の種が、喜びの種が、
自分以外の人に触れて、混ざって、初めてそこで
「幸福」として発芽するものなんではないのかと。
だから一人じゃいけない。
今回の震災でみんなの心に湧いた「人恋しさ」。
これも種なんだと思う。 
とっても綺麗な種なんだ。
 
 
 
もう春! さあて、がんばるぞい!
 
 
 
 
 
 
 
 

2011.04.06